本記事では、「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」が、自賠責保険の後遺障害認定審査で、被害者不利になっている問題点を提起したいと思います。
最終更新日: 2024/5/15
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「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」とは
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」とは、14級9号目線の事案において、自賠責保険が医療機関から取り付ける書類です。
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」が自賠責保険から送付されてきた場合、後遺障害14級9号に認定される可能性があります。
<参考>
【医師が解説】頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について|交通事故
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」の問題点
最近、異議申し立てに際して、「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」に記載されている内容が理由で、後遺障害認定なされなかった事案がありました。
具体的には、疼痛の初診時から終診時までの推移が「軽減」とされたためです。自賠責認定基準の他の要件はすべて14級9号を満たしていました。
私は整形外科医になって25年間も日々臨床に従事していますが、初診時と症状固定時を比較すると、ほとんどの症例である程度軽快します。むしろ、初診時と症状固定時の症状が不変という症例は見たこと無いと言っても過言ではありません。
このことは私に限らず、ほとんどの整形外科医の総意と言ってよいと思います。ところが、「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」で「軽減」と記載されると、かなりの確率で非該当となります。
後遺障害は、治療を行ってもこれ以上軽減する見込みが無くなり「不変」となった症状が対象であり、初診時から症状固定時まで症状が「不変」だったことを意味するものではありません。
それにもかかわらず、「症状の推移について」で「軽減」とされると非該当となってしまうことには納得できません。「症状の推移について」には、実質的な選択肢として「軽減」と「不変」しかありません。
このため、自賠責認定基準を知らない一般の医師の多くは「軽減」を選択します。受傷時からの患者さんの症状推移からすると当たり前の選択肢だからです。
問題となっているのは、初診時から「軽減」したものの、最終的に「不変」となった症状のはずです。自賠責保険には、実臨床に則した書式への修正を検討して欲しいものです。
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