交通事故後にむちうちと診断されたものの、「今日は痛みが強い」「昨日はほとんど気にならなかった」など、日によって症状の出方が違うことに戸惑っていませんか?
実はむちうちの症状は、気圧や天候、日々の体の使い方、メンタルの状態など、さまざまな要因で変動することがあります。
このような日々の変化にどう対処すればよいのか、また後遺障害として認定される可能性があるのかなど、不安に感じる方も多いはずです。
本記事では、むちうちの症状が日によって違う理由を医学的観点からわかりやすく解説して、症状管理のコツや適切な対応法、後遺障害認定のポイントについても詳しくお伝えします。
最終更新日: 2025/6/28
Table of Contents
むちうちの症状が日によって違う理由
ライフスタイルや活動による影響
日常の首肩の使い方や姿勢、運動量によってむちうち症状は変動します。たとえば、スマホやデスクワークで首に負担がかかると、筋肉の緊張が強まり、痛みやコリが増加します。
逆に軽いストレッチや適度な運動は血流改善に役立ち、症状の軽減を促します。
天候や気圧変動が症状に与える影響
低気圧が近づくと、気圧変化を内耳が感知して、自律神経のバランスが乱れることで首の痛みやめまい、頭痛などの症状が悪化しやすくなります。
血管の拡張や自律神経の乱れが主な原因と考えられています。特に雨天時は自律神経が乱れやすく、古傷やむちうち症状が敏感に反応することが知られています。
身体の自然治癒過程による症状の変化
むちうちによる損傷は回復過程で炎症のフェーズ変化を伴います。急性期には強い痛みや腫れが出ますが、数日~数週間を過ぎると組織修復が進み痛みが変化します。
逆に、線維化や関節拘縮が始まると、こわばりや慢性的な違和感が現れることがあります。
ストレスやメンタルヘルスが及ぼす影響
心理的ストレスを感じると交感神経が優位になり、筋肉の緊張や血行不良を引き起こします。
また、痛みへの注意が増すことで不安が強まり、痛みを増幅させることもあります。
むちうち治療では、心身のリラックスを促すセルフケアや認知行動的アプローチが有効です。
むちうちの主な症状とその変動パターン
首や肩の痛み
むちうちでは、追突などの外力で首周辺の筋肉や靭帯が損傷して、首や肩に強い痛みやこわばりを引き起こすことが多いです。
むちうちの痛みやしびれなどの症状は、事故直後ではなく数時間から数日後に現れることが多いです。動かすと悪化しやすく、頭や腕にも広がることがあります。
頭痛
むちうちによる頭痛は後頭部や首に起因する「頚性頭痛」で、首の可動域制限や神経の圧迫、筋肉の緊張が原因です。
事故から数時間~数日後に現れることが多く、首の動きで悪化する特徴があります。
腕や手指の痛みやしびれ
神経根損傷型では、首の神経が圧迫されることで腕や手に鋭い痛みやしびれが広がります。
これは頚椎の神経出口に炎症や腫れが生じるためで、重症化すると筋力低下や感覚異常を伴うケースもあります。
めまい
頚性めまいは、むち打ちによる頚椎周囲の損傷や血流・神経バランスの乱れが内耳機能に影響し起こります。
めまいは数分~数時間続くことがあり、頭痛やバランス障害を伴うことが多いです。
吐き気
むちうちによる吐き気は、自律神経系や頭部への循環障害が原因で現れます。
めまいや頭痛とセットで出ることが多く、被害者の約25~50%が経験するという報告もあります。
<参考>
【日経メディカル】あなどれない「むち打ち」の後遺症、首にとどまらない驚きの症状とは
日によって変わる症状への対応方法
通院してリハビリテーションを継続する
温熱療法、電気刺激、牽引、可動域訓練、筋力強化などを週3〜4回の頻度で継続的に行うことで、血流改善や筋緊張の緩和、関節可動性の回復が期待できます。
特に、自己判断で中断すると慢性化や後遺症化のリスクが高まるため、医師の指導のもと、計画的に通院し続けることが重要です。
適切な薬の服用
炎症や痛みを和らげるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が一般的に処方されます。
たとえば、ロキソニンは鎮痛・消炎効果があり、首や肩の痛み、頭痛に効果を発揮します。
むちうちの症状が日によって違うと後遺障害認定はどうなる?
症状が日によって違っても後遺障害認定の可能性はある
むちうちは、症状の強弱が日ごとに変わっても、後遺障害として認定される可能性があります。
14級9号では「画像所見なしでも神経症状が医学的に説明できる」ことが条件であり、症状の一貫性が重要です。
自覚症状を適切に医師に伝えることで、症状の推移が診療録に残りやすくなり、日内変動があっても認定対象となり得ます。
<参考>
【医師が解説】むちうち症状の伝え方3つのポイント|交通事故
事故規模や通院状況が影響する
後遺障害認定を受けるには、事故の衝撃の程度や通院頻度・期間が大きく影響します。
特に6ヵ月以上、整形外科で継続的に通院して、検査や治療記録を残すことが求められます。
交通事故が軽微で通院回数が少ない場合や記録が不十分だと、症状の持続性や因果関係を証明しにくくなり、認定が難しくなります。
診断書や画像所見も重要
後遺障害診断書は後遺障害認定審査の最重要資料です。過去から症状固定までの治療経過や検査結果、神経学的所見などが詳細に記載されている必要があります。
また、MRI検査などの画像所見で神経圧迫などを認めれば、後遺障害に認定される可能性が高まります。
むちうちの後遺障害
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
むちうちでは、12級13号が最も高い後遺障害等級です。首の痛みだけではなく、肩こり、上肢のしびれや痛み、めまいや頭痛、嘔気なども後遺障害として認定される可能性があります。
12級13号に認定されるためには、レントゲン検査やMRI検査で客観的(他覚的)な異常所見があることが前提になります。
異常所見には骨折や脱臼はもちろんですが、その他にも椎間板ヘルニアや骨棘(頚椎加齢の変化)、椎間板高の減少(加齢による変性で椎間板の厚みが減少する)も含まれます。
椎間板や神経は、レントゲン検査では写らないため、MRI検査を実施しないと評価できません。このため、症状固定までレントゲン検査しか施行されていないと、12級13号に認定される可能性は極めて低いです。
また、若い患者さんでは加齢による変化が少ないため、MRIを撮像しても異常所見が無いことが多いです。このようなケースでも12級13号には認定されません。
12級13号では、画像検査だけでは不十分で、客観的な身体所見が必要とされます。身体所見とは、筋力低下、筋肉の萎縮(やせて細くなる)、深部腱反射の異常(医師が打腱器を使って行う検査)です。
しびれ(知覚障害)の範囲も、画像所見で圧迫されている神経の分布に一致している必要があります。筋力低下は、徒手筋力テスト(MMT)で評価されます。
<参考>
【医師が解説】徒手筋力検査は後遺症12級認定のポイント|交通事故
14級9号:局部に神経症状を残すもの
12級13号では、自覚症状(患者さんの訴え)だけでは不充分で、身体所見と画像所見の完全一致が原則です。しかし、14級9号では、自覚症状だけでも後遺障害に認定される可能性があります、
14級9号に認定されるには、症状の持続性や一貫性が重要ですが、日による変動があっても、診療記録などで医学的に説明できる場合は認定される可能性があります。
「天気が悪いときに痛い」などの症状が消失する時間があると認定されません。
また、あまりに車体の損傷が小さい軽微な交通事故では、いくら症状が強くても14級9号は認定されにくいです。
むちうちの後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
むちうちの後遺障害認定ポイントはこちらにまとめています。むちうちの後遺障害認定でお困りの方は参照していただければ幸いです。
<参考>
頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
むちうちの後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、むちうちの後遺症が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
むちうちの後遺症でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
むちうちの症状が日によって違うでよくある質問
むち打ちの痛みはぶり返すものなの?
むちうち症は、事故直後に症状が軽くても、数週間後や数年後に痛みやしびれが再発することがあります。
これは初期治療が不十分な場合や、寒暖差・気圧変動などによる体調の変化が引き金になるためです。
むち打ちのピークはいつですか?
多くのケースで、むちうちの痛みは事故直後から翌日にかけて現れ、3〜5日以内に症状が最も強くなることがあります。
その後は自然に改善しますが、個人差によりピーク時期は前後する可能性があります。
むちうち症状は何日後で出る?
むちうちの症状は、即日~翌日に発症するケースが多い一方、数週間経過してから緩やかに症状が現れることもあります。
炎症の進行や精神的な緩みが原因で、遅発性症状が見られることがあります。
むちうちの症状固定の時期は?
症状固定とは、これ以上回復が見込めない状態であり、一般的には受傷から3〜6か月で判断されます。
重症ケースでは1年以上までかかることもあります。最終判断は医師が行います。
むち打ちの初期症状は?
むちうちでは、首や肩の痛み、頭痛、めまい、手足のしびれ、だるさ、不眠などの症状が現れることがあります。
これらの症状は事故直後よりも、数日経ってから出現することが多いです。初期対応が不十分だと、症状が慢性化するリスクもあります。
まとめ
むちうちは、事故後すぐに症状が出ないことも多く、首や肩の痛み、頭痛、めまい、しびれなどが日によって変化します。
この波のある症状には、姿勢や運動量、天候、気圧、ストレス、自律神経の乱れなどが影響しています。
症状を安定させるには、リハビリや薬物療法を継続することが重要です。
日によって症状が変動しても、記録を丁寧に残せば後遺障害として認定される可能性もあります。適切な対応が後遺症の予防にもつながります。
むちうちの日によって症状が違う事案の後遺障害認定で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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