交通事故では、整形外科で治療を受けるケースが多いです。一方、整形外科とよく似た科には外科があります。外傷であれば、外科でも大丈夫そうですが、本当にそうなのでしょうか。
結論から言うと、治療においても、後遺障害に認定される確率の観点からも、整形外科での治療が推奨されます。
本記事は、外科と整形外科の違いと、後遺障害に認定される確率を上げるためには、整形外科で治療を受けるべき理由が分かるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/13
Table of Contents
外科と整形外科の違い
外科は腹部の消化器系疾患を取り扱う科
外科が取り扱う領域は、主に腹部(消化器系)の疾患です。胸部疾患を扱う外科医も居ますが、人数では消化器を専門とする医師が最も多いです。
一方、整形外科は四肢や脊椎疾患などの骨、関節、筋肉、靱帯を主に扱います。外科は腹部や胸部を扱う科なので、根本的に整形外科と外科は全く異なる科なのです。
外科医は四肢や脊椎疾患を研修していない
外科が取り扱う領域は主に腹部(消化器系)の疾患なので、四肢や脊椎疾患の系統立った臨床研修を受けていない医師が大多数です。
したがって、むちうち(頚椎捻挫)や腰椎捻挫はもちろんのこと、関節外傷の知識に関しても、整形外科専門医に大きく劣後します。整骨院ほどではないですが、外科ではなく整形外科で治療を受けることが望ましいでしょう。
<参考>
【医師が解説】整骨院に行かない方がいいのか|交通事故の後遺障害
外科と整形外科の見分け方
掲示板の1番目に記載されている科に注目
病院では分業体制が進んでいるため、外科医がむちうち(頚椎捻挫)や関節外傷を治療するケースは稀です。しかし、開業医では、外科医であっても四肢や脊椎疾患を診ていることが多いです。
しかし、傷病に対する理解や経験は整形外科専門医に遠く及ばないため、四肢や脊椎疾患に関しては整形外科で治療することを強く推奨します。
一方、現実問題として、外科と整形外科では、外観上の違いが分からないケースが多いです。外科と整形外科を見分ける際には、掲示板の最初に記載されている科に注目しましょう。
掲示板の1番目に外科と書かれていれば、その医院は外科医です。2番目に整形外科と書かれていても、整形外科の臨床研修歴は無いと考えるべきでしょう。
整形外科であれば、必ず掲示板の1番目に整形外科と書かれているはずです。整形外科医は腹部疾患を診れないので、外科を最初に持ってくることは考え難いからです。
【例】
診療科:外科、内科、整形外科、皮膚科 → 外科
診療科:外科、整形外科、リハビリテーション科 → 外科
診療科:整形外科、外科、内科 → 整形外科
クリニック(医院)の名称でも判断できる
診療科の記載順だけではなく、クリニック(医院)の名称でも、外科と整形外科の判断が可能です。
【例】
○○外科・整形外科医院 → 外科
○○外科・整形外科クリニック → 外科
○○整形外科クリニック → 整形外科
○○整形外科・リハビリテーション科医院 → 整形外科
HPで専門医資格を確認
最近では、自院のホームページを作成している開業医が多いです。ホームページの院長紹介ページでは、その医師が取得している専門医資格が記載されています。
ここに整形外科専門医が記載されていれば整形外科医です。外科専門医や消化器外科専門医の記載しかなければ、整形外科医ではなく外科医と考えるべきでしょう。
【弁護士必見】外科医が交通事故診療する問題点
四肢や脊椎では治療面に不安がある
繰り返しますが、外科医は四肢や脊椎に関する系統だった臨床研修を受けていません。自院を受診する患者さんの治療を通じて学習した医師が大半でしょう。
しかし、日本整形外科学会認定施設において、指導医の下でしっかりした臨床研修を受けた整形外科専門医と比較すると、臨床能力には雲泥の差があります。
外科医は、四肢や脊椎に関する臨床能力が整形外科専門医レベルに達していません。このため、誤診、見逃し、治療方針の誤りが発生する確率は、整形外科医専門医よりも高い可能性があると考えるべきでしょう。
自賠責保険の後遺障害に認定されにくい
自賠責保険は、主たる診療科を確認しています。整形外科や脳神経外科であれば問題ないですが、外科や内科の場合、後遺障害に認定されにくくなる傾向にあるので注意が必要です。
診断、治療、そして後遺障害診断書の記載内容の信頼性が、整形外科専門医に及ばないことが理由と思われます。
交通事故診療では、何科で治療するかも重要です。通院先の選択でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
まとめ
整形外科とよく似た科には外科があります。両科とも外傷を扱いますが、整形外科は四肢と脊椎疾患、外科は腹部疾患なので似て非なる科です。
整形外科専門医資格を持たない外科医は、四肢や脊椎疾患の系統だった臨床研修を積んでいません。このため、むちうちや関節外傷の治療では、誤診や不適切な治療方針などの問題が発生する可能性があります。
また、主治医が外科の場合には、むちうちや四肢の外傷は後遺障害に認定されにくいので注意が必要です。
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