交通事故や労災で圧迫骨折を負った際、後遺障害に等級認定されるかどうかで、受け取れる補償額は大きく変わります。
しかし、圧迫骨折は画像所見の評価や受傷時期の判断が難しく、適切に申請しても非該当となるケースが少なくありません。
圧迫骨折の等級認定を成功させるためには、自賠責保険や労災保険における後遺障害の認定基準を正しく理解することが不可欠です。
本記事では、圧迫骨折の基礎知識から等級認定されない理由、後遺障害認定を目指す具体的な手順までを、分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2026/1/2
Table of Contents
- 1 圧迫骨折の概要と後遺障害
- 2 圧迫骨折が等級認定されない理由
- 3 圧迫骨折で等級認定を目指す流れ
- 4 圧迫骨折の等級認定をサポートする弊社サービス
- 5 圧迫骨折の等級認定でよくある質問
- 5.1 圧迫骨折は後遺障害に必ず認定されますか、それとも非該当になることがありますか
- 5.2 レントゲンやMRIで圧迫骨折がはっきり写っていない場合でも、等級認定は可能ですか
- 5.3 保存治療(手術なし)でも、圧迫骨折で後遺障害等級は認定されますか
- 5.4 事故前からあった陳旧性圧迫骨折と判断された場合、等級認定は受けられますか
- 5.5 圧迫骨折では、どの後遺障害等級(何級)が認定される可能性がありますか
- 5.6 椎体の変形率や圧壊率は、等級認定にどの程度影響しますか
- 5.7 痛みやしびれなどの自覚症状だけでも、圧迫骨折の後遺障害として評価されますか
- 5.8 圧迫骨折の等級認定には、どのような医証(画像、診断書、意見書など)が重要ですか
- 5.9 自賠責保険と労災保険では、圧迫骨折の等級認定基準に違いはありますか
- 5.10 骨粗鬆症や加齢性変化があると、素因減額や非該当になりやすいのですか
- 6 まとめ
- 7 関連ページ
- 8 資料・サンプルを無料ダウンロード
圧迫骨折の概要と後遺障害
圧迫骨折とは?
圧迫骨折とは、背骨(脊椎)を構成する椎体が、上下方向から強い圧力を受けて押しつぶされる骨折です。
発生しやすい部位は、胸椎と腰椎の境界部分(T12-L1)や、腰椎1番から3番(L1-L3)です。
圧迫骨折が起こると、激しい背中や腰の痛み、体を動かすことが困難になるなどの症状が現れます。
圧迫骨折の後遺障害は3種類ある
圧迫骨折による後遺障害には、主に3つのタイプがあります。1つ目は「変形障害」で、背骨が変形した状態が残るものです。
この場合、後遺障害等級は6級5号、8級相当、11級7号のいずれかに認定される可能性があります。
2つ目は「運動障害」で、首や腰の動きが制限される状態です。これは6級5号または8級2号に該当します。
3つ目は「神経症状」で、痛みやしびれが残る場合です。神経症状では12級13号または14級9号が認定されることがあります。

圧迫骨折が等級認定されない理由
椎体圧壊がレントゲンで分からない
圧迫骨折が等級認定されない理由の一つは、レントゲン検査で椎体の圧壊が確認できないことです。
一般的に実施されているレントゲン検査では、軽微な骨折や発生初期の骨折が写らない場合があります。
一方、圧迫骨折の診断にはMRI検査が有効で、特にSTIR画像を用いると新鮮骨折は高信号(白く)に写ります。
MRI検査による診断率は90数パーセント以上と高く、レントゲン検査よりも優れています。画像で骨折が確認できなければ、等級認定は困難です。
事故前からの圧迫骨折(陳旧性圧迫骨折)
事故前から存在していた陳旧性の圧迫骨折と判断されると、等級認定されません。MRI検査を用いれば、新鮮骨折と陳旧性骨折を区別できます。
新鮮骨折はT2強調像で高信号、T1強調像で低信号を示すのに対して、陳旧性骨折では信号変化が見られず、骨皮質の連続性が保たれています。
また、事故直後と数週間後のレントゲン画像を比較して、圧壊の進行が見られれば新鮮骨折と判断できます。
圧迫骨折ではなくModic変性だった
Modic変性は、加齢による椎体終板の変性で、MRI検査では約14パーセントの人に見られます。
特に、Type1(T1強調像で低信号、T2強調像で高信号)は圧迫骨折と誤診されやすいです。鑑別には、レントゲン検査やCT検査が重要です。
Modic変性は、慢性的なじわじわとした腰痛を引き起こしますが、圧迫骨折のような激烈な痛みではありません。
Modic変性と診断されると、後遺障害に認定されません。圧迫骨折との正確な鑑別が必要です。
<参考>
Modic変性は圧迫骨折との鑑別が難しい|交通事故の後遺障害
保存治療(手術なし)で運動障害を主張している
保存治療のみで運動障害を主張しても等級認定は困難です。2026年現在、弊社の数千例におよぶ経験でも、運動障害認定は2事案しかありません。
運動障害として8級2号に認定されるには、頸部または胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されていることが必要です。
さらに、圧迫骨折がレントゲンで確認できる、脊椎固定術が行われた、または項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化があることが求められます。
実務上、手術を受けていない場合、可動域制限だけでは運動障害としての等級認定は難しいでしょう。
圧迫骨折で等級認定を目指す流れ
等級認定されなかった原因を調査する
等級認定されなかった場合、まず自賠責保険から届く「後遺障害等級認定結果のご連絡」を精査することが重要です。
定型文なので評価が難しいですが、「医学的所見に乏しい」などの指摘があれば、どの部分を補強すべきかが見えてきます。
画像検査の不足、診断書の記載不備、事故との因果関係の不明確さなどが、非該当の主な原因となります。
非該当理由を正確に把握することで、異議申し立ての方針を立てることができます。
認定基準をクリアするための医証を収集する
圧迫骨折の認定基準を満たすために、足りない点を補うための新たな医学的証拠を収集する必要があります。
具体的には、追加の画像検査を実施、新たな診断書を取得、医師意見書や画像鑑定報告書を依頼することを検討します。
医師意見書は、画像検査や各種の医証を総合的に評価して、後遺障害の蓋然性を医学的に証明する重要な資料です。
画像鑑定報告書では、脊椎外科専門医が画像所見と症状の関連性を評価します。画像所見が争点になっている事案で有効です。
<参考>
自賠責保険に異議申し立てを行う
自賠責保険への異議申し立てでは、非該当理由に対する反論と医学的根拠の補強が必要です。
提出する書類には、異議申立書、新たな診断書、医師意見書、画像鑑定報告書、追加検査結果などがあります。
異議申立書には、なぜ前回の判断が誤っているのかを、論理的かつ明確に記載します。
提出先は加害者側の保険会社で、審査には2~6ヶ月かかります。単に「納得できない」と主張するのではなく、客観的な医学的証拠が不可欠です。
尚、圧迫骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
圧迫骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定
訴訟提起する
異議申し立てが不成功に終わったら、訴訟提起が最終手段となります。裁判では、医師意見書や画像鑑定報告書が重要な証拠として機能します。
裁判所は、脊椎外科専門医の見解を重視する傾向があるため、医学的争点に対する説得力が増します。
訴訟には時間と費用がかかりますが、適切な後遺障害等級を獲得して、正当な賠償を受けるための重要なステップです。
弁護士に相談して、訴訟の見通しや必要な準備を確認することをお勧めします。
圧迫骨折の等級認定をサポートする弊社サービス
弁護士向けのサポートサービス
弊社では、交通事故で受傷した圧迫骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向けの弁護士無料紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

圧迫骨折の等級認定でよくある質問
圧迫骨折は後遺障害に必ず認定されますか、それとも非該当になることがありますか
圧迫骨折であっても、必ず後遺障害に認定されるわけではありません。非該当になることもあります。
認定されるには、画像検査で骨折を確認できる、事故との因果関係が証明できる、一定以上の変形があるなどの条件を満たす必要があります。
椎体のヒビ程度の軽微な変形では、等級認定されない場合もあります。適切な医学的証拠を揃えることが重要です。
レントゲンやMRIで圧迫骨折がはっきり写っていない場合でも、等級認定は可能ですか
画像検査で骨折がはっきり写っていないと、等級認定は非常に困難です。後遺障害認定では、画像検査による客観的所見が最も重視されます。
レントゲンで確認できなくても、MRI検査を追加で実施することで骨折が判明する場合があります。
また、事故直後と数週間後の画像を比較して、圧壊の進行が確認できれば、新鮮骨折と判断される可能性があります。
画像所見が不十分な場合は、医師意見書や画像鑑定報告書で、当方の主張を補強する必要があります。
保存治療(手術なし)でも、圧迫骨折で後遺障害等級は認定されますか
保存治療のみでも、圧迫骨折で後遺障害等級が認定されます。特に変形障害(11級7号)は、レントゲン等で確認できれば認定されます。
しかし、運動障害(8級2号)の認定には、可動域が2分の1以下に制限されていることに加えて、脊椎固定術が行われているなどの条件が必要です。
保存治療のみでは運動障害の認定は困難ですが、神経症状(12級13号、14級9号)として認定される可能性はあります。
事故前からあった陳旧性圧迫骨折と判断された場合、等級認定は受けられますか
事故前からあった陳旧性圧迫骨折と判断された場合、その骨折については等級認定を受けることができません。
ただし、MRI検査で新鮮骨折と陳旧性骨折を区別できます。新鮮骨折はT2強調像で高信号ですが、陳旧性骨折では信号変化が見られません。
また、レントゲンでの経過観察により圧壊の進行を証明できれば、新鮮骨折として、後遺障害に認定される可能性があります。
圧迫骨折では、どの後遺障害等級(何級)が認定される可能性がありますか
圧迫骨折では、後遺障害の内容により複数の等級が認定される可能性があります。
変形障害では、6級5号(著しい変形)、8級相当(中程度の変形)、11級7号(変形)が該当します。
運動障害では、6級5号(著しい運動障害)または8級2号(運動障害)が認定されることがあります。
神経症状では、12級13号(頑固な神経症状)または14級9号(神経症状)が該当します。最も多く認定されるのは11級7号です。
椎体の変形率や圧壊率は、等級認定にどの程度影響しますか
椎体の変形率や圧壊率は、等級認定に大きく影響します。6級5号に認定されるには、前方椎体高の椎体1個分の減少が認められることが必要です。
8級相当では、前方椎体高が椎体1/2個分減少している必要があります。11級7号は、レントゲン等で圧迫骨折が確認できれば認定されます。
しかし、圧壊の程度が軽微すぎると認定されない場合もあります。変形の程度を客観的に示す画像検査が重要です。
痛みやしびれなどの自覚症状だけでも、圧迫骨折の後遺障害として評価されますか
通常、痛みやしびれなどの自覚症状だけでは、圧迫骨折の後遺障害として評価されることは困難です。
後遺障害に認定されるためには、自覚症状だけでなく、画像検査などの客観的で医学的な裏づけが不可欠です。
12級13号に認定されるには、画像所見で認められる圧迫されている神経の支配領域に、神経学的な異常所見が確認できることが必要です。
14級9号では、画像所見は不明確でも、各種事情を総合的に鑑みて痛みを医学的に説明できる場合に認定されます。
圧迫骨折の等級認定には、どのような医証(画像、診断書、意見書など)が重要ですか
圧迫骨折の等級認定には、すべての医学的証拠が重要です。まず、レントゲンなどの画像検査で、骨折の存在と程度を明確にする必要があります。
主治医が作成する後遺障害診断書には、症状や検査結果を詳細に記載してもらうことが重要です。
医師意見書では、事故との因果関係や後遺症の医学的根拠を説明します。画像鑑定報告書は、専門医が画像所見と症状の関連性を評価します。
これらの医証を体系的に整理して提出することが、等級認定の成功につながります。
自賠責保険と労災保険では、圧迫骨折の等級認定基準に違いはありますか
自賠責保険と労災保険では、圧迫骨折の等級認定基準そのものには、基本的な違いはありません。
両制度とも、変形障害、運動障害、神経症状に応じて等級を判断します。ただし、実際の運用では大きな違いがあります。
骨粗鬆症や加齢性変化があると、素因減額や非該当になりやすいのですか
骨粗鬆症や加齢性変化があるからといって、必ずしも素因減額や非該当になるわけではありません。
素因減額が適用されるには、事故前から素因が存在して、その素因が損害の発生や拡大に寄与していることが必要です。
高齢者であっても、通常の加齢範囲内の骨密度低下であれば、素因減額されにくい傾向があります。
一方、事故の衝撃が軽微なのに圧迫骨折が生じた場合や、事故前から骨粗鬆症の治療を受けていた場合には、素因減額される可能性が高まります。
MRI検査で新鮮骨折が明確に証明されれば、事故との因果関係は認められやすくなりますが、素因減額の可能性は残ります。
まとめ
圧迫骨折とは、背骨の椎体が強い圧力で押しつぶされる骨折で、胸椎と腰椎の境目や腰椎に多く、強い背中や腰の痛みを生じます。
後遺障害は、「変形障害」「運動障害」「神経症状」の3種類に分かれ、6級から14級まで認定の可能性があります。
ただし、画像検査で骨折が確認できない、陳旧性骨折と判断される、保存治療のみで運動障害を主張などは非該当になりやすいです。
等級認定を目指すには、画像検査、診断書、医師意見書や画像鑑定報告書を整えて、医学的根拠を示すことが重要です。
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