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2025.6.8

医療訴訟

入院患者の飛び降り自殺は損害賠償請求できる?|医療訴訟・医師意見書

入院患者による飛び降り自殺は、遺族や関係者に深い衝撃を与えるだけでなく、医療機関にとっても重大な責任問題となり得ます。

 

特に精神疾患や重篤な病気を抱える患者が、自ら命を絶つ選択をしてしまったら、その背景には何があったのか、病院側に防ぐ手立てはなかったのかといった疑問が生じます。

 

本記事では、入院患者の飛び降り自殺に関する実態や過去の事例、病院側の安全対策の現状と法的責任について、多角的に掘り下げていきます。

 

自殺防止に向けた医療機関の対応や課題を明らかにしつつ、遺族が損害賠償を求める際の法的観点や判断基準についても解説します。

 

 

最終更新日: 2025/6/10

 

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Table of Contents

入院患者の飛び降り自殺とは

入院患者の自殺が重大医療事故とされる理由

日本医療機能評価機構は、病院内での入院患者の自殺事故を「院内における主要な重大医療事故のひとつ」と位置づけています。

 

これは、医療機関が患者の安全を確保する責任を持つ中で、自殺が発生した場合、その予防策や対応の不備が問われるためです。

 

特に、精神疾患や重篤な身体疾患を抱える患者に対しては、リスク評価や環境整備、スタッフの教育など、組織的な自殺予防対策が求められています。

 

 

飛び降り自殺が選ばれる背景

入院患者の自殺手段として、縊死に次いで高所からの飛び降りが多く報告されています。

 

飛び降りが選ばれる背景には、病院施設内の高所へのアクセスが比較的容易であることや、即死性が高いと認識されていることが挙げられます。

 

また、飛び降り自殺を図った患者の多くが内因性精神障害を抱えており、うつ病の再発リスクが高いことも影響しています。

 

これらの要因から、病院内での高所へのアクセス制限や、患者の精神状態の継続的な評価が重要とされています。

 

 

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どのような入院患者がリスクを抱えているか

精神科・一般病院での主な疾患と自殺率

精神科医療機関での調査によると、入院患者の自殺率は10万人あたり154.5人と高く、特にうつ病や統合失調症などの精神疾患を抱える患者が多く含まれています。

 

また、一般病院でも身体疾患と精神疾患を併発する患者が多く、医療スタッフによる精神的ケアの重要性が指摘されています。

 

 

がん患者や精神疾患患者など、リスクの高いケース

がん患者は、診断直後から1年以内に自殺リスクが特に高まるとされ、一般人口と比較して約20倍のリスクが報告されています。

 

特に進行がんや頭頸部がんの患者、男性においてリスクが高い傾向があります。

 

精神疾患の併発や社会的孤立もリスク要因とされ、医療機関による早期の心理的支援が求められています。

 

 

病院内・敷地内での飛び降り自殺の実態

具体的な事例紹介(裁判例や報告書から)

入院患者の飛び降り自殺に関する裁判例では、病院の監視義務や予見可能性が争点となることが多いです。

 

例えば、精神疾患を抱える患者が病院の屋上から飛び降り自殺を図った事例では、病院側の安全管理体制や患者のリスク評価の適切性が問われました。

 

これらの事例は、医療機関が自殺リスクの高い患者に対してどのような予防策を講じるべきかを考える上で重要な参考となります。

 

 

自殺手段としての飛び降りの割合と特徴

入院患者の自殺手段として、飛び降りは縊死に次いで多く報告されています。

 

飛び降りが選ばれる背景には、病院施設内の高所へのアクセスが比較的容易であることや、即死性が高いと認識されていることが挙げられます。

 

また、飛び降り自殺を図った患者の多くが内因性精神障害を抱えており、うつ病の再発リスクが高いことも影響しています。

 

これらの要因から、病院内での高所へのアクセス制限や、患者の精神状態の継続的な評価が重要とされています。

 

 

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自殺予防のために医療機関が取るべき対策

リスクアセスメントと予兆の把握

入院患者の自殺予防には、リスクアセスメントと予兆の把握が不可欠です。患者の精神状態や行動の変化、過去の自殺企図歴などを評価して、希死念慮や絶望感の表出に注意を払うことが重要です。

 

また、専門科へのコンサルテーションや多職種によるカンファレンスを通じて、患者の状態を継続的にモニタリングし、早期介入を図ることが求められます。

 

 

環境整備(高所へのアクセス制限など)

病院内での自殺を防ぐためには、環境整備が重要です。高所からの飛び降りや縊首を防止するために、屋上や階段へのアクセス制限、引っ掛かりのない手すりや耐荷重制限のあるカーテンの設置などが推奨されます。

 

また、患者の所持品や病室内の設備にも注意を払い、自殺手段となり得る物品の管理を徹底することが求められます。

 

 

スタッフ教育と情報共有の重要性

自殺予防には、医療スタッフの教育と情報共有が不可欠です。スタッフが自殺リスクや予兆を正しく理解し、適切に対応できるよう、定期的な研修や事例検討会の実施が推奨されます。

 

また、患者の状態やリスク評価に関する情報を多職種間で共有して、チーム全体で連携して対応する体制を整えることが重要です。

 

 

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医療機関の法的責任と過失判断のポイント

監護・監視義務と過失の有無の判断基準

医療機関には、入院患者の生命・身体の安全を確保する義務があります。特に精神疾患を抱える患者に対しては、自殺リスクを予見して、適切な監護・監視を行う責任が求められます。

 

過失の有無は、患者の病状、過去の自殺企図の有無、病院の巡回体制などを総合的に考慮して判断されます。

 

例えば、夜間の巡回が不十分であったケースでは、過失が認定される可能性があります。

 

 

入院後早期の自殺や予見可能性が争点となるケース

入院直後の患者の自殺においては、医療機関が自殺の予見可能性を持っていたかが争点となります。

 

患者が過去に自殺企図をしていた場合や、希死念慮が認められるケースでは、病院側には自殺を予見して、防止する義務があるとされます。

 

しかし、患者の自殺リスクが明確でない場合、過失が否定されることもあります。

 

 

判例からみる病院・医師の責任範囲

判例では、病院や医師の責任範囲は患者の状態や病院の対応によって異なります。

 

例えば、患者が自殺を図る可能性が高いと認識されていたのに、適切な監視や環境整備が行われていなかったら、病院側の過失が認定される可能性があります。

 

一方で、患者の自殺リスクが予見できなかったと判断された場合は、病院側の責任が否定されるケースもあります。

 

 

病院の過失を問えるかの判断には医療調査が必要

入院患者の自殺に対する損害賠償請求では、病院に過失があることを証明する必要があります。

 

過失の証明には、カルテや看護記録だけでなく、協力医(精神科専門医)による医療調査医師意見書が不可欠です。

 

しかし、弁護士が自分の伝手だけで、精神科の協力医を探し出すのは難しいケースが多いです。

 

 

<参考>

 

 

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メディカルコンサルティングができること

病院に過失があるのかについての医療調査

入院患者の自殺を予見できた場合には、病院の過失となり、損害賠償請求の対象となります。

 

弊社では、精神科の事案でも、病院に過失があるかの医療調査(意見書作成可否調査)が可能です。詳細は、以下のコラム記事をご確認ください。

 

 

<参考>
医療事故における医療調査の基本内容とは?費用も解説|医師意見書

 

 

医療調査できる診療科一覧

弊社では、以下のようにほぼ全科の医療調査を実施できます。

 

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 眼科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 産婦人科
  • 泌尿器科
  • 脳神経内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 腎臓内科
  • 血液内科
  • 小児科
  • 放射線科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • ⻭科
  • 麻酔科
  • 救急科
  • 感染症科
  • ペイン科
  • 病理

 

 

医療訴訟で使用する医師意見書

意見書作成可否調査で医療過誤であることが判明した場合、各科の専門医による顕名の医師意見書を作成することが可能です。

 

医療過誤の可能性がある事案で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

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医師意見書の作成にかかる費用

医療調査(意見書作成可否調査)

医療訴訟用の医師意見書を作成できるのかを判断するために、医療調査(意見書作成可否調査)を必須とさせていただいています。

 

意見書作成可否調査では、各科の専門医が、診療録や画像検査などの膨大な資料を精査いたします。

 

概要

価格

基本料

140,000円

動画の長い事案

170,000円

追加質問

45,000円 / 回

 

※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には医療調査(意見書作成可否調査)が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても医療調査の返金は致しません

 

 

医師意見書

医療調査(意見書作成可否調査)の結果、医療ミスが判明して、医師意見書を作成する際には、別途で医師意見書作成費用がかかります。

 

概要

価格

一般の科

400,000円~

精神科

450,000円~

心臓血管外科

500,000円~

施設(老健、グループホームなど)

350,000円~

 

 

弊社が医療訴訟で医師意見書を作成した実例

 

弊社には全国の法律事務所から医療訴訟の相談が寄せられます。これまで下記のような科の医師意見書を作成してきました。
 

  • 脳神経外科
  • 脳神経内科(神経内科)
  • 整形外科
  • 一般内科
  • 消化器外科
  • 消化器内科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科(成人)
  • 心臓血管外科(小児)
  • 循環器内科
  • 産科
  • 婦人科
  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 歯科

 

 

一方、眼科や美容整形外科に関しては相談件数が多いものの、実際に医療過誤である事案はほとんど無いです。このため弊社においても、医師意見書の作成実績がありません。

 

 

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入院患者の飛び降りでよくある質問

病院から脱走した場合の責任は?

入院患者が無断で病院を離れたら、病院の責任は患者の状態や病院の対応によって異なります。

 

例えば、精神疾患を抱える患者が無断離院して、他人に危害を加えた事例では、病院側の監視義務違反が認定されて、損害賠償責任が問われました。

 

一方で、任意入院の患者が無断離院して自殺したケースでは、病院の過失が否定されて、責任が認められなかった例もあります。このように、病院の責任は個別の状況に応じて判断されます。

 

 

 

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まとめ

 

入院患者の自殺、とくに飛び降りによるものは、医療機関にとって重大な問題です。

 

病院には患者の安全を守る法的責任があり、自殺が起きた場合、リスク評価の不足や環境整備の不備が問われます。

 

飛び降りは即死性が高く、病院内で高所へのアクセスが比較的容易なことも一因です。

 

精神疾患やがんを患う患者は自殺リスクが高く、特にうつ病や統合失調症の患者では注意が必要です。

 

そのため病院は、リスクアセスメントや環境対策、スタッフ教育を徹底して、再発防止に努める必要があります。

 

入院患者の自殺の損害賠償請求で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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関連ページ

 

 

 

 

 

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