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【医師が解説】骨萎縮を客観的評価するポイント|CRPS、交通事故

交通事故で発生する骨折やCRPSの事案では「骨萎縮」という画像所見を認めるケースが多いです。端的に言えば、骨萎縮とは「骨がスカスカ」になった状態です。

 

骨萎縮を適正に評価できると、CRPSの後遺症が等級認定される可能性が高まります。本記事は、骨萎縮の客観的評価を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2023/3/5

 

 

骨萎縮とは

 
CRPSの自賠責認定基準のひとつに骨萎縮があります。骨萎縮とは、骨塩量(骨のミネラル成分)が減少して骨密度が低下することで発生します。俗っぽい言い方をすると「骨がスカスカ」になった状態です。

 

 

<参考>
【医師が解説】CRPSの後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

 

 

 

X-ray of the distal radial fracture

 

 

骨萎縮の評価法

DICOM viewer(医療用の画像閲覧ソフト)で骨の透過性を計測

実臨床では定性的に骨萎縮の存在を判断しますが、訴訟の場では定性評価ではなく定量評価を求められることがあります。

 

そのような場合には、DICOM viewer(医療用の画像閲覧ソフト)を用いて、骨の透過性を計測します。骨の透過性を数字で表すことができるので、骨萎縮の判定に非常に有用と考えています。DICOM viewerで測定される数字はピクセル値です。

 

ただし、単純X線像のピクセル値は、CT値のように絶対値ではありませんので注意が必要です。単純X線像のピクセル値は、相対的なことしか言えないのです。

 

 

DIP法での計測がベストだが実施例は少ない

本当に骨塩量が少ないかどうかは、DIP法という校正用のスケールを用いて撮像して比較することが必要です。

 

DIP法とは、手を標準物質(アルミ製のスケール)と一緒に撮影して、第二中手骨の皮質骨と標準物質とのピクセル値を比較して骨塩量を算出します。

 

しかし、CRPSの臨床経過の中でDIP法が施行されていることはほとんどありません。

 

 

【弁護士必見】等級認定のポイント

 
CRPS事案の異議申立てや訴訟に際して、DIP法が実施されていない事案では、長管骨の骨端と骨幹部の透過性の比較(ピクセル値の比較)をすることになります。

 

  • 骨萎縮が高度=透過性が高い=X線透過量が多い=ピクセル値が高い
  • 骨萎縮が無い=透過性が低い=X線透過量が少ない=ピクセル値が小さい

 

多くの機種において、透過性とピクセル値の関係は上記のごとくとなります。つまり、骨萎縮が高度=ピクセル値が高いという関係が成り立ちます。しかし、あくまでもピクセル値は絶対値ではないことに注意が必要です。

 

骨萎縮を正確に判断するには、骨萎縮の出やすい長管骨の骨端や骨幹端のピクセル値で比較します。その際の基準点には、何も写っていない部位のピクセル値を控除する方が望ましいでしょう。

 

実際に骨萎縮の評価をするためには画像鑑定が必要です。CRPSの自賠責認定基準をクリアするためには、ここで挙げたこと以外にもいくつか細かい点に留意する必要があります。

 

 

<参考>
【医師が解説】画像鑑定が後遺障害の認定で効果的な理由|交通事故
【弊社ホームページ】画像鑑定 説明サイト

 

 

骨萎縮の客観的な評価が必要なケースでは、弁護士はもちろんのこと、主治医であっても自賠責認定基準を満たす医証の作成は極めて困難と言えます。

 

CRPSの骨萎縮の評価でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

 

nikkei medical

 

 

まとめ

 
CRPSで問題になることが多い骨萎縮の客観的な評価法について説明しました。骨萎縮はCRPSの自賠責認定基準のひとつであり、後遺障害に認定されるキーとなる画像所見です。

 

しかし、異議申立てや訴訟に耐えうる医証(画像鑑定報告書)を作成するためには、多数の取り扱い事案数に裏付けされた現実的なノウハウが必要です。

 

 

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