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【医師が解説】動揺関節が後遺障害認定されるポイント|医療鑑定

動揺関節とは、交通事故などの外傷で靭帯が損傷して、関節がグラグラになってしまった状態です。

 

関節がグラグラになると、ちょっとした動作で関節が脱臼しそうになるので、日常生活が大きく制限されます。

 

本記事は、動揺関節が後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/7/25

 

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動揺関節とは

動揺関節の定義

動揺関節とは、靭帯損傷のために関節が不安定になって、異常な方向に動くようになった状態です。

 

 

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動揺関節の原因

動揺関節で多いのは、膝関節と肩関節です。膝関節の動揺の原因として、以下の靱帯損傷によって生じます。

 

  • 前十字靭帯損傷(ACL損傷)
  • 後十字靭帯損傷(PCL損傷)
  • 複合靭帯損傷(ACL+MCL損傷など)

 

 

膝関節の靭帯損傷で最も多いのは内側側副靭帯ですが、内側側副靭帯損傷だけでは動揺関節になりません。

 

 

<参考>
【医師が解説】膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)の後遺症|医療鑑定
【医師が解説】後十字靭帯損傷(PCL損傷)の後遺症|医療鑑定
【医師が解説】膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷)の後遺症|医療鑑定

 

 

動揺関節の症状

動揺関節の症状として、関節が不安定で、通常ではない異常な方向に動く、などがあります。

 

関節がグラグラなので、関節が脱臼しそうな不安感や痛みを訴えるケースがしばしばあります。

 

 

動揺関節の診断方法

動揺関節を診断する方法として、徒手検査、画像検査、計測機械などがあります。

 

徒手検査

  • 前方引き出しテスト
  • ラックマンテスト(Lachman test)
  • N-test
  • Pivot shift test

 

画像検査

  • ストレス撮影
  • MRI検査

 

計測機械

  • KT1000

 

 

動揺関節の治療法

動揺関節の治療法には、手術療法と装具療法があります。根本的な治療は、靱帯再建術などの手術療法です。

 

何らかの事情で手術が難しい場合には、やむを得ず硬性装具などの装具療法を選択するケースもあります。

 

 

 

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動揺関節の後遺障害

上肢の動揺関節の後遺障害等級

上肢の動揺関節の後遺障害等級は、重症度によって以下のように認定されます。

 

 

10級

常に硬性補装具を必要とするものは、「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」として10級に認定されます。

 

 

12級

時々硬性補装具を必要とするものは、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として12級に認定されます。

 

また、肩関節の習慣性脱臼も、12級に認定されますが、補装具処方がネックになります。

 

 

下肢の動揺関節の後遺障害等級

下肢の動揺関節の後遺障害等級は、重症度によって以下のように認定されます。

 

 

8級

常に硬性補装具を必要とするものは、「1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」として8級に認定されます。

 

 

10級

時々硬性補装具を必要とするものは、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として10級に認定されます。

 

 

12級

重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないものは、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として12級に認定されます。

 

また、膝蓋骨の習慣性脱臼や弾発膝も、12級に認定されます。

 

 

動揺関節が後遺障害に認定される方法

動揺関節が後遺障害に認定されるためには、以下のすべてを満たす必要があります。

 

  • MRI検査で靭帯損傷を認める
  • 徒手検査とストレス撮影で関節の動揺性を証明できる
  • 硬性補装具の着用

 

 

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【弁護士必見】動揺関節の後遺障害認定ポイント

動揺関節の後遺障害認定ハードルは高い

動揺関節が後遺障害に認定されるハードルは極めて高いです。その理由は、動揺関節は後遺症の程度が大きいため、通常は手術療法を行うからです。

 

実臨床では、下肢の後遺障害8級や10級に該当する事案は、ほぼ存在しないと言ってよいでしょう。

 

 

「膝関節靭帯損傷による動揺性に関する所見についてのご質問」が重要

実務的には、画像所見(MRI検査+ストレス撮影)および「膝関節靭帯損傷による動揺性に関する所見についてのご質問」の記載内容で後遺障害が審査されます。

 

「膝関節靭帯損傷による動揺性に関する所見についてのご質問」のポイントは、膝補装具の「硬性」がチェックされていることです。

 

しかし、保存療法では、軟性補装具を処方されるケースがほとんどです。このため、実務的には10級以上の後遺障害等級が認定される可能性は極めて低いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)の後遺症|医療鑑定
【医師が解説】後十字靭帯損傷(PCL損傷)の後遺症|医療鑑定

 

 

硬性補装具処方だけでは後遺障害に認定されない

動揺関節の後遺障害認定基準には、硬性補装具が頻出します。このため、硬性補装具を処方してもらえば、後遺障害に認定されると考える弁護士が後を絶ちません。

 

しかし、単に医師から硬性補装具を処方してもらっただけでは、後遺障害に認定されません。

 

 

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まとめ

 

動揺関節とは、靭帯損傷のために関節が不安定になって、異常な方向に動くようになった状態です。

 

動揺関節の原因として多いのは、膝関節の前十字靭帯損傷(ACL損傷)、後十字靭帯損傷(PCL損傷)、肩関節の習慣性脱臼です。

 

動揺関節が後遺障害に認定されるためには、以下のすべてを満たす必要があります。

 

  • MRI検査で靭帯損傷を認める
  • 徒手検査とストレス撮影で関節の動揺性を証明できる
  • 硬性補装具の着用

 

 

動揺関節でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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