手首を骨折したとき、まず気になるのが「どれくらいギプスをつけるのか」「いつ頃から元の生活に戻れるのか」といった治療や回復の目安です。
特に、交通事故など突然のアクシデントで骨折したら、今後の生活や仕事、家事への影響も不安になることでしょう。
また、ギプス装着中の過ごし方や注意点、ギプスを外した後のリハビリ方法や後遺症のリスクについても知っておくと安心です。
本記事では、手首骨折の治療過程におけるギプス固定期間を中心に、回復までの流れや注意点をわかりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/7/14
Table of Contents
手首骨折の基礎知識と主な治療法
手首骨折(橈骨遠位端骨折)とは
手首骨折、特に橈骨遠位端骨折は、転倒して手をついた際によく発生する骨折です。高齢者や骨粗鬆症の方、女性に多く見られます。
症状は手首の強い痛みや腫れ、変形、指のしびれなどが特徴です。骨折の程度により、治療法や回復期間が異なります。
骨のずれがない場合は保存療法が選択されますが、ずれが大きい場合や複雑な骨折では手術が必要になる可能性があります。
治療法の種類(保存療法と手術療法)
橈骨遠位端骨折の治療法は、骨折の状態や患者の年齢、活動レベルによって決まります。
骨のずれが少ない場合はギプスやシーネによる保存療法が一般的で、通常4~6週間の固定が行われます。
骨のずれが大きい場合や関節内骨折、粉砕骨折では、プレートやスクリューを用いた手術療法が選択されます。
手術後は早期からリハビリを始めることで関節の硬直や筋力低下を防ぎ、機能回復を目指します
ギプス固定の期間とその理由
一般的なギプス固定期間(4~6週間が標準)
手首骨折のギプス固定期間は、一般的に4~6週間が標準とされています。この期間は骨がしっかり癒合するために必要な時間であり、骨折の安定性や患者の年齢、骨の状態によって多少前後します。
固定中は患部を動かさず安静を保つことで、骨の自然な回復を促します。ギプスを外した後も、シーネの使用やリハビリが必要となるケースが多いです。
骨折の重症度や年齢による固定期間の違い
ギプス固定期間は骨折の重症度や患者の年齢によって変動します。骨のずれが少ない軽度の骨折では約4週間、ずれが大きい場合や骨癒合が遅い場合は6週間以上かかることもあります。
高齢者や骨粗鬆症の患者は骨の治癒が遅れる傾向があり、固定期間が長引くことがあります。また、子どもは骨の治癒が早いため、やや短期間で済むケースが多いです。
ギプス除去後のリハビリと全治までの目安
ギプス除去後はリハビリテーションが不可欠です。固定期間中に筋力や関節の柔軟性が低下するため、リハビリで徐々に可動域や筋力を回復させます。
軽度の骨折の場合、ギプス除去から2~3ヶ月で日常生活に復帰できることが多いですが、重度の骨折や高齢者の場合は3~6ヶ月かかることもあります。
ギプスで起こりやすい後遺症と注意点
循環障害(コンパートメント症候群)
ギプス固定中は、手首や指先の血流障害に注意が必要です。特にギプスがきつすぎる場合、血管や神経が圧迫され、強い痛みや腫れ、しびれ、指先の冷感などが現れることがあります。
これを放置するとコンパートメント症候群と呼ばれる重篤な循環障害に発展して、筋肉や神経の壊死を招く恐れがあります。異常を感じた場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
<参考>
コンパートメント症候群の5P症状と後遺症|交通事故の医療鑑定
ギプス装着中の注意点
ギプス装着中は、腫れやしびれ、指の動きの悪化などの症状に注意しましょう。ギプス内でのむくみを防ぐため、手を心臓より高く保つことや、指をこまめに動かすことが推奨されます。
また、ギプスが濡れると皮膚トラブルや感染のリスクが高まるため、水濡れにも注意が必要です。異常な痛みや指先の色の変化があれば、早急に医師へ相談しましょう。
手首骨折(橈骨遠位端骨折)の後遺症
手首の痛み
手首骨折の後遺症として痛みやしびれが残ることは珍しくありません。骨が癒合しても痛みが続くことがあります。
重い物を持ったり、スポーツなどで手首に負担がかかった際に痛みが強くなるケースも多いです。
症状が重い場合は安静時にも痛みやしびれが続き、日常生活や仕事に大きな支障をきたすことがあります。
可動域制限
手首骨折後は関節の可動域が制限されることがよくあります。これは骨折部位の癒着や関節周囲の筋肉・靱帯の硬化、長期間の固定による影響で起こります。
可動域制限が残ると、着替えや入浴、細かい作業、パソコン操作などの日常動作が困難になることがあります。
リハビリを継続することで改善が期待できますが、完全には元に戻らない場合もあります。
筋力低下
ギプス固定や安静期間が長くなることで筋力低下が生じやすくなります。手首や手の筋肉が弱り、物をうまく掴めなかったり、手に力が入りにくくなることがあります。
筋力低下はリハビリや自主トレーニングで回復する可能性がありますが、回復までに時間がかかります。
手首骨折(橈骨遠位端骨折)の後遺障害
橈骨遠位端骨折は、上肢の外傷で後遺症を残しやすい代表的な傷病です。ここでは橈骨遠位端骨折で施行するべき検査を考えてみましょう。
そのためには、橈骨遠位端骨折ではどのような障害を残す可能性があるのかを知る必要があります。
手関節の機能障害
手関節の機能障害(可動域制限)は、橈骨遠位端関節面の不整が原因となる事案が多いです。
等級 | 認定基準 |
8級6号 | 上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
8級6号:一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
手関節が強直(癒着して動かなくなること)した、もしくは関節が完全弛緩性麻痺になった状態です。
10級10号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
手関節の可動域が、健側の可動域の1/2以下に制限されているものをいいます。
12級6号:一上肢の三大関節の一関節の機能に障害を残すもの
手関節の可動域が、健側の可動域の3/4以下に制限されているものをいいます。
手関節の神経障害
手関節の神経障害(痛み)は、以下が原因となるケースが多いです。
- 橈骨遠位端関節面の不整
- TFCC損傷
- 尺骨茎状突起の偽関節
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
この場合の神経症状とは痛みのことです。画像所見等で客観的に痛みの存在を証明できるものをいいます。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
画像所見等で客観的に痛みの存在を証明できないものの、受傷時の態様や治療経過から痛みの存在が説明つくものをいいます。
長管骨の変形障害
12級8号:長管骨に変形を残すもの
手関節では、主に尺骨茎状突起に偽関節を残したものをいいます。稀に橈骨茎状突起に偽関節を残すものもあります。
手首骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
手首骨折(橈骨遠位端骨折)が後遺障害に認定されるためには、いくつかのポイントがあります。詳細については、こちらのコラム記事を参照してください。
<参考>
手首骨折(橈骨遠位端骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
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<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
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<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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手首骨折のギプス期間でよくある質問
手首のギプスを外した後はどうなりますか?
ギプスを外した直後は、手首や指の動きが硬くなり、筋力も低下しています。まずは軽い可動域訓練から始めて、徐々に手首の動きを広げていきます。
重いものを持つなど強い負荷は避けて、医師の指導のもとで運動を進めることが大切です。リハビリを継続することで、日常生活への早期復帰と後遺症予防が期待できます。
手首のギプスを外した後はどうなりますか?
ギプス除去後は、手首の可動域や筋力が著しく低下しているため、リハビリが不可欠です。
最初は手首の曲げ伸ばしやひねり運動、指先の運動などを中心に行い、徐々に負荷を増やしていきます。
痛みや腫れが強い場合は無理をせず、冷却や安静を取り入れましょう。
リハビリを怠ると関節の拘縮や筋力低下が長引くため、医師の指導のもとで根気よく続けることが回復の鍵となります。
まとめ
手首骨折(橈骨遠位端骨折)は、転倒などで手をついた際によく起こり、高齢者や女性に多く見られます。
治療法は骨折の状態により異なり、軽度の場合はギプス固定(通常4~6週間)、重度では手術が行われます。
固定期間中は血流障害などの合併症に注意が必要で、除去後にはリハビリが不可欠です。
後遺症として可動域制限や痛み、筋力低下が残ることがあり、交通事故で受傷した場合は後遺障害に認定される可能性があります。
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