交通事故で「びまん性軸索損傷」と診断されたのに、後遺障害に認定されず「非該当」と判断されるケースは少なくありません。
画像所見が乏しい、適切な神経心理学的検査が実施されていない、意識障害の程度が軽いなどが、後遺障害に認定されない理由になります。
こうした判断は被害者から見ると納得しづらく、「なぜ認定されないのか」「どうすれば正当に評価されるのか」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、非該当になる代表的な理由を整理して、後遺障害認定を受けるための医証収集や異議申し立てのポイントを解説しています。
最終更新日: 2025/12/8
Table of Contents
- 1 びまん性軸索損傷の後遺障害が非該当になる5つの理由
- 2 びまん性軸索損傷が後遺障害に認定されない時の対処法
- 3 びまん性軸索損傷の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
- 4 びまん性軸索損傷が後遺障害認定されないでよくある質問
- 4.1 なぜ「びまん性軸索損傷」と診断されたのに後遺障害が非該当になるのですか?
- 4.2 MRIやCTで異常が映らないと後遺障害は認められないのですか?
- 4.3 日常生活の困りごと(仕事ができない・記憶障害)があっても認定されないことはありますか?
- 4.4 意識障害があったのに非該当になることは普通にありますか?
- 4.5 高次脳機能障害の症状があるのに認められなかったのはなぜですか?
- 4.6 どんな検査や証拠を提出すれば後遺障害が認められますか?
- 4.7 記憶障害や集中力低下、性格変化などの自覚症状があるのに、それでも非該当と言われた場合、どう主張すればよいですか?
- 4.8 びまん性軸索損傷でよく認定される後遺障害等級(高次脳機能障害など)と、その典型的な認定パターンを知りたいです。
- 4.9 すでに症状固定とされているのですが、今から追加検査(MRI再検査・神経心理学検査など)を受けても異議申立てに間に合いますか?
- 5 まとめ
- 6 関連ページ
- 7 資料・サンプルを無料ダウンロード
びまん性軸索損傷の後遺障害が非該当になる5つの理由
画像所見の乏しさ
びまん性軸索損傷は、画像検査で異常が映らないことが多く、脳挫傷痕や脳萎縮などの「器質的損傷」の証拠に乏しいと判断されやすいです。
その結果、高次脳機能障害が残っていても、「脳損傷の証拠不十分」とされて、後遺障害に認定されないケースがあります。
受傷早期のMRI検査を実施していない
びまん性軸索損傷では、急性期に拡散強調画像(DWI)やT2*(T2スター)強調画像などで、微小出血を確認できることがあります。
しかし、受傷早期に適切なMRI検査を撮像していないと、その時期特有の画像所見を残せません。
その後の画像検査で明確な異常が出ないと、「本当に脳損傷があったのか」と疑われて、後遺障害が非該当になるリスクが高まります。

適切な神経心理学的検査を実施していない
高次脳機能障害の認定には、WAISなどの神経心理学的検査で記憶力・注意力・遂行機能の低下を数値化して示すことが重要です。
これらの検査を行っていないと、びまん性軸索損傷による機能低下が客観的に裏付けできないため、単なる主観的訴えとみなされます。
後遺障害診断書の記載内容が不十分
後遺障害診断書に「症状が軽快していく可能性がある」などと記載されると、後遺障害とみなされず非該当になりやすいです。
意識障害の記録が不十分
高次脳機能障害の等級認定では、受傷直後の意識障害(GCS・JCSの数値、昏睡の持続時間、健忘の期間など)が重視されます。
救急カルテに意識レベルの記録が乏しい場合、「重篤な意識障害はなかった」と判断されやすくなります。
その結果、びまん性軸索損傷と診断されていても、後遺障害に認定されないケースがあります。
びまん性軸索損傷が後遺障害に認定されない時の対処法
びまん性軸索損傷が後遺障害に認定されない原因を調べる
まず、自賠責保険の後遺障害等級認定結果で「非該当」とされた理由を確認して、どの点が足りないと判断されたのか整理するのが重要です。
画像所見なのか、意識障害記録なのか、神経心理学的検査の結果なのかを特定しなければ、有効な異議申し立てはできません。
弁護士や医療鑑定会社と相談して、後遺障害認定基準と照らして不足している要素を分析することが第一歩になります。
後遺障害認定基準を満たすための医証を集める
不足しているのが画像所見なら新たな画像検査や画像鑑定を検討します。症状の裏付けは神経心理学的検査や日常生活状況報告を準備します。
救急カルテやリハビリ記録を取り寄せて、意識障害や行動変化の経過を整理することも大切です。
自賠責保険が重視する要素を押さえた「医証パッケージ」を整えることで、非該当から等級認定に覆る可能性が高まります。
<検査>
自賠責保険に異議申し立てを行う
新たに収集した画像検査、神経心理学的検査、医師意見書、画像鑑定報告書、日常生活状況報告などをそろえて異議申し立てを行います。
びまん性軸索損傷の事案では、異議申し立て後に高次脳機能障害として3級や5級が認定された裁判例・実務例も多数あります。
尚、びまん性軸索損傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
びまん性軸索損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
びまん性軸索損傷の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
弁護士向け専門サポート
弊社では、交通事故で受傷した、びまん性軸索損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

びまん性軸索損傷が後遺障害認定されないでよくある質問
なぜ「びまん性軸索損傷」と診断されたのに後遺障害が非該当になるのですか?
医師が「びまん性軸索損傷」と診断していても、自賠責保険が重視するのは、以下のような客観的資料です。
- 脳損傷を示す画像所見
- 受傷直後の意識障害
- 神経心理学的検査
- 日常生活状況報告
これらが十分でないと、器質的脳損傷に基づく高次脳機能障害と評価されず、診断名はあっても後遺障害は非該当になります。
MRIやCTで異常が映らないと後遺障害は認められないのですか?
画像所見は重要ですが、絶対条件ではありません。びまん性軸索損傷は急性期に所見が乏しく、症状固定時の脳萎縮や脳室拡大で評価されます。
さらに、意識障害の経過、神経心理学的検査、家族の具体的な観察を総合して、高次脳機能障害として認定された裁判例も存在します。
画像所見が弱い場合は、後遺障害認定基準をクリアするために、他の医証で補強することがポイントです。
日常生活の困りごと(仕事ができない・記憶障害)があっても認定されないことはありますか?
日常生活で大きな支障があっても、それを医学的・客観的に示す資料が不足していると、後遺障害は認定されないことがあります。
仕事のミス、性格変化、社会的行動の障害などは、びまん性軸索損傷による高次脳機能障害の典型です。
しかし、神経心理学的検査結果や家族・職場の具体的な記録がなければ、「単なる性格の問題」と評価されてしまう危険があります。
意識障害があったのに非該当になることは普通にありますか?
救急搬送時に昏睡状態であっても、その記録が診断書に反映されていないと、「重篤な意識障害なし」と判断されることがあります。
また、昏睡の持続時間が認定基準より短い、あるいは健忘の経過が整理されていない場合にも、高次脳機能障害に認定されにくいです。
高次脳機能障害の症状があるのに認められなかったのはなぜですか?
画像所見や神経心理学的検査が、診断書に十分反映されていないと、「うつ病やストレス反応によるもの」とされてしまう可能性があります。
脳の器質的損傷に由来することを立証するために、各種の医証で「脳外傷後高次脳機能障害」として位置付けることが重要です。
どんな検査や証拠を提出すれば後遺障害が認められますか?
画像検査、受傷直後の意識レベル記録、神経心理学的検査、リハビリ記録、家族の詳細な観察メモや日常生活状況報告書が重要です。
さらに、脳神経科専門医が作成した医師意見書や画像鑑定報告書も有効であるケースが多いです。
記憶障害や集中力低下、性格変化などの自覚症状があるのに、それでも非該当と言われた場合、どう主張すればよいですか?
家族・職場の第三者の具体的な観察記録(メモ、日誌、陳述書)を集めて、事故前後の変化を詳細に示すことが有効です。
そのうえで、神経心理学的検査を受けて、脳神経科専門医に医師意見書を書いてもらい、異議申し立てで総合的に主張することが望まれます。
びまん性軸索損傷でよく認定される後遺障害等級(高次脳機能障害など)と、その典型的な認定パターンを知りたいです。
びまん性軸索損傷による高次脳機能障害では、重度なら2級1号・3級3号、中等度なら5級2号・7級4号・9級10号、軽度なら12級13号が多いです。
意識障害の重さや持続時間、画像所見の程度、就労能力の低下具合を総合して等級が決まります。具体例はこちらを参照してください。
<参考>
びまん性軸索損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
すでに症状固定とされているのですが、今から追加検査(MRI再検査・神経心理学検査など)を受けても異議申立てに間に合いますか?
症状固定後であっても、新たなMRIや神経心理学的検査を「新資料」として提出して、異議申し立てで等級が覆った実務例は少なくありません。
むしろ、初回申請時は資料が不十分なことが多く、びまん性軸索損傷では新たな医証が決定打になることもあります。
まとめ
びまん性軸索損傷は画像所見が乏しく、脳萎縮や出血が映らないことが多いため、後遺障害に認定されないことがあります。
特に、受傷早期にMRIを撮っていない場合や、神経心理学的検査を実施していないと、機能低下を客観的に示せず主観的訴えと判断されます。
また、後遺障害診断書の記載不足や、意識障害の記録が不完全だと重症度が認められず非該当の原因になります。
異議申し立てには、認定基準の不足点を分析して、画像検査や神経心理学的検査などの認定基準に則った医証を提出することが重要です。
びまん性軸索損傷の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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