追突事故に遭った後、首や肩の痛み、頭痛などの症状が続いていませんか? これは「むちうち」と呼ばれる症状で、多くの方が経験するものです。
しかし、その治療期間には個人差があります。症状の重さや治療方法によって、数週間で回復する場合もあれば、長期間にわたるケースもあります。
本記事では、むちうちの一般的な治療期間の目安や、症状の程度による違い、回復を早めるためのポイントについて詳しく解説します。
また、治療期間が長引いた場合の慰謝料への影響や、保険会社による治療費の打ち切り対策についても触れています。
追突事故後のむちうちに不安を抱えている方が、適切な治療を受け、安心して回復に向かえるよう、ぜひ参考にしてください。
最終更新日: 2025/2/20
Table of Contents
むちうちの一般的な治療期間
むちうちは、追突事故などで首に急激な衝撃が加わることで生じる症状で、その治療期間は症状の程度や個人差によって異なります。
以下に、症状の程度別の治療期間の目安や社会復帰までの期間、治療期間が長引く要因について解説します。
軽度のむちうちの場合
軽度のむちうちは、主に首の違和感や軽い痛みが特徴で、一般的には1週間から1ヶ月程度で症状が改善します。
適切な安静や物理療法を行うことで、早期の回復が期待できます。ただし、症状が軽微でも放置せず、医師の診断と指導を受けることが重要です。
中度のむちうちの場合
中度のむちうちは、首の痛みに加え、肩や背中のこり、頭痛、めまいなどの症状が現れることがあります。
治療期間は約1ヶ月から3ヶ月程度とされ、物理療法や薬物療法、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を行います。
重度のむちうちの場合
重度のむちうちは、神経症状や強い痛みが伴い、日常生活に支障をきたすことがあります。治療期間は3ヶ月以上、場合によっては6ヶ月以上に及ぶケースもあります。
この場合、専門的な医療機関での精密検査や、集中的なリハビリテーションが必要となることがあります。
社会復帰までの目安
むちうちの症状からの社会復帰の時期は、症状の程度や職種によって異なります。軽度の場合は数日から1週間程度で復職可能なことが多いです。
中度や重度の場合は、症状の改善状況や業務内容に応じて、数週間から数ヶ月の休養が必要となるケースも稀にあります。
治療期間が長引く要因
むちうちの治療期間が長引く要因として、以下の点が挙げられます。
初期治療の遅れ
事故直後に適切な治療を受けないと、症状が悪化して、治療期間が延びる可能性があります。
不適切な治療方法
自己判断で治療を中断したり、適切でない治療を行うと、症状が改善しにくくなります。
心理的要因
ストレスや不安が症状を悪化させて、回復を遅らせることがあります。
既往症の影響
以前からの首や背中の疾患があると、症状が複雑化して治療が長引く可能性があります。
これらの要因を避けるためにも、事故後は速やかに医療機関を受診して、医師の指導のもとで適切な治療を継続することが重要です。
追突事故によるむちうちの概要
追突事故は、交通事故の中でも特に多く発生するタイプであり、その際に首に強い衝撃が加わることで「むちうち」と呼ばれる症状が生じるケースがあります。
むちうちは、正式には「頚椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」とも呼ばれ、首の筋肉や靭帯が損傷を受ける状態です。
事故直後は症状が軽微であっても、時間の経過とともに痛みや不調が現れることがあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
追突事故とむちうちの関係
追突事故では、後方からの衝撃により首が前後に激しく揺さぶられます。この動きが鞭を打つように見えることから「むちうち」と呼ばれています。
この際、首の筋肉や靭帯、神経組織が損傷を受けて、痛みや可動域の制限などの症状が現れます。特に、追突事故はむちうちの主な原因とされており、事故後は注意が必要です。
むちうちの一般的な症状
むちうちの症状は多岐にわたり、主なものとして以下が挙げられます。
- 首の痛みやこり
- 肩や背中の痛み
- 頭痛
- めまい
- 手や腕のしびれ
これらの症状は、事故直後だけでなく、数日経ってから現れることもあります。そのため、事故後は症状の有無に関わらず、医療機関での診察を受けることが推奨されます。
むちうちの治療方法
むちうちの治療は、症状の程度や個人の状態によって異なりますが、一般的な方法として以下が挙げられます。
安静
初期段階では、首の負担を軽減するために安静が必要です。
薬物療法
痛みや炎症を抑えるための消炎鎮痛剤や筋弛緩剤の投与。
理学療法
温熱療法や電気療法、超音波療法などで筋肉の緊張を和らげる。
運動療法
症状の改善に伴い、ストレッチや軽い運動で筋力を回復させる。
治療期間は個人差がありますが、適切な治療とリハビリテーションを継続することで、多くの場合、症状の改善が期待できます。
重要なのは、自己判断で治療を中断せず、医師の指導のもとで適切な治療を続けることです。
<参考>
【日経メディカル】あなどれない「むち打ち」の後遺症、首にとどまらない驚きの症状とは
むちうちの治療期間が長ければ慰謝料は増額する?
治療期間が長いと慰謝料は増額する
むちうちの治療期間が長くなると、通院日数が増加して、その結果、慰謝料の金額も増加する傾向があります。
慰謝料は、入通院期間や日数に基づいて算定されるため、適切な治療を継続して、通院実績をしっかりと記録することが大切です。
支払いを打ち切られない適度な頻度の通院を
一方、保険会社は、むちうちの治療期間が長期化すると、治療費の支払いを打ち切る傾向にあります。
むちうちの治療では、3ヶ月を過ぎたあたりから打ち切りの連絡が来ることがあるため、適度な頻度で通院して、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。
<参考>
むちうちの通院期間の目安は?やめるタイミングも解説|医療鑑定
整骨院ではなく医療機関で治療する
整骨院での施術は、医療機関での治療と比べて、保険会社から正当な治療と認められにくい傾向にあります。
そのため、慰謝料や治療費の請求を確実に行うためには、医師の診断や治療記録が重要となる医療機関での治療を優先することが推奨されます。
<参考>
交通事故で整骨院(接骨院)がだめな理由と注意点|後遺障害の医療鑑定
整骨院に通うなら保険会社に連絡する
どうしても整骨院での施術を希望する場合は、事前に保険会社に連絡して、了承を得ることが必要です。
無断で通院すると、後に治療費が支払われないリスクがあるため、注意が必要です。
治療費の任意一括対応打ち切りの対処法
むちうち治療費は3ヶ月で打ち切り?
保険会社は、むちうちの治療開始から3ヶ月が経過すると、治療費の打ち切りを検討し始めることが多いです。
その理由は、むちうちの治療期間の目安が3~6ヶ月とされているためです。しかし、症状や回復状況は個人差があり、一律に3ヶ月で打ち切ることが適切とは限りません。
治療費打ち切りの対処法は?
治療費の打ち切りを告げられた場合でも、症状が残っている場合は治療を継続することが重要です。
打ち切り後は、健康保険を利用して治療を続け、自己負担分は後に保険会社へ損害賠償として請求することが可能です。
ただし、必ずしも全額が認められるとは限らないため、医師の診断書や治療記録をしっかりと保管して、適切な手続きを行うことが大切です。
<参考>
むちうちで治療打ち切りにならない方法は?|交通事故の後遺障害
むちうちの後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
MRI検査の実施が重要
むちうちの症状は、レントゲン検査では異常が確認できないケースが多いです。MRI検査で神経根の圧迫を明確にできれば、後遺障害認定審査で有利に働きます。
<参考>
【日経メディカル】むち打ちが後遺障害に認定される必須の3条件
症状固定後も後遺障害認定まで継続通院を
症状固定後も、後遺障害認定の結果が確定するまでは、週1回程度の定期的な通院を続けることが重要です。
通院を継続することで、症状の持続性や深刻さを医療記録に残せるため、非該当と判断されても、異議申し立ての際に有力な証拠となります。
<参考>
むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される?|交通事故の医療鑑定
後遺障害診断書の内容を確認する
後遺障害診断書は、認定審査で最も重要な書類の一つです。症状の詳細や検査結果が具体的に記載されているかを確認して、不備があれば修正を依頼することが必要です。
また、後遺障害認定に不利となる表現(禁忌ワード)が含まれていれば、記載内容の修正を依頼しましょう。
後遺障害診断書の記載内容で、不明点やお困りの事案があれば、こちらからお気軽にご相談下さい。
むちうちの後遺障害認定でお困りの事案で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故後に発症した「むちうち」の後遺障害認定でお困りの事案に対応するため、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
むちうちの後遺障害認定でお悩みの被害者家族の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
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むちうちで後遺障害に認定されると損害賠償金を請求できる
むちうちで後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料とは
交通事故で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害慰謝料の相場は?
むちうちによる後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級によって異なります。例えば、12級13号の場合、慰謝料の相場は約290万円、14級9号の場合は約110万円です。
等級が高いほど慰謝料の金額も高くなります。また、弁護士基準を用いることで、より高額な慰謝料を受け取ることができる場合もあります。
後遺障害逸失利益とは
後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
後遺障害慰謝料の相場は?
むちうちによる後遺障害逸失利益の相場は、後遺障害等級や被害者の年収によって異なります。一般的には、年収または平均賃金の5%から14%を数年から最大10年分として計算されます。
例えば、12級13号の場合、労働能力喪失率は14%、14級9号の場合は5%とされています。
追突事故のむちうち治療期間でよくある質問
むちうちの通院はいつまで続くの?
むちうちの治療期間は個人差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度とされています。
症状が軽減しても、自己判断で通院を中止せず、医師の指示に従って適切な治療を継続することが重要です。
特に、事故直後は症状が軽くても、後から悪化するケースもあるため、注意が必要です。
むちうちになったら電気治療は毎日したほうがいいですか?
電気治療は、むちうちの痛みや炎症を和らげる効果があります。特に事故後1~2週間は炎症が強いため、毎日の通院が推奨されます。
その後も、症状に応じて定期的な治療を継続することで、早期回復が期待できます。
むちうちで3ヶ月通院したら示談金はいくらですか?
むちうちの治療で3ヶ月間通院した場合、慰謝料の金額は通院日数や頻度、症状の程度などによって異なります。
一般的に、通院日数が多いほど慰謝料の金額は増加しますが、具体的な金額は個別のケースによります。
適切な補償を受けるためには、専門の弁護士や保険会社と相談し、正確な情報を得ることが重要です。
まとめ
むちうちは追突事故などで首に強い衝撃が加わることで発生します。症状の程度によって治療期間が異なります。
軽度なら1週間〜1ヶ月、中度は1〜3ヶ月、重度では3ヶ月以上かかることもあります。適切な治療を行わないと症状が悪化し、回復が遅れる原因になります。
事故後は早めに医療機関を受診して、医師の指導のもとで治療を継続することが大切です。特に重度の場合は精密検査やリハビリが必要になるケースもあります。
むちうちの後遺障害認定で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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