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交通事故診療における頚椎後縦靭帯骨化症の問題
頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)と頚椎の椎体と椎体をつなぐ後縦靭帯が骨化、進展し、脊髄を圧迫する疾患です。日本人を対象とした調査では発生頻度は約3%と欧米人の約0.1%と比べ高いと言われております。
この決して稀ではない頚椎OPLLが交通事故をきっかけに発症した場合、損保会社と被害者との間で問題になります。以下頚椎後縦靭帯骨化症診療ガイドライン2011を参考に述べていきます。
骨化巣が小さいうちは当然のことながら症状は出ませんが、徐々に大きくなり脊髄の圧迫が強くなれば、手のしびれなど脊髄症状が出現します。
実際は転倒や軽い事故など軽微な外傷で四肢麻痺が出現あるいは悪化して受診したという報告は多くあります。例えば慶應義塾大学からは91例中外傷を契機に発症した症例は11例,急性増悪した15例を併せて26例,28.6%に達していたとの報告があります。この報告は,頚椎OPLLがあると,転倒など外傷により脊髄損傷となるとする説を支持しています。
そして外傷を契機に発見されたOPLLは治療(手術)成績が劣るという報告は多くあります。外傷性の場合、手術前の状態が悪く、手術後の改善率も劣るようです。
明らかな靭帯骨化があっても10年以上の追跡で症状を認めない症例が82%であったとの報告があります。この数値から外傷がなければ一生無症状で過ごせる確率はかなり高いと言えます。したがって交通事故をきっかけにOPLLを発症した事案では、もし素因減額をされるとしても、その割合は高くないのが妥当であると言えるでしょう。
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