SLRテストとFNSテストは、腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアが、後遺障害に認定されるために重要な検査です。
本記事は、SLRテストとFNSテストを理解することで、腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアの後遺症が、等級認定されるヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/9/8
Table of Contents
SLRテスト(ラセーグテスト)とは
SLRテスト(Straight Leg Raising Test)とは、腰椎から足先に向かって走行している坐骨神経の障害を調べる神経学的テストです。下肢伸展挙上テストやラセーグテストとも呼ばれています。
椎間板ヘルニアによって神経根(坐骨神経の元になる神経)が圧迫されていると、SLRテストで下肢を挙上することで神経の圧迫が更に強くなって、臀部から足先にかけて放散痛としびれが発生します。
<参考>
【医師が解説】腰椎椎間板ヘルニアが後遺症認定されるコツ|交通事故
SLRテストのやり方
患者さんに上向きに寝てもらいます。次に、膝を伸ばして下肢を少しずつ挙げていきます。通常は、70度ぐらい挙上することができます。
一方、SLRテストが陽性の場合には、30度ぐらい下肢を挙げると、太ももの裏から足先にかけての痛みとしびれが増強して、それ以上挙上できなくなります。
FNSテスト(大腿神経伸展テスト)とは
FNSテストとは、L2/3椎間板ヘルニアやL3/4椎間板ヘルニアで特異的に陽性になる検査です。太ももの前面を走行するL3、L4神経根由来の大腿神経の障害を調べる神経学的テストです。
FNSテストのやり方
FNSテストでは、患者さんにうつ伏せになってもらい、膝を曲げていきます。太ももの前に痛みやしびれが発生すると陽性です。
【腰椎捻挫、腰椎椎間板ヘルニア】SLRテストとFNSテストは重要検査
腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアでは、高率にSLRテストとFNSテストが陽性になります。このため、自賠責保険においても、これらの検査が陽性であることは重要視されています。
その証拠に「神経学的所見の推移について」においても、SLRテストとFNSテストの判定欄があります(FNSテストはFNSTと記載されています)。
【弁護士必見】等級認定のポイント
12級13号(腰椎椎間板ヘルニア)
腰椎椎間板ヘルニア(腰椎捻挫)の後遺障害等級認定において、SLRテストとFNSテストは非常に重要な位置を占めています。
特に12級13号の後遺障害が等級認定されるためには、SLRテストとFNSテスト陽性は必須と言えます。
弊社がこれまで取り組んだ事案の中でも、SLRテストとFNSテストが未実施もしくは陰性であった症例が、12級13号に認定されたケースは存在しません。
もちろん、SLRテストとFNSテストが陽性だからと言って、12級13号が等級認定されるわけではありません。
むしろ、SLRテストとFNSテスト陽性は、12級13号認定のための最低限の条件と見做す必要があるでしょう。
<参考>
【医師が解説】腰椎捻挫の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
14級9号(腰椎捻挫、腰椎椎間板ヘルニア)
14級9号においても、SLRテストとFNSテストは重要です。後遺症が腰痛のみの事案なら未実施でも問題ありません。しかし、下肢の症状があれば未実施もしくは陰性の事案は不利になります。
ただし、12級13号と比較すると、仮にSLRテストとFNSテストが未実施もしくは陰性であっても、減点の度合いはかなりましと言えます。
つまり、14級9号においては、SLRテストとFNSテスト陽性に越したことはありませんが、後遺障害等級認定に必須とまでは言えないと考えています。
腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアでお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
まとめ
SLRテストは、坐骨神経の障害を調べる神経学的検査です。SLRテスト陽性例では、臀部から足先にかけての下肢後面の痛みやしびれが発生します。
FNSテストは、大腿神経の障害を調べる神経学的検査です。FNSテスト陽性例では、大腿前面の痛みやしびれが発生します。
SLRテスト、FNSテストとも、腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアの後遺障害等級認定では非常に重要です。12級13号では必須、14級9号においても陽性の方が後遺障害に等級認定されやすいです。
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