高次脳機能障害とMTBI(軽度外傷性脳損傷)、そして非器質性精神障害は、交通事故で発生する傷病の中でも争いが多いです。
本記事は、これら3傷病の後遺症が等級認定されるヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/14
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高次脳機能障害の認定基準
高次脳機能障害の認定基準は、経験的に下記のごとくだと考えられています。
- 脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫等の傷病名で確定診断されている
- ①の傷病名に該当する脳実質の画像的異常所見(脳挫傷痕、脳萎縮、脳室拡大)を認める
- 受傷直後に意識障害があり、それが一定時間の継続している
上記の①~③のどれが欠けても高次脳機能障害は認定され難いですが、②③が欠ける事案は珍しくありません。
高次脳機能障害の認定基準から漏れた事案はMTBIか非器質性精神障害を目指す
医師意見書や日常生活状況報告書では明らかな高次脳機能障害が存在するにもかかわらず、上記の①~③の要件を満たさないと高次脳機能障害には認定されません。
実臨床では、高次脳機能障害の症例のほとんどに②画像上の異常所見 ③それなりの長さの意識障害 が存在するので、自賠責認定基準は妥当と考えられます。
しかし、あくまでも「基準」なので、そこから漏れてしまう事案が一定数存在することは避けることができません。それでは実務的に②や③が欠ける事案はどうすればよいのでしょうか。
まず②画像上の異常所見が欠けている事案は極めて厳しいです。高次脳機能障害が認定される可能性は低いため、実際に酷い障害が残存しているケースでは、救済等級としての非定型精神障害が候補となります。
意識障害期間が短い事案はMTBIの可能性がある
一方、③それなりの長さの意識障害が無かった事案に関しても厳しいですが、こちらはMTBIを目指すことになります。
訴訟においてMTBIは認定され難いため、何とか異議申し立てもしくは紛争処理機構での調停を等級認定を模索します。
しかし、MTBIという診断名はなかなか明示されないため、実質的なMTBIである12級13号の神経系統の機能または精神の障害を目指すことになります。
意識障害と画像所見が無い事案は非器質性精神障害の可能性を探る
高次脳機能障害の自賠責認定基準の意識障害期間を満たさず、また有意な画像所見も無い事案であっても、実際には高次脳機能障害に類似した後遺症を残す事案があります。
しかし、このような事案は、高次脳機能障害、MTBIとも認定されることはありません。
意識障害と画像所見が無い事案では、非器質性精神障害の後遺障害が認定される可能性を探ることになります。
非器質性精神障害では精神科もしくは心療内科での治療歴が必須です。いずれかの科での治療歴が無い事案では、後遺障害等級が認定される可能性はほぼ無いでしょう。
高次脳機能障害とMTBI(軽度外傷性脳損傷)、そして非器質性精神障害でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
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