交通事故の頚椎捻挫(むちうち)が後遺障害に認定されるためには、整骨院や整形外科への通院頻度が重要です。
本記事は、年間1000例の交通事故事案を取り扱っている交通事故鑑定医師が、整骨院への通院頻度はどれぐらいが適切なのかを説明しています。
最終更新日: 2024/9/26
Table of Contents
整骨院への通院頻度はどれぐらいが適切なのか
整骨院への通院頻度は週3日がお勧め
むちうちなどのレントゲン検査やMRI検査で明確な外傷性の異常所見の無いケースでは、客観的に後遺症の存在を証明する手段がありません。
このため、自賠責保険では、整骨院や整形外科への通院頻度を客観的な「症状が存在する証拠」とみなしています。
実際、弊社では年間1000例の交通事故事案を取り扱っていますが、むちうちで14級9号以上の後遺障害が認定された事案の多くは、整骨院もしくは整形外科に週3日以上通院していました。
整骨院への通院が1ヶ月空くとどうなる?
むちうちは非該当になる
むちうち、腰椎捻挫、打撲、捻挫などの傷病では、交通事故の通院が1ヶ月以上空くと、後遺障害に認定されません。
<参考>
【医師が解説】交通事故の通院が1ヶ月空くとどうなる?|後遺障害
任意一括対応打ち切りも
整骨院への通院が1ヶ月空くと、保険会社は通院の必要性が無いほどの症状だと判断します。その結果、早期に一括対応を打ち切られる可能性が高まります。
症状がキツくても、忙しくて通院する時間を捻出できない人も多いでしょう。しかし、むちうちや腰椎捻挫の症状が続いていれば、がんばって通院するべきだと思います。
整骨院への毎日通院はお勧めできない
整骨院への通院頻度が少な過ぎるのは問題ですが、毎日整骨院に通うこともお勧めできません。その理由は以下の2点です。
- 保険会社との示談交渉が難航する
- 任意一括対応を早期に打ち切られる
保険会社との示談交渉が難航する
整骨院の言うがままに施術を受けてしまったために、施術費だけで慰謝料の総額を超える事案を散見します。こうなると示談交渉が難航するのは必至です。
このような苦境に陥らないためにも、やむを得ず整骨院に行くのであれば、通院頻度について弁護士に相談しましょう。
<参考>
【医師が解説】交通事故にあったら毎日通院した方がいいのか?
任意一括対応を早期に打ち切られる
整骨院や整形外科に毎日通院していると、保険会社から目を付けられて、任意一括対応を早期に打ち切られる危険性が高まります。
もちろん、任意一括対応を打ち切られても健康保険に切り替えて、症状固定後の示談交渉時に保険会社に請求することは可能です。
しかし、確実に保険会社から支払われる保証は無く、また仮に支払われたとしても症状固定までの間は自分で立て替えなければいけません。
このように任意一括対応の早期打ち切りは、被害者にとってダメージが大きいので、できれば避けたいところです。
<参考>
【日経メディカル】治療費の支払い打ち切りの背後に過剰医療も?!
交通事故の慰謝料はリハビリ通院の頻度と比例しない
慰謝料(自賠責基準)
自賠責保険基準では、慰謝料は以下のとおりです。
- (治療期間 or 通院日数×2の少ない方)×4,300円/日
- 1ヶ月毎の通院日数の上限は15日
1ヶ月毎の通院日数の上限は15日のため、1ヶ月間に15日以上リハビリ通院しても、慰謝料は増額しません。
慰謝料の観点では、1ヵ月に15日リハビリ通院しても、1ヵ月に25日リハビリ通院しても同じなのです。
慰謝料(裁判基準)
交通事故の慰謝料の相場は、自賠責保険基準と裁判基準で異なります。裁判基準の慰謝料は、自賠責保険基準よりも高額です。
以下の表(金額は軽度むちうちのケース)のように、裁判基準の慰謝料は治療期間で慰謝料が決まります。したがって、リハビリ頻度は慰謝料の金額に影響しません。
<参考>
交通事故の病院での治療の対応は?【被害者側】賠償金の増額のためすべきことは|弁護士予約サービス『カケコム』
【弁護士必見】整骨院への通院頻度は最低限条件
むちうち、腰椎捻挫、打撲では、整骨院や整形外科への通院日数は後遺障害14級9号が認定されるための最低条件に過ぎません。
通院日数をクリアしていることは必須であり、この条件をクリアしていても多くの事案は非該当になります。
通院日数は、約20項目近くある自賠責認定基準の入り口の条件に過ぎません。むちうち、腰椎捻挫、打撲で後遺障害14級9号が認定されるためには、更に高いレベルでの検討と対策が必要なのです。
むちうち、腰椎捻挫、打撲でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
<参考>
【医師が解説】頚椎捻挫が後遺障害に認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】腰椎捻挫の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
まとめ
交通事故で負ったむちうち、腰椎捻挫、打撲が後遺障害に認定されるためには、整骨院や整形外への通院頻度は週3日がお勧めです。
一方、整骨院への通院が1ヶ月以上空いたり、逆に毎日通院することは、任意一括対応を早期に打ち切られる危険性があるためお勧めできません。
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