交通事故で腰椎圧迫骨折を受傷して痛みが残っているのに、後遺障害が非該当や低い等級にとどまり、納得できない方は少なくありません。
「骨折しているのになぜ認められないのか」「今からでも等級を見直せるのか」と疑問や不安を感じている方も多いでしょう。
実は、腰椎圧迫骨折の後遺障害は、画像所見や診断書の記載内容などが原因で、正しく評価されていないケースが見受けられます。
一方で、認定されなかった理由を整理して、適切な医証を追加したうえで異議申し立てを行い、等級変更が認められた事例も存在します。
本記事では、腰椎圧迫骨折の後遺障害等級が変更される条件や基準を踏まえて、どこに注意すべきかを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/12/17
Table of Contents
- 1 腰椎圧迫骨折を等級変更する方法を徹底解説
- 2 腰椎圧迫骨折の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
- 3 腰椎圧迫骨折の等級変更でよくある質問
- 3.1 なぜ腰椎圧迫骨折なのに「後遺障害非該当」になったのですか?
- 3.2 異議申し立てでは、どの等級を目指すことが多いですか?
- 3.3 MRIやCT検査で「異常なし」と言われたのに異議申し立てできますか?
- 3.4 異議申し立てでは、どんな資料を追加すればよいですか?
- 3.5 「脊柱変形」として認められる基準はありますか?
- 3.6 痛みだけでも等級変更は可能ですか?
- 3.7 異議申し立てをすると、かえって不利になることはありませんか?
- 3.8 医師にどのように後遺障害診断書を書いてもらうべきですか?
- 3.9 古い圧迫骨折と新しい骨折の区別ができないと言われたのですが?
- 3.10 主治医の診断書に「異常なし」「経過良好」としか書かれていないのですが、不利になりますか?
- 4 まとめ
- 5 関連ページ
- 6 資料・サンプルを無料ダウンロード
腰椎圧迫骨折を等級変更する方法を徹底解説
腰椎圧迫骨折が後遺障害に認定されない5つの理由
腰椎圧迫骨折なのに後遺障害が認定されない理由として、主に以下の5つが挙げられます。
- レントゲン検査で骨折が分からない
- 事故前からの既存骨折(陳旧性圧迫骨折)
- 画像所見が軽微
- Modic変性との鑑別不足
- 後遺障害診断書の記載内容が不適切
後遺障害認定されなかった理由を把握する
腰椎圧迫骨折の等級変更を成功させるには、まず非該当になった原因を精査することが重要です。
自賠責保険から届く認定結果通知に記載された非該当理由を、丁寧に読み取りましょう。
「骨折像が確認できない」「事故との因果関係が認められない」など、どの部分を否定されたのかを整理します。
感情的な不満だけでは結果は変わりません。どの検査や資料が不足していたのか、どの部分を補強すべきかを検討することが出発点になります。
異議申し立ては単なる不服申立てではありません。前回認定の誤りを指摘する新しい医学的証拠を添付して、論理的に主張する必要があります。

認定基準をクリアするための医証を取得する
非該当原因を覆す新たな医証を集めることが次のステップです。具体的には、非該当になった原因に応じて、以下のような医証を取得します。
- 新たな画像検査
- 既存の画像検査の再評価
- 新たな診断書
- 医師意見書
- 画像鑑定報告書
新たな画像検査では、既存の画像検査との比較も行います。特に、陳旧性骨折と判断された事案で、有用なケースが多いです。
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などをベースに、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案で大きな効果を発揮します。
<参考>
異議申し立てを行う
新たな医証が整ったら異議申し立てを行います。ただし、単に「痛いのだからおかしい」と感情的に訴えても認定されません。
事故態様、症状の一貫性、画像所見の推移を整理して、前回審査のどの認定が誤っていたのかを論理的に示すことが重要です。
異議申立書には、認定基準を満たしている理由を医学的・客観的に説明する必要があります。
初回申請と同じ資料を出しても結果が覆る可能性はほぼないため、新たな医学的証拠を添付することが不可欠です。
尚、腰椎圧迫骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
圧迫骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定
等級変更されなければ訴訟を検討する
異議申し立てでも腰椎圧迫骨折が等級変更されなければ、訴訟を検討する選択肢があります。
訴訟では裁判所が独自に後遺障害の有無や等級を判断するため、自賠責保険の認定とは別の結論が出る可能性があります。
脊椎外科専門医によって作成された医師意見書や画像鑑定報告書は、裁判での医学的証拠として重要な役割を果たします。
裁判所は、脊椎外科専門医の見解を重視する傾向があり、医学的争点に対する説得力が格段に増します。
ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、目指す等級の妥当性や賠償額の見込みなどを弁護士と相談して慎重に判断することが大切です。
腰椎圧迫骨折の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
弁護士向け専門サポート
弊社では、交通事故で受傷した腰椎圧迫骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

腰椎圧迫骨折の等級変更でよくある質問
なぜ腰椎圧迫骨折なのに「後遺障害非該当」になったのですか?
腰椎圧迫骨折は本来等級が付きやすい傷病ですが、画像上の変形が軽微だったり、事故との因果関係が不明確だと非該当になるケースがあります。
特に、高齢者の骨粗鬆症や既存変形がある場合、外傷による新たな圧迫骨折かどうかが争われやすく、骨折はないと評価されることがあります。
レントゲンで骨折が確認できず、MRI検査でのみ診断された場合、治療経過で椎体の圧壊が進行しないと、骨挫傷と判断されて非該当になります。
Modic変性と圧迫骨折の鑑別ができていないことも、腰椎圧迫骨折が非該当になる原因になります。
異議申し立てでは、どの等級を目指すことが多いですか?
腰椎圧迫骨折の場合、変形障害として11級7号(脊柱に変形を残すもの)を目指すことが最も多いです。
椎体の変形が軽微で11級に届かない場合は、神経症状として12級13号や14級9号の認定を目指すこともあります。
MRIやCT検査で「異常なし」と言われたのに異議申し立てできますか?
初回の画像読影で異常なしとされても、脊椎外科専門医による再評価で異常所見が見つかることがあります。
特にMRI検査では、椎間板変性、椎間孔狭窄、神経根圧迫所見、脊柱アライメント異常、靭帯損傷などが新たに発見されることがあります。
弊社のような医療鑑定会社に画像鑑定報告書を依頼すれば、これまで見落とされていた微細な画像所見を指摘してもらえる可能性もあります。
異議申し立てでは、これらの新たな画像所見と症状との一致を示すことで、後遺障害認定の可能性が高まります。
異議申し立てでは、どんな資料を追加すればよいですか?
異議申立てで有効な追加資料としては、レントゲンやMRIの画像、新たな診断書、医師意見書、画像鑑定報告書などが挙げられます。
特に、医師意見書と画像鑑定報告書は強力な医証です。医師意見書では、受傷機転、画像所見、症状、事故との因果関係などが記載されます。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査を精査して、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性が報告されます。
「脊柱変形」として認められる基準はありますか?
脊柱変形として11級7号に認定されるには、腰椎圧迫骨折の後遺障害認定基準を満たす必要があります。
圧壊率(椎体のつぶれ具合)がほぼ無い場合は、「脊柱に変形を残す」と評価されず、11級7号に届かないと判断される傾向があります。
明確なパーセンテージ基準は公表されていませんが、実務では椎体高の明らかな減少や隣接椎体と比べて変形が明らかかどうかが重視されます。
痛みだけでも等級変更は可能ですか?
変形がわずかで11級7号に認定されない場合でも、腰痛や下肢の神経症状が残れば12級13号や14級9号が認定される可能性があります。
ただし、単に「腰が痛い」「動かしにくい」という訴えだけでは足りず、神経学的所見と画像所見の整合性が求められます。
原則として後遺障害認定では、骨折や変形などの画像所見と自覚症状が結びついていることが必要です。
画像上の変形や神経学的異常所見が乏しく「単なる腰痛」にとどまると評価されれば、14級9号すら認定されない可能性もあります。
異議申し立てをすると、かえって不利になることはありませんか?
異議申し立てによって認定結果が不利になることは基本的にありません。異議申し立ては原則として何回でも行うことが可能です。
ただし、同じ内容を繰り返しても結果は変わらないため、前回の判断理由を分析して、それに対応する新しい医証を提出することが大切です。
2019年度の統計によれば、異議申立てで結果が覆った事例は全体の約15%で、成功率は決して高くありません。
しかし、被害者の訴える症状を各種の医証で裏付けることが可能であれば、結果が覆る可能性があります。
医師にどのように後遺障害診断書を書いてもらうべきですか?
後遺障害診断書は、等級認定の可否を左右する重要な書類です。医師には、残っている自覚症状をすべて漏れなく伝えることが基本です。
症状を具体的に説明して、「違和感が残る」ではなく「しびれ感があり日常生活に支障をきたす」などとはっきり書いてもらいます。
事故直後から一貫した自覚症状が連続していることを示すため、「初診時から〇〇が継続」と記載してもらうことも重要です。
画像所見、検査結果、症状の一貫性が分かるよう記載してもらいます。尚、後遺障害診断書は必ず自分の目でも確認しましょう。
古い圧迫骨折と新しい骨折の区別ができないと言われたのですが?
古い圧迫骨折なのか事故による新鮮骨折なのか区別できないと、事故との因果関係が証明されていないとされて非該当になります。
これを避けるには、早期のMRI検査で骨髄浮腫を確認することが有効です。MRI検査では、新鮮骨折は骨髄浮腫を反映します。
陳旧性骨折にはこのような信号変化がありません。また、レントゲン検査の経過で圧壊進行を証明することも有効です。
事故前の画像検査があれば比較して、事故後に新たな楔状変形が出現したことを示すことも効果的です。
主治医の診断書に「異常なし」「経過良好」としか書かれていないのですが、不利になりますか?
診断書に「異常なし」「経過良好」とだけ記載されていると、後遺障害審査では「症状は軽快している」と受け取られ不利に働くことが多いです。
しかし、追加で、症状の残存や画像所見、圧壊率などを詳細に記載した診断書を作成してもらえば、不十分な記載を補うことは可能です。
また、医師意見書や画像鑑定報告書の提出によって、非該当から11級へ等級が変更した事案も多数存在します。
主治医の後遺障害診断書の内容だけで諦めず、専門家と協力して異議申立てを検討すべきでしょう。
まとめ
腰椎圧迫骨折が非該当となる主な理由は、画像で骨折が確認できない、陳旧性骨折、所見が軽微、Modic変性、診断書の記載不備などです。
等級変更には、非該当理由を正確に把握して、新たな医学的証拠をそろえて異議申し立てを行うことが重要です。
腰椎圧迫骨折の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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