交通事故で脛骨(すねの骨)を骨折すると、治療後も痛みや可動域の制限が残ることがあります。
しかし、骨癒合していると、「後遺障害は残っていない」と判断されてしまいがちです。こうした時に有効なのが「画像鑑定」です。
画像鑑定とは、レントゲン・CT・MRI検査などを専門医が分析して、症状と画像所見の整合性を明らかにするものです。
画像鑑定によって痛みや可動域制限の医学的根拠を示すことが、異議申し立てや裁判における立証に役立ちます。
本記事では、脛骨骨折の画像鑑定の基本から、取得方法、医師意見書との違い、そして効果的な活用法まで詳しく解説しています。
最終更新日: 2025/10/23
Table of Contents
脛骨骨折で後遺障害認定されにくい理由と画像鑑定の重要性
なぜ脛骨骨折は「治った」と判断されやすいのか
脛骨骨折は、レントゲン検査などで骨癒合が確認されやすいことから「治癒」と判断されやすい傾向にあります。
しかし、骨自体の連続性が回復しても関節面が不整だと、痛みや可動域制限などが続くことは少なくありません。
「骨癒合=症状消失」と誤認される点が、後遺障害認定で不利に働くため、画像鑑定での客観的評価が重要となります。
<参考>
脛骨高原骨折(プラトー骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
画像鑑定で明らかになる医学的根拠とは
画像鑑定では、レントゲン・CT・MRI検査から、骨の変形や関節面の不整などを膝関節外科医が詳細に評価します。
特に、CT検査では詳細な関節面の評価を、MRI検査では半月板損傷や靭帯損傷や有無や程度を、詳細に確認できます。
画像鑑定で、痛みや可動域制限の原因を医学的に裏づけることで、後遺症の残存を客観的に証明する根拠となります。
後遺障害認定における画像鑑定の役割
脛骨骨折では、診断書やレセプト、画像検査だけでは後遺障害認定基準を満たすことが困難な場合があります。
画像鑑定は、自賠責保険に対して「後遺症は医学的に妥当である」ことを示す有力な手段です。
膝関節外科医が専門的に評価することで、異議申し立てや裁判時の中立的な証拠として高く評価されます。
画像鑑定に盛り込まれる主な項目
脛骨骨折の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 鑑定医師による総括
これら以外にも、画像所見が後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

脛骨骨折の後遺障害認定に画像鑑定を活かす方法
異議申し立てで「後遺症の残存」を立証する
前回の審査で非該当や低等級と判断された場合でも、画像鑑定によって後遺症の実態を詳細に示すことで異議申し立てが可能です。
特に、膝関節内骨折である脛骨高原骨折で関節面の不整像を提示できれば、異議申立書に説得力が加わります。
裁判で信頼される医学的証拠としての使い方
裁判では、臨床経験が豊富な膝関節外科医による、画像検査の客観的分析が重視されます。
画像鑑定は、画像所見を中心に論理的かつ中立的に説明されるため、非医療者である裁判官にも理解しやすいのが特徴です。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
脛骨骨折の画像鑑定を依頼するには|取得手順と費用の目安
画像鑑定の依頼から結果受領までの流れ
画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
画像鑑定依頼時に準備すべき医療資料と画像データ
脛骨骨折の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定の費用の目安
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定が完成するまでの期間
脛骨骨折の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
脛骨骨折の画像鑑定を効果的に使うコツ【弁護士向け】
脛骨骨折の後遺障害認定で重視されるポイント
脛骨骨折で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的で医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
画像鑑定の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
脛骨骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
脛骨高原骨折(プラトー骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
医師意見書との違いと使い分け
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
脛骨骨折の後遺障害認定を支援するサービス
弁護士へのサポート内容
弊社では、交通事故で受傷した、脛骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

脛骨骨折の画像鑑定でよくある質問
レントゲン写真だけで脛骨骨折の後遺障害は認定されますか?
レントゲン写真のみでは骨癒合の有無や変形程度しか評価できず、疼痛や機能障害の原因まで十分に説明できません。
後遺障害認定では、CTやMRI検査を含む複合的な画像解析によって、後遺症の存在を明確化するのが望ましいです。
CTやMRIなど、どの画像が脛骨骨折の後遺障害認定に有効ですか?
CT検査は、関節面の不整や変形の評価に優れています。一方、MRI検査は、軟部組織損傷も評価できます。
骨・軟部組織の損傷を正確に把握できるためには、両者を併用することが医学的根拠として最も強力です。
事故から時間が経ってから撮影した画像でも有効ですか?
画像鑑定では「治癒後の構造的変化」を評価するために、事故から時間が経過した症状固定時期の画像検査が重要です。
特に、関節面のズレは後遺症の証拠となり、経年的変化を通して後遺症残存の医学的妥当性を証明できます。
骨折がきれいに治っている(骨癒合している)と言われましたが、痛みがあります。後遺障害は認められますか?
骨癒合しても関節面の不整が残ると、荷重時や動作時の痛みが続くケースがあります。
画像鑑定で関節面の不整や軟骨損傷を証明できれば、後遺障害に認定される可能性があります。
可動域制限(関節が曲がりにくい・伸ばしにくい)は画像でどう証明しますか?
画像検査で関節面の不整の程度を評価することで、可動域制限が残った蓋然性を証明できます。
画像鑑定で特に重要視されるポイントは何ですか?
関節面の不整像や軟部組織損傷が、後遺障害診断書に記載されている症状の持続を裏づけられることが重視されます。
単なる「痛みの訴え」ではなく、画像上の変化として提示できる点が、画像鑑定のポイントです。
脛骨骨折後の後遺障害で認定されやすい等級は?
一般的には「疼痛の持続」や「可動域制限」が認められる場合には、12級または14級の後遺障害に認定されます。
関節変形が明確で高度の可動域制限が残っている場合には10級の可能性もあり、画像鑑定による詳細な裏付けが不可欠です。
まとめ
脛骨骨折は、レントゲン検査などで骨癒合が確認されやすいため「治った」と誤解されやすいです。
一方、膝関節面の不整や、半月板や靭帯などの軟部組織損傷が残ると、痛みや可動域制限が続くことがあります。
こうした後遺症を客観的に裏づけるには、レントゲン・CT・MRI検査を評価する画像鑑定が重要です。
画像鑑定では、膝関節外科医が骨変形や関節面の不整像を詳細に分析して、後遺症の存在を医学的に証明します。
非該当や低い等級とされても、画像鑑定を添付して異議申し立てを行うことで、後遺障害認定の可能性を高められます。
脛骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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