交通事故や労災事故で半月板損傷を負った際には、その後の補償や後遺障害の認定において「医師意見書」が重要な役割を果たします。
医師意見書は「事故と症状の因果関係」や「後遺症の医学的根拠」を詳しく解説するため、後遺障害認定や示談交渉で重要な役割を果たします。
しかし、医師意見書には、どのような内容が記載されるのか、取得の流れや費用について不安を感じている方も少なくありません。
本記事では、医師意見書の基礎知識から実際の活用法、取得手順や注意点までを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/10/10
Table of Contents
半月板損傷と医師意見書の全体ガイド
半月板損傷の概要
半月板損傷は、膝関節にあるクッション役の半月板という軟部組織が、裂けたり断裂した状態です。
激しいスポーツや交通事故、加齢による変性などが原因となり、痛みや腫れ、膝の引っかかり感を生じます。
半月板損傷が重度の場合は、手術やリハビリが必要となり、後遺症が残るケースも珍しくありません。
<参考>
半月板損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
医師意見書の仕組み
医師意見書は、専門医が診療記録や画像検査などをもとにして、医学的所見や事故との因果関係、後遺障害の有無を専門的に記載する文書です。
特に、交通事故や労災事故の後遺障害認定手続き、異議申し立て、裁判、保険会社との示談交渉などで重要な証拠となります。
半月板損傷に関する医師意見書の記載要件
半月板損傷の医師意見書には、以下のような事項が記載されるケースが多いです。
- 受傷時の状況
- 診療内容
- MRIなどの画像所見
- 身体検査所見
- 後遺症の程度や永続性
- 後遺症と検査結果の関係
必要に応じて、交通事故と半月板損傷の因果関係も解説されます。
医師意見書と診断書の比較
診断書は、傷病名、治療経過を簡易的に記載するものです。警察、職場、保険会社に提出されるケースが多いです。
一方、医師意見書は、医学的根拠に基づいて、後遺症の重さや事故との因果関係について、客観的かつ詳細に記載されます。
医師意見書は、異議申し立て、保険会社との示談交渉、裁判で使用されるケースが多いです。

半月板損傷で医師意見書が重要な理由
半月板損傷の後遺症を医学的に説明
半月板損傷の後遺症として、膝の可動域制限、慢性的な痛み、歩行困難、関節の引っかかり感が挙げられます。
医師意見書では、後遺症の重症度や永続性を、画像所見や徒手検査などを基にして医学的に解説します。必要に応じて、医学論文も引用します。
後遺障害認定基準への適合性を医師意見書で解説
膝関節外科医によって作成された医師意見書では、症状固定後にも残る後遺症が、後遺障害認定基準を満たす根拠を解説します。
MRI検査、身体所見、関節鏡所見などを根拠にしているので、当方の主張の医学的な裏付けになります。
異議申し立てや訴訟での証拠力
半月板損傷の医師意見書は、異議申し立てや訴訟の際に、当方の主張の医学的な証拠文書となります。
事故との因果関係や後遺症の永続性を第三者的視点で記載することで、異議申し立てや訴訟での説得力を高めることができます。
半月板損傷で医師意見書を使う場面
異議申し立てで後遺障害に認定される根拠を強化
自賠責保険の後遺障害認定で非該当とされた場合、異議申し立てで医師意見書を提出することで、医学的根拠を補強することが可能です。
医師意見書の目的は、非該当や14級9号になった原因を覆すことなので、意見書の鑑定医師は後遺障害認定基準を熟知している必要があります。
保険会社との示談交渉で医師意見書を活用
膝関節外科医によって作成された医師意見書は、保険会社との示談交渉の際にも利用されます。
半月板損傷の医学的証拠を提示して、後遺症の程度や事故との因果関係を客観的に解説することで、示談交渉を有利に進められます。
裁判・調停で医学的証拠として利用
裁判や調停では、医師意見書が医学的根拠として採用されて、当方の主張の裏付けとなります。
膝関節外科医によって作成された医師意見書は、相手方の主張への反論の根拠として不可欠です。
半月板損傷の医師意見書取得マニュアル
医師意見書入手の具体的流れ
半月板損傷の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
医師意見書の必要書類・情報一覧
半月板損傷の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書取得にかかる費用
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
医師意見書取得期間の目安
半月板損傷の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
半月板損傷の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
半月板損傷が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
半月板損傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
半月板損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
半月板損傷の後遺障害認定で利用できる当社サービス
弁護士向けサポート案内
弊社では、交通事故で受傷した、半月板損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
患者さん向け後遺障害認定支援の案内
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

半月板損傷の医師意見書でよくある質問
医師意見書には、MRI画像や関節鏡手術の所見を記載してもらえるのか?
医師意見書には、膝の半月板損傷の証拠として、MRI画像や関節鏡手術の所見も詳細に記載されます。
MRI検査の画像所見や関節鏡の鏡視所見で、半月板の損傷部位や断裂の様子を視覚的に示すことで、医学的な裏付けとなります。
特に、事故直後のMRI検査の画像所見が重要で、後遺障害申請や異議申立などで大きな役割を果たします。
交通事故での半月板損傷と、加齢による変性をどう区別して記載してくれるのか?
交通事故による外傷性の半月板損傷と加齢による変性断裂の区別は、受傷機転や画像検査の所見で、ある程度判断できます。
医師意見書では、交通事故と半月板損傷の因果関係や新鮮損傷の画像所見を医学的に解説します。
損傷の部位(内側・外側)や程度(水平断裂、縦断裂など)は意見書に反映されるのか?
医師意見書には、半月板損傷の部位(内側半月板、外側半月板)だけでなく、断裂のタイプ(水平断裂や縦断裂など)も詳細に記載されます。
MRI検査の画像所見を提示して半月板損傷の分類を解説するため、異議申し立て、示談交渉、訴訟における当方の主張の根拠資料となります。
手術歴(縫合術・部分切除術など)はどのように記載されるのか?
手術歴は、医師意見書のポイントとして記載されます。どのような手術(例:縫合術、部分切除術)が行われたか、術後経過や再発リスクにも言及されます。
受傷から治療までの経過(保存療法・リハビリの有無)も意見書に盛り込まれるのか?
意見書には、受傷から治療までの経過、保存療法やリハビリの有無、治療のタイミングなどが必ず記載されます。
受傷の経緯や治療の流れを一貫して示すことで、半月板損傷と事故との因果関係や、後遺症の重症度がより客観的に評価されます。
膝関節の可動域制限や痛みの持続について、具体的な検査値を記載してもらえるのか?
膝関節の可動域制限は、具体的な測定値(膝の曲げ伸ばしの角度など)として記載されます。この記録が、後遺障害認定の重要資料となります。
膝関節の痛みの持続に関しては、画像検査などの客観的な所見を用いて詳細に解説されます。
将来的に変形性膝関節症に進行する可能性についても記載されるのか?
医師意見書では、長期的な予後として変形性膝関節症に進行する可能性についても記載される場合があります。
半月板損傷の程度や手術歴、治癒経過などに基づき、今後のリスク予測が解説されます。
まとめ
半月板損傷とは、膝関節のクッションである半月板が裂けたり断裂するケガで、スポーツや交通事故、加齢が原因となり、痛みや腫れ、引っかかり感などを引き起こします。
重症の場合は手術やリハビリが必要で、後遺症が残ることもあります。この際に重要となるのが医師意見書です。
医師意見書は、診療記録や画像検査をもとに事故との因果関係や後遺症の程度を医学的に記載した文書です。後遺障害認定や異議申し立て、示談交渉や裁判で強力な証拠となります。
MRI所見や手術歴、治療経過など詳細にまとめられ、客観的で説得力のある資料となります。半月板損傷の被害者が正当な補償を受けるうえで欠かせません。
半月板損傷の後遺障害認定でお困りであれば、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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