手首骨折後にリハビリを行っても、手首が曲がらないという悩みを抱えている方は少なくありません。
本記事では、手首骨折後に手首が曲がらない原因やリハビリ方法、そして後遺障害の可能性について詳しく解説します。
最終更新日: 2024/12/1
Table of Contents
手首骨折(橈骨遠位端骨折)とは
手首骨折(橈骨遠位端骨折)は、手首に近い橈骨が骨折する状態を指します。特に、高齢者が転倒して手をついた際に多く発生します。症状としては、手首の痛み、腫れ、変形が見られ、しびれを伴うケースもあります。
治療法は、骨のずれがない場合はギプス固定、骨にずれ(転位)がある場合は手術が必要です。リハビリテーションも重要で、早期から行うことで手首の機能を回復させることができます
手首骨折で曲がらない時はリハビリが必要
手首が曲がらない原因
手首骨折後に手首が曲がらない原因としては、骨折による関節包と骨との癒着や筋肉の萎縮などが考えられます。
リハビリ開始のタイミングと注意点
リハビリは、ギプスやシーネなどの外固定を施をした後、できるだけ早期に開始することが推奨されます。
具体的には、負傷後数日からリハビリを始めるのが理想です。リハビリを始める際には、無理をせず、強い痛みを感じない範囲で行うことが重要です。
また、手首骨折した当初は骨折部が不安定です。このため、医師の指導のもと適切なリハビリテーションを行うことが大切です。
リハビリの終了の目安は?
リハビリの終了の目安は、日常生活に支障をきたさない程度まで回復した時です。具体的には、痛みがなくなり、手首の可動域が正常に戻り、筋力が回復した時が目安となります。
また、保険診療でリハビリを受けられる期間が終了した時も、終了のタイミングとなるケースが多いです。
手首骨折で曲がらないときのリハビリ
ギプス固定中に行うリハビリ
ギプス固定中のリハビリは、手首の血行を促進し、むくみを防ぐために重要です。具体的には、指を握ったり開いたりする運動や、肘の曲げ伸ばしを行います。
これにより、手首周辺の筋肉や関節の拘縮を防ぎ、ギプス固定終了後の回復をスムーズにします
ギプス固定が外れてからのリハビリ
ギプスが外れた後のリハビリは、手首の可動域を広げることを目的とします。具体的には、手首を回す運動や、物をつまむ練習を行います。
また、筋力を回復させるために、軽い負荷をかけた運動も取り入れます。
リハビリ期間中に避けるべき行動
リハビリ期間中に避けるべき行動としては、過度な運動があります。自己判断でリハビリの強度を上げることは避けるべきです。
リハビリのやりすぎは逆効果?
リハビリのやりすぎは逆効果になる可能性があります。適切な頻度で、医師の指導のもとでリハビリを実施することが重要です。
手首骨折でリハビリしても曲がらない時の後遺障害等級
手関節の機能障害
手関節の機能障害(可動域制限)は、橈骨遠位端関節面の不整が原因となる事案が多いです。
等級 | 認定基準 |
8級6号 | 上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
10級10号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
手関節の可動域が、健側の可動域の1/2以下に制限されているものをいいます。
12級6号:一上肢の三大関節の一関節の機能に障害を残すもの
手関節の可動域が、健側の可動域の3/4以下に制限されているものをいいます。
手関節の神経障害
手関節の神経障害(痛み)は、以下が原因となるケースが多いです。
- 橈骨遠位端関節面の不整
- TFCC損傷
- 尺骨茎状突起の偽関節
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
この場合の神経症状とは痛みのことです。画像所見等で客観的に痛みの存在を証明できるものをいいます。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
画像所見等で客観的に痛みの存在を証明できないものの、受傷時の態様や治療経過から痛みの存在が説明つくものをいいます。
長管骨の変形障害
12級8号:長管骨に変形を残すもの
手関節では、主に尺骨茎状突起に偽関節を残したものをいいます。稀に橈骨茎状突起に偽関節を残すものもあります。
手首骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
橈骨の関節面の不整に注目する
手首骨折で、可動域制限や痛みが残る原因として最も多いのは、橈骨遠位端の関節面の不整です。
後遺障害に認定されるか否かは、橈骨の関節面不整を客観的に証明できるかにかかっています。
橈骨の関節面の不整を精査するためには、CT検査(3方向での再構成像)およびレントゲン検査(両側2方向)が必要です。
まずCT検査ですが、3方向とは矢状断、前額断、冠状断です。特に矢状断が重要で、関節面の不整像が描出されることが多いです。
レントゲン検査も重要です。CT検査やMRI検査の方が重要だと認識している方が多いですが、これは大きな間違いです。
私の感覚では、CT検査よりもレントゲン検査の方が、外傷性関節症の存在を客観的に証明できる決め手になることが多い印象を抱いています。
ちなみに、橈骨遠位端に起因する疼痛の原因検索に関しては、MRI検査はあまり意味がありません。
<参考>
手首の関節裂隙の狭小化にも注目する
橈骨の関節面に不整が残っていると、症状固定の頃には外傷性関節症の所見を認める可能性があります。
具体的には、手首の関節裂隙の狭小化です。この変化は僅かなものなので、手外科専門医にしか分からないケースもあります。
また、レントゲン検査を経時的に比較したり、健側と比較することも有効です。手首骨折の画像所見でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
【12級6号】手首骨折後遺症の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:42歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
歩行中に自動車に衝突されて橈骨遠位端骨折を受傷しました。初回申請で非該当でしたが、手首の痛みが強く日常生活への影響が大きいため、弊社に相談がありました。
弊社の取り組み
手首の痛みを精査する目的で、3テスラのMRIを再施行しました。MRIでは、TFCC損傷の所見がありました。
手の外科専門医(整形外科専門医)による意見書を作成しました。自賠責保険は手関節のTFCC損傷の存在をみとめ、12級13号を認定しました。
手首骨折の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、手首骨折が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
手首骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者家族の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
手首骨折が後遺障害認定されると損害賠償金を請求できる
手首骨折(橈骨遠位端骨折)で後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
手首骨折の後遺障害慰謝料とは
手首骨折(橈骨遠位端骨折)で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
手首骨折の後遺障害逸失利益とは
手首骨折(橈骨遠位端骨折)の後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。
後遺障害逸失利益の計算式
手首骨折(橈骨遠位端骨折)の後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
手首骨折でよくある質問
骨はついたのに曲がらないのはなぜですか?
骨がついたのに手首が曲がらない原因としては、関節の拘縮や筋肉の萎縮などが考えられます。骨癒合したのに手首が曲がらないことは非常に多いです。
指が曲がらないのは後遺症ですか?
手首骨折で指が曲がらない原因として、骨折部での腱の癒着や関節拘縮などが考えられます。これらの症状が残る場合、後遺障害として認定される可能性があります。
<参考>
指が曲がらない後遺障害の認定条件と傷病名|交通事故の医療鑑定
手首骨折は全治何ヶ月ですか?
手首骨折(橈骨遠位端骨折)の全治期間は、一般的に約3~6ヵ月とされています。治療期間中は、ギプス固定や手術が行われ、その後リハビリを通じて手首の機能を回復させます。ただし、年齢や骨折の程度によって治癒期間は異なることがあります。
骨折した後の拘縮は回復しますか?
骨折後の拘縮は、適切なリハビリを行うことで回復が可能です。リハビリを通じて、関節の可動域を広げ、筋力を回復させることが重要です。
拘縮を治す方法はありますか?
拘縮を治すためには、運動療法や物理療法が効果的です。関節可動域訓練やストレッチ、マッサージを行うことで、関節の柔軟性を取り戻すことができます。また、温熱療法や電気療法も拘縮の改善に役立ちます。
場合によっては、手術療法で拘縮を治すケースもありますが、最終手段と位置付けられています。
手首骨折後にリハビリしても曲がらない時のまとめ
手首骨折(橈骨遠位端骨折)は、手首に近い橈骨が骨折する状態を指し、交通事故や高齢者が転倒して手をついた際に多く発生します。
症状としては手首の痛み、腫れ、変形、しびれが見られます。リハビリは重要で、早期から行うことで手首の機能回復を図ります。リハビリ中は無理をせず、強い痛みを感じない範囲で行うことが大切です。
手首が曲がらない原因としては、骨折による関節包と骨との癒着や筋肉の萎縮が考えられます。後遺障害として認定される可能性があります。
手首骨折の後遺障害認定でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。