交通事故や労災事故で脛骨高原骨折を負った際に、後遺症の程度や、骨折と後遺症の因果関係を証明するために重要なのが「医師意見書」です。
医師意見書は「なぜ痛みや可動域制限が残っているのか」「画像所見と症状の関連はどうか」といった医学的な根拠を詳しく説明する文書です。
脛骨高原骨折は、関節面の損傷によって膝の可動域制限や変形性関節症を併発する可能性があり、後遺障害認定では医師の意見が重視されます。
本記事では、脛骨高原骨折に関する医師意見書の内容、取得方法、活用する方法を分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/10/13
Table of Contents
脛骨高原骨折と医師意見書の基本を理解する
脛骨高原骨折はどんなケガなのか
脛骨高原骨折は、膝の関節面である脛骨高原が損傷する骨折です。膝の外側が骨折するケースが多いです。
交通事故や高所からの転落などの強い外力によって発生して、膝関節面の複雑な骨折や半月板損傷を伴うこともあります。
重度の脛骨高原骨折は、治療終了後も膝の痛みや可動域制限などの後遺症を残すことが珍しくありません。
<参考>
脛骨高原骨折(プラトー骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
医師意見書の意味と役割
医師意見書は、専門医が診療記録・画像検査・診断書などを精査して、医学的な所見と評価を記す書面です。
交通事故の後遺障害申請時、異議申し立て、保険会社との示談交渉、そして訴訟の際に、医学的証拠として活用されます。
脛骨高原骨折の医師意見書に盛り込まれる主な内容
脛骨高原骨折の医師意見書には、主に以下のような事項が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- 受傷機転
- 治療経過
- 画像所見
- 後遺症の内容
- 関節可動域の具体的評価
- 後遺症と骨折との因果関係
- 後遺障害認定基準との適合性
異議申し立てや訴訟ではエビデンスの提示が重要なので、通常は医学文献を引用して、医師意見書の論理構成を補強します。
診断書との違いを知っておこう
診断書は、傷病名や治療見込みを簡便に記載する文書で、警察や職場、任意保険会社に提出されるケースが多いです。
一方、医師意見書は、後遺症に関する詳細な医学的評価や、骨折と後遺症の因果関係などの専門的な説明が加わります。
医師意見書は、自賠責保険や裁判所、保険会社での医学的な資料として、強い影響力を持ちます。
なぜ脛骨高原骨折では医師意見書が重要なのか
脛骨高原骨折後に残る後遺症の医学的ポイントを解説
脛骨高原骨折では、治療終了後も、膝の痛みや関節可動域制限、不安定感、跛行などの後遺症が問題となります。
医師意見書では、画像検査などで膝関節面の変形癒合を詳細に評価して、後遺症が残る蓋然性を医学的に解説します。
後遺障害認定基準との適合性の主張
医師意見書では、脛骨高原骨折の後遺症が後遺障害認定基準に適合していることを、画像検査などの医学的根拠を示して解説します。
例えば、画像検査の関節面の所見などで、膝関節の痛みや可動域制限が残る医学的証拠を提示するため、当方の主張の裏付けとなります。
異議申し立てや裁判での有力な証拠資料としての価値
異議申し立てや裁判では、医学的根拠に基づいて記載された医師意見書が、当方の主張を補強する重要な資料となります。
後遺症が残る蓋然性や、後遺症と骨折の因果関係を詳細に解説することで、後遺障害認定基準に適合していることの裏付けとなります。
また、裁判では、争点に対して専門医が医学的な見解を述べるため、当方の主張を裏付ける強力な証拠となります。
脛骨高原骨折の医師意見書を効果的に活用する
異議申立てで後遺障害認定を補強する方法
認定結果に不満がある場合、医師意見書で新たな医学的根拠を補強して異議申し立てすることで、後遺障害等級のアップが期待できます。
前回審査で後遺障害に認定されなかった原因を精査して、認定基準に足りない点を医師意見書で補強するのがポイントです。
保険会社との示談交渉を有利に進めるための裏付け
医師意見書を活用して後遺症の医学的根拠を明示すれば、保険会社との慰謝料や休業損害などの示談交渉を有利に進められます。
医師意見書でエビデンスをしっかり提示することで、保険会社側が慰謝料を見直すきっかけとなり、補償の適正化に寄与します。
裁判や調停で医学的根拠として提示
医師意見書は、裁判や調停においても、後遺障害の根拠を示す資料として利用されます。
画像検査や診療録に基づいて医学的整合性を解説して、当方の主張を補強するため、訴訟戦略で重要な役割を果たします。
脛骨高原骨折の医師意見書を入手するには
医師意見書を依頼・取得する具体的な手順
脛骨高原骨折の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
作成依頼に必要な資料や情報の準備
脛骨高原骨折の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書を作成する費用の目安
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
医師意見書の発行までにかかる期間
脛骨高原骨折の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
脛骨高原骨折・後遺障害認定チェックポイント【弁護士】
脛骨高原骨折が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
脛骨高原骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
脛骨高原骨折(プラトー骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
脛骨高原骨折の後遺障害認定における弊社のサポート内容
弁護士の方へのご案内
弊社では、交通事故で受傷した、脛骨高原骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者の方へのご案内
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
脛骨高原骨折の医師意見書でよくある質問
脛骨高原骨折ではどんな後遺障害が問題になりますか?
脛骨高原骨折では、慢性的な痛みや膝の可動域制限などが、後遺障害認定の対象となります。
手術(プレート固定や骨移植など)の有無は意見書に影響しますか?
脛骨高原骨折の手術の内容や治療経過は、意見書で言及されます。治療方法は、後遺症の重症度や後遺障害認定に大きく影響します。
可動域測定やX線所見は医師意見書にどのように反映されますか?
可動域測定結果や画像検査(X線、CT、MRI等)の所見は、医学的根拠として意見書の重要な要素です。
具体的な数値や画像所見によって、後遺症の程度を客観的に示すことができ、後遺障害認定の決定打となることもあります。
意見書を依頼するときに注意すべき点はありますか?
医師に意見書を依頼する際は、後遺症による仕事や日常生活への影響を丁寧に伝えることが重要です。
交通事故に詳しい弁護士に相談することで、より充実した内容の医師意見書を作成できます。
意見書の内容は後遺障害等級の認定にどの程度影響しますか?
医師意見書の記載内容や医学的根拠の充実度によって、後遺障害認定結果が大きく左右されます。
後遺症の客観的評価や画像所見による裏付けが強いほど、後遺障害に認定される可能性が高まります。
画像検査(X線・CT・MRI)は意見書に必要ですか?
画像検査は、骨折部の変形や関節への影響を客観的に示す資料なので、意見書の医学的根拠として必須です。
脛骨高原骨折の後遺症の重症度を証明するために、X線・CT・MRIなどの画像検査が必ず活用されます。
まとめ
脛骨高原骨折は、膝関節の脛骨上部の骨折で、痛みや可動域制限などの後遺症を残すことがあります。
脛骨高原骨折の後遺症を医学的に証明するために重要なのが「医師意見書」です。
医師意見書は、診療録や画像検査を基に専門医が作成するもので、異議申し立て、訴訟の際に強力な証拠となります。
医師意見書は、受傷機転や画像所見、後遺症の程度、因果関係などが詳しく記載されます。
脛骨高原骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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