動揺関節とは、交通事故などの外傷で靭帯が損傷して、関節がグラグラになってしまった状態です。
関節がグラグラになると、ちょっとした動作で関節が脱臼しそうになるので、日常生活が大きく制限されます。
本記事は、動揺関節が後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。
最終更新日:2024/11/25
Table of Contents
動揺関節とは
動揺関節の定義
動揺関節とは、靭帯損傷のために関節が不安定になって、異常な方向に動くようになった状態です。
動揺関節の原因
動揺関節で多いのは、膝関節と肩関節です。膝関節の動揺の原因として、以下の靱帯損傷によって生じます。
- 前十字靭帯損傷(ACL損傷)
- 後十字靭帯損傷(PCL損傷)
- 複合靭帯損傷(ACL+MCL損傷など)
膝関節の靭帯損傷で最も多いのは内側側副靭帯ですが、内側側副靭帯損傷だけでは動揺関節になりません。
<参考>
【医師が解説】膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)の後遺症|医療鑑定
【医師が解説】後十字靭帯損傷(PCL損傷)の後遺症|医療鑑定
【医師が解説】膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷)の後遺症|医療鑑定
動揺関節の症状
動揺関節の症状として、関節が不安定で、通常ではない異常な方向に動く、などがあります。
関節がグラグラなので、関節が脱臼しそうな不安感や痛みを訴えるケースがしばしばあります。
動揺関節の診断方法
動揺関節を診断する方法として、徒手検査、画像検査、計測機械などがあります。
徒手検査
- 前方引き出しテスト
- ラックマンテスト(Lachman test)
- N-test
- Pivot shift test
画像検査
- ストレス撮影
- MRI検査
計測機械
- KT1000
動揺関節の治療法
動揺関節の治療法には、手術療法と装具療法があります。根本的な治療は、靱帯再建術などの手術療法です。
何らかの事情で手術が難しい場合には、やむを得ず硬性装具などの装具療法を選択するケースもあります。
動揺関節の後遺障害
上肢の動揺関節の後遺障害等級
上肢の動揺関節の後遺障害等級は、重症度によって以下のように認定されます。
10級
常に硬性補装具を必要とするものは、「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」として10級に認定されます。
12級
時々硬性補装具を必要とするものは、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として12級に認定されます。
また、肩関節の習慣性脱臼も、12級に認定されますが、事故との因果関係が争いになるケースが珍しくありません。
<参考>
肩関節脱臼の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
下肢の動揺関節の後遺障害等級
下肢の動揺関節の後遺障害等級は、重症度によって以下のように認定されます。
8級
常に硬性補装具を必要とするものは、「1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」として8級に認定されます。
10級
時々硬性補装具を必要とするものは、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として10級に認定されます。
12級
重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないものは、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として12級に認定されます。
また、膝蓋骨の習慣性脱臼や弾発膝も、12級に認定されます。
動揺関節が後遺障害に認定される方法
動揺関節が後遺障害に認定されるためには、以下のすべてを満たす必要があります。
- MRI検査で靭帯損傷を認める
- 徒手検査とストレス撮影で関節の動揺性を証明できる
- 硬性補装具の着用
【弁護士必見】動揺関節の後遺障害認定ポイント
動揺関節の後遺障害認定ハードルは高い
動揺関節が後遺障害に認定されるハードルは極めて高いです。その理由は、動揺関節は後遺症の程度が大きいため、通常は手術療法を行うからです。
実臨床では、下肢の後遺障害8級や10級に該当する事案は、ほぼ存在しないと言ってよいでしょう。
「膝関節靭帯損傷による動揺性に関する所見についてのご質問」が重要
実務的には、画像所見(MRI検査+ストレス撮影)および「膝関節靭帯損傷による動揺性に関する所見についてのご質問」の記載内容で後遺障害が審査されます。
「膝関節靭帯損傷による動揺性に関する所見についてのご質問」のポイントは、膝補装具の「硬性」がチェックされていることです。
しかし、保存療法では、軟性補装具を処方されるケースがほとんどです。このため、実務的には10級以上の後遺障害等級が認定される可能性は極めて低いです。
<参考>
【医師が解説】膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)の後遺症|医療鑑定
【医師が解説】後十字靭帯損傷(PCL損傷)の後遺症|医療鑑定
硬性補装具処方だけでは後遺障害に認定されない
動揺関節の後遺障害認定基準には、硬性補装具が頻出します。このため、硬性補装具を処方してもらえば、後遺障害に認定されると考える弁護士が後を絶ちません。
しかし、単に医師から硬性補装具を処方してもらっただけでは、後遺障害に認定されません。
動揺関節の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
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等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
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弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故による動揺関節の後遺症でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
まとめ
動揺関節とは、靭帯損傷のために関節が不安定になって、異常な方向に動くようになった状態です。
動揺関節の原因として多いのは、膝関節の前十字靭帯損傷(ACL損傷)、後十字靭帯損傷(PCL損傷)、肩関節の習慣性脱臼です。
動揺関節が後遺障害に認定されるためには、以下のすべてを満たす必要があります。
- MRI検査で靭帯損傷を認める
- 徒手検査とストレス撮影で関節の動揺性を証明できる
- 硬性補装具の着用
動揺関節でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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