「打撲でも病院に行くべきか」は、私たち整形外科医がよく訊かれる質問のひとつです。結論から申し上げると、ごく軽度の打撲以外は病院で診察を受けるべきでしょう。
そして打撲の原因が交通事故である場合には、ごく軽度の打撲であっても受傷してからすぐに病院に行く方が良いです。
本記事は、現役の整形外科医が、打撲でも病院に行くべき理由について説明しています。
最終更新日: 2024/10/4
Table of Contents
ごく軽度の打撲以外は病院に行くべき!
ごく軽度の打撲以外は病院で診察を受けるべきです。自分では軽傷だと思っていても、検査を受けると骨折や靱帯損傷が見つかることがあります。
また、交通事故による打撲の場合では、受傷から時間が経ってから見つかった骨折や靱帯損傷は交通事故との因果関係の証明が難しくなります。
骨折や靱帯損傷が無く、腫れや痛みなどの後遺症が残った場合でも、受傷当初に受診しているかどうかが後遺障害認定の決め手になります。
打撲とは骨折や靭帯損傷に至らなかった状態
転倒したり身体を物にぶつけると、大きな力のためにその部分の組織が損傷します。組織の損傷が、骨折や靭帯損傷には至らなかった状態が打撲です。
一般的に打撲は軽傷と思われがちです。しかし、単に初診時に骨折や靭帯損傷が発見されなかっただけのケースもあるので注意が必要です。
打撲でも病院に行くべき3つの理由
特に交通事故で受傷した打撲を放置してはいけない理由には、以下の3つがあります。
- 本当に打撲なのかは検査しなければ分からない
- 事故との因果関係を否定される可能性がある
- 後遺症が残っても後遺障害に認定されない
本当に打撲なのかは検査しなければ分からない
本当に骨折や靭帯損傷が無いのかは、整形外科専門医にしか判断できません。整骨院(接骨院)はもちろんのこと、外科医であっても正確な診断は困難です。
局所の痛みや腫れが軽度であっても、ずれの無い骨折や靭帯損傷が発見されるケースは後を絶ちません。一度は整形外科専門医の診察を受けることを強く推奨します。
事故との因果関係を否定される可能性がある
交通事故に遭ってから2週間ほど病院に行かなかった場合には、仮に骨折や靭帯損傷があっても、保険会社から事故と無関係な治療とみなされる可能性があります。
しかし、交通事故から2週間も病院に行っていない事実は変えようがありません。交通事故に遭ったら、すぐに病院に行きましょう。
後遺症が残っても後遺障害に認定されない
打撲をしっかり治療しても、痛みや腫れなどの後遺症が残る可能性があります。
その場合には、自賠責保険に後遺障害申請しますが、受傷してから3日以内に受診していないと、後遺障害に認定される可能性が著しく低下します。
自賠責保険の後遺障害認定の観点からも、交通事故に遭ったらすぐに医療機関を受診する必要があります。
<参考>
打撲で病院に行くべき時期
受傷当日が望ましい
打撲でも病院に行くべき3つの理由で説明したように、打撲で病院行くべき時期は、受傷当日から3日目までが必須です。診療時間内であれば、受傷当日が望ましいでしょう。
夜間や祝祭日の事故では翌日
夜間や祝祭日の事故の場合には、軽い症状なら救急外来を受診するほどではありません。しかし、翌日には必ず受診するようにしましょう。
症状が強い場合には救急外来
痛みや腫れなどの症状が強い場合には、夜間や祝祭日の事故であっても救急外来を受診せざるを得ないでしょう。
打撲の治療は整形外科と整骨院(接骨院)どちらがよい?
整形外科が圧倒的におすすめ
単純比較であれば、整形外科に通院するべきです。医学的にも、自賠責保険の後遺障害認定確率からも、整形外科への通院が圧倒的に有利です。
しかし、整形外科は医療機関なので数が少なく、診療時間が短いです。このため、忙しい人では通院しにくいケースも考えられます。
整形外科が近くに無かったり、診療時間内の通院が難しい場合には、整骨院(接骨院)での施術も選択肢のひとつです。
整骨院(接骨院)でも整形外科通院が必要
整骨院(接骨院)に行く場合には注意点があります。それは整形外科への通院も併用することです。
整骨院(接骨院)のみでは、保険会社から打ち切り対象になりやすいです。また後遺症が残ったとしても、自賠責保険で後遺障害に認定される可能性はゼロです。
<参考>
【医師が解説】整骨院に行かない方がいいのか|交通事故の後遺障害
打撲に関するよくある質問
打撲の症状はどれくらい続くの?
打撲は、体に強い力がかかって皮膚の下に内出血が起きることで、痛みや腫れが生じます。
皮膚の下に青や黒のあざができ、1~2週間で軽くなることが多いですが、1ヵ月以上続く場合もあります。あざが消えるには、2~3週間かかることがあります。
どうやって打撲と診断するの?
レントゲン検査で骨折がないか確認します。場合によっては、CT検査やMRI検査が使われることがあります。
骨折や靭帯の損傷がなくても、打撲による内出血が見つかることがよくあります。
打撲にはどんな治療が必要?
治療はRICE処置と呼ばれる方法が基本です。RICEとは、安静(Rest)、冷やす(Icing)、圧迫(Compression)、高くする(Elevation)の頭文字です。軽い打撲なら、圧迫して固定すれば、1~2週間で回復します。
打撲の後遺障害認定で弊社ができること
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初回事務所様は無料にて等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
また、異議申立てをご検討されている場合、意見書の作成や画像鑑定も承っております。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
意見書は診療録、画像検査、各種検査、そして後遺障害診断書などの事故関連資料も含めて総合的に検討します。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
画像鑑定ではレントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性について検討します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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まとめ
打撲でも病院に行くべきかは悩むところですが、ごく軽度の打撲以外は病院で診察を受けるべきでしょう。
そして打撲の原因が交通事故である場合には、ごく軽度の打撲であっても受傷してからすぐに病院に行く方が良いです。
打撲でも病院に行くべき3つの理由には、以下の3つがあります。
- 本当に打撲なのかは検査しなければ分からない
- 事故との因果関係を否定される可能性がある
- 後遺症が残っても後遺障害に認定されない
打撲で病院に行くべき時期は、受傷当日が望ましいです。打撲の治療は整形外科を強く推奨します。
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