交通事故や労災で頚椎捻挫と診断されたら、後遺障害の認定や保険会社との交渉において重要となるのが「医師意見書」です。
診断書だけでは伝わりにくい症状の持続性や、後遺障害認定基準に適合する医学的根拠を補強する役割を担います。
しかし、医師意見書は一般の方にはなじみが薄く、どのように取得して、どんな場面で活用できるのか疑問に思う方も少なくありません。
本記事では、医師意見書の基礎知識から、交通事故や労災における有効性、実際の取得方法や費用まで詳しく解説しています。
読み終えた後には、医師意見書をどのように活用すれば、自分の主張をより有利に進められるかが理解できるはずです。
最終更新日: 2025/10/9
Table of Contents
頚椎捻挫と医師意見書の重要ポイント
頚椎捻挫の症状と特徴
頚椎捻挫(むち打ち症)は、交通事故やスポーツ事故などで、強い外力が首に加わって発生します。
首周辺の筋肉や靱帯、関節包などが損傷して、痛みやこわばり、頭痛、腕のしびれ、めまいなど多様な症状が現れます。
症状は、受傷直後から数日以内に現れるケースが多く、治療には安静や薬物療法、理学療法が行われます。
<参考>
むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される?|交通事故の医療鑑定
医師意見書の役割と目的
医師意見書は、主治医以外の第三者医師が、診療録や画像検査などの医学資料をもとに作成する文書です。
事故と傷病の因果関係、後遺症の有無や程度について、医学論文や教科書などの根拠を引用しながら、客観的に医学的見解をまとめます。
医師意見書は、異議申し立てや訴訟などで自賠責保険や裁判所に提出され、当方の主張を補強するために使われます。
頚椎捻挫に関する医師意見書の記載事項
頚椎捻挫に関する医師意見書には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- 治療経過
- 後遺症の種類や重症度
- 症状固定時期
- 画像検査の結果
- 事故と後遺症の因果関係
これら以外にも、頚椎捻挫の後遺症が後遺障害認定基準を満たしていることを、医学論文なども引用して解説します。
医師意見書と診断書の相違点
医師意見書は、専門医がカルテや診断書、画像検査などの資料を分析して、後遺症について客観的な医学的見解を記載します。医師意見書は、異議申し立てや裁判で用いられます。
一方、通常の診断書は、主治医が治療経過や負傷部位、現在の症状を簡潔に記載した文書です。治療経過や病状の証明書として、保険会社や警察に提出されます。
頚椎捻挫で医師意見書が欠かせない理由
頚椎捻挫の後遺症を医学的に裏づけるための根拠
頚椎捻挫は、身体所見や画像検査だけでは後遺症の有無や程度を判断しづらい傷病です。
医師意見書では、画像所見や神経学的所見、症状経過から、客観的・医学的に後遺症の存在を証明します。
頚椎捻挫の後遺障害認定基準との整合性を示す医証
後遺障害認定の審査では、神経学的所見や画像所見と自覚症状の整合性が極めて重要です。
医師意見書を通じて、後遺障害認定基準に沿った所見や経過を詳細に主張できるため、等級認定の根拠となります。
異議申し立てや訴訟における証拠価値
初回申請で非該当となっても、医師意見書を新たに作成・提出することで異議申し立てが認められたり、訴訟で客観的証拠として採用されるケースがあります。
医学的根拠が客観的に提示された医師意見書は、後遺症の存在を証明する資料として、証拠価値が非常に高いです。
頚椎捻挫の医師意見書を効果的に使うコツ
異議申し立てで後遺障害認定の根拠を補強する
頚椎捻挫の後遺障害認定で異議申し立てを行う際、医師意見書は医学的根拠を補強して、認定結果を覆す重要な証拠となります。
専門医が診療記録や画像所見・症状の一貫性を詳細に記載した医師意見書を添付することで、客観性が高まり異議申し立ての成功率が向上します。
保険会社との示談交渉を円滑に進めるための医証
保険会社との示談交渉では、医師意見書が、事故と症状の因果関係、症状の永続性などを医学的に補強します。
医師意見書によって保険会社側への説得力が増すため、損害賠償額の増額など、被害者に有利な条件で交渉を進めやすくなります。
裁判・調停での医学的根拠として提示
裁判や調停において、医師意見書は、事故による後遺症の存在や因果関係を証明する医学的根拠となります。
専門的な医学的見解が、裁判官に受け入れられやすくなり、被害者主張の正当性を補強する役割を果たします。
頚椎捻挫に関する医師意見書の入手ガイド
医師意見書を依頼・取得する手順
医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後に、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
作成時に必要な資料や情報
異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
- 神経学的所見の推移について
- 頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
<参考>
医師意見書の費用の目安
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
医師意見書が完成するまでの期間
医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
頚椎捻挫の後遺障害認定で押さえたいポイント【弁護士必見】
頚椎捻挫が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
頚椎捻挫で後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
頚椎捻挫の後遺障害認定を弊社がサポートできること
弁護士への支援内容
弊社では、交通事故で受傷した、頚椎捻挫の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
頚椎捻挫の後遺障害認定で悩む被害者へのサポート
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
頚椎捻挫の医師意見書でよくある質問
頚椎捻挫で後遺障害等級を申請する際に、医師意見書は必ず必要ですか?
後遺障害認定の申請や異議申し立てに際して、医師意見書は必須ではありません。
しかし、後遺障害診断書のみでは非該当とされるケースも多く、客観性のある医師意見書の添付は、後遺障害認定を後押しする重要な役割を果たします。
医師意見書にはどのような内容が書かれていると有利になりますか?
医学文献などのエビデンスをベースにして、医師意見書に以下の内容が記載されていると有利になります。
- 事故との因果関係
- 画像所見や神経学的所見と後遺症の因果関係
- 症状が永続する根拠
整形外科以外の医師に依頼しても問題ありませんか?
整形外科などの、むちうちや頚椎捻挫の専門領域の医師が担当すれば、後遺障害認定に有利です。
一方、外科などの専門性が低い科や、治療経過を十分把握していない医師では、説得力が低下する可能性があります。
意見書の記載が不十分な場合、追加で書いてもらうことは可能ですか?
医師意見書の記載に、誤記や内容の不足があれば、追記や修正を依頼することは可能です。
しかし、医学的根拠を逸脱した依頼は、医師意見書の信頼性を毀損してしまうので対応できません。
医師が意見書の作成を断ることはありますか?その場合はどうすればいいですか?
医師が意見書作成を拒否するのは、医学的根拠を逸脱した内容を要望したケースがほとんどです。
医師から意見書作成を断られた時には、医師意見書に記載できる内容や範囲を協議する必要があります。
異議申し立てをする際に、医師意見書を提出するのは効果がありますか?
異議申し立てには、医師意見書の添付が有効です。新たな医学的根拠を示すことで、後遺障害認定結果が覆る例もあります。
まとめ
頚椎捻挫(むち打ち症)は、事故などで首に強い力が加わって筋肉や靱帯が傷ついて発生し、痛みやしびれ、頭痛などの様々な症状が現れます。
診断書は主治医が作成する治療経過の証明書ですが、医師意見書は第三者医師が医学文献や画像データをもとに、客観的に後遺症の有無や重症度、事故との因果関係を詳しく解説する書類です。
医師意見書は、後遺症の医学的証明、後遺障害認定基準への適合性の主張、異議申し立てや裁判での証拠として利用され、等級認定や損害賠償交渉を有利に進めるために重要度が高いです。
医師意見書の取得には、資料準備・見積・作成依頼などのステップがあり、費用や期間は事案によって異なります。
頚椎捻挫の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。