交通事故で受傷したTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)で手首の痛みが残り、日常生活に支障がある方は少なくありません。
しかし、後遺障害申請しても「画像所見が不明瞭」「事故との因果関係が無い」といった理由で「非該当」となるケースが目立ちます。
納得のいかない結果を覆して、症状に見合った適切な認定を得るために効果を発揮するのが「医師意見書」です。
本記事では、医師意見書の具体的な記載内容、効果的な活用法、そしてスムーズな取得方法までを解説しています。
最終更新日: 2025/10/30
Table of Contents
TFCC損傷と医師意見書を正しく理解するために
手首のTFCC損傷とはどんなケガ?
TFCC損傷は、手首の小指側に位置する三角線維軟骨複合体が損傷して、回外・回内や荷重時の痛み、手関節の可動域制限などが発生する傷病です。
交通事故や転倒などで強い力が加わって発症することが多く、画像検査や臨床所見が後遺障害認定の判断材料となります。
<参考>
TFCC損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
医師意見書の役割と作成目的
医師意見書は、診断書やカルテなどの医証と併せて、傷病状態や事故との因果関係、後遺症の程度を詳しく説明する文書です。
異議申し立てや訴訟、そして保険会社との示談交渉において、当方の主張を医学的に補強する目的で作成されます。
特に、手外科専門医が作成した医師意見書は、審査側への説得力を持ち、後遺障害認定や訴訟に大きく影響します。
TFCC損傷の医師意見書に盛り込まれる主な内容
TFCC損傷に関する医師意見書には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- 治療経過
- 後遺症の種類や重症度
- 症状固定時期
- 画像検査の結果
- TFCC損傷と後遺症の因果関係
これら以外にも、TFCC損傷の後遺障害認定基準を満たしていることを、医学論文なども引用して解説します。
診断書と医師意見書の違いを整理
診断書は主治医が記載する傷病に関する簡易な公的証明であるのに対して、医師意見書は専門医の見解を伝える詳細な文書です。
医師意見書は、既存資料の分析と医学的評価を通じて、異議申し立て、訴訟、保険会社との示談交渉で、当方の主張を裏付ける証拠を提供します。

TFCC損傷で医師意見書が重視される理由
TFCC損傷の後遺症を医学的に解説
TFCC損傷後には手関節の痛みや可動域制限、持続する不安定感が残存しやすいですが、後遺障害認定では非該当になりやすいです。
医師意見書は、カルテや画像検査などを分析してTFCC損傷による後遺症を医学的に証明することで、後遺障害認定されるための証拠となります。
TFCC損傷の後遺障害認定基準への適合性を主張
TFCC損傷が後遺障害に認定されるには、事故との因果関係、MRI検査の画像所見、可動域制限や疼痛といった身体所見が重要です。
医師意見書は、TFCC損傷の後遺障害認定基準に適合していることを、各種の医証を引用して医学的に証明します。
異議申し立てや訴訟での証拠としての有用性
画像検査やカルテを精査した医師意見書は、異議申し立てや裁判において、当方の主張を裏付ける重要な証拠とされています。
TFCC損傷の医師意見書で「何を」証明すべきか
MRI等の画像所見と身体所見(圧痛点など)の一致
異議申し立てでは、MRIなど画像所見と圧痛点・腫脹・可動域制限などの身体所見が一致していることが後遺障害に認定されるポイントです。
手外科専門医によって作成された医師意見書では、画像所見と身体所見が一致していることを詳述します。
事故態様と受傷機転の整合性
交通事故の状況と、TFCC損傷の受傷機転が矛盾していると非該当になります。医師意見書では事故態様と受傷機転の整合性を詳述します。
後遺障害認定基準を満たす客観的評価
痛み、可動域制限、画像所見、治療経過の全てを総合的に証明して、後遺障害認定基準を満たしていることを医学的根拠とともに示します。
TFCC損傷の医師意見書取得の流れとは
意見書取得までのステップ
TFCC損傷の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
提供すべき資料と情報
TFCC損傷の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
意見書作成にかかる費用
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
意見書作成にかかる期間
TFCC損傷の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、手外科専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
TFCC損傷の後遺障害認定で押さえるべきポイント
TFCC損傷が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
TFCC損傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
TFCC損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
TFCC損傷の後遺障害申請を支援する専門サポート
弁護士向けのサポート内容
弊社では、交通事故で受傷した、TFCC損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向けの弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

TFCC損傷の医師意見書でよくある質問
事故とTFCC損傷の因果関係が疑われるのはどんな場合ですか?
事故直後に手関節の症状が無かったり、通常と受傷機序が異なるケースでは、因果関係が否定されやすいです。
そのため、診療記録や診断書を精査して、受傷からの手関節症状の経過を説明することが重要です。
TFCC損傷による後遺障害としてどのような障害が残るか?
持続的な手関節の痛み、可動域制限といった症状が、TFCC損傷で後遺障害に認定される代表的な後遺症です。
TFCC損傷の痛みが残っているのに非該当となる理由は何ですか?
画像所見の乏しさ、受傷直後のカルテ記載不足、診療経過で痛みの一貫性がない場合は、非該当と判断される傾向にあります。
TFCC損傷の後遺障害認定では画像所見(MRI等)がなぜ重要視されるのですか?
MRI検査が後遺障害認定で重要視される理由は、レントゲン検査では診断が難しく、MRI検査によるTFCC損傷の証明が必要だからです。
TFCC損傷の再建手術後でも後遺障害が認定されないことはありますか?
TFCC損傷の再建手術後に、手関節の可動域制限や疼痛が残っていなければ、「治癒扱い」となるため後遺障害に認定されません。
加齢や別要因によるTFCC損傷との区別は何をもとに判断されますか?
MRI検査での急性期の画像所見、診療記録、受傷機序などをもとにして、TFCC損傷が事故起因かどうかが判断されます。
TFCC損傷において診療記録や治療経過で注目されるポイントは何ですか?
症状の連続性、事故直後からの症状の存在、治療経過の客観的証拠(MRI、診療録など)が重視されます。
まとめ

TFCC損傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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