交通事故で「頚椎骨折」と診断されたにもかかわらず、後遺障害認定では“非該当”と判断されるケースは少なくありません。
骨折=後遺障害と考えていた人にとって、この結果は大きな疑問や不安を生みます。なぜ痛みやしびれが残っているのに認定されないのか。
後遺障害は、骨折の有無だけでは決まらず、神経症状、脊柱変形、事故との因果関係など、複数の条件を満たす必要があります。
本記事では、頚椎骨折が後遺障害認定されない原因を整理して、認定されない場合の対処法や異議申し立てのポイントについて解説しています。
最終更新日: 2025/12/9
Table of Contents
- 1 頚椎骨折が後遺障害認定されない6つの原因
- 2 頚椎骨折が後遺障害認定されない時はどう対処する?
- 3 頚椎骨折が後遺障害認定されない時のサポート
- 4 頚椎骨折が後遺障害認定されないでよくある質問
- 4.1 痛みやしびれが残っているのに、どうして後遺障害が認定されないのですか?
- 4.2 MRIで異常がないと言われましたが、本当に後遺障害として認められないのでしょうか?
- 4.3 医師の診断書の書き方や内容で、認定結果は変わりますか?
- 4.4 「経年性の変化(年齢によるもの)」と言われました。事故のせいではないのですか?
- 4.5 骨折なのにむち打ち(頚椎捻挫)と同じ扱いにされるのはなぜですか?
- 4.6 「治療が長引いたこと」は後遺障害認定に関係しますか?
- 4.7 現在の症状が「事故によるもの」と証明するには何が必要ですか?
- 4.8 異議申立てで提出すべき資料や検査は具体的に何がありますか?
- 4.9 確かに骨折したのに、なぜ「後遺障害ではない(非該当)」と言われるのですか?
- 5 まとめ
- 6 関連ページ
- 7 資料・サンプルを無料ダウンロード
頚椎骨折が後遺障害認定されない6つの原因
医学的所見が不十分である
頚椎骨折が後遺障害認定されない原因として最も多いのが、医学的所見の不足です。後遺障害認定では「客観的な医学的証拠」が重視されます。
このため、レントゲン、CT、MRI検査で明確な外傷性の異常所見が映っていないと、非該当と判断されやすいです。
また、自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しい場合も、後遺障害に認定されにくくなります。
骨癒合が良好で機能障害が残っていない
頚椎を骨折しても、変形せずに骨癒合した場合は、後遺障害に認定されない可能性があります。
特に、棘突起の骨折は、頚椎の荷重や姿勢保持機能に直接関与していないため、骨折しても脊柱変形の後遺障害には認定されません。
骨折した事実だけでは後遺障害に認定されず、画像検査での変形癒合や治療経過から、痛みやしびれが残ったと認定される必要があります。
交通事故との因果関係が不明確
事故と骨折の因果関係が明確でない場合は、非該当の原因となります。特に、経年性変化(加齢変化)との鑑別が問題になりやすいです。
また、遅発性の症状(麻痺など)は医学的に説明が難しいため、後遺障害認定基準を熟知した脊椎外科専門医に相談する必要があります。

脊柱変形が基準に達していない
頚椎骨折による脊柱変形が、後遺障害の認定基準に達していない場合も非該当となります。
11級7号の認定基準は「脊椎圧迫骨折等を残しており、レントゲン検査等により確認できるもの」とされています。
レントゲン検査で変形治癒を確認できないケースでは、後遺障害認定基準を熟知した脊椎外科医への相談が必要です。
事故の規模(受傷の程度)が軽微
事故の規模が小さいと、重篤な骨折や後遺症が残るような怪我を負うはずがないと判断されることがあるため、注意が必要です。
後遺障害診断書の記載が不十分
後遺障害診断書の記載は非常に重視されます。自覚症状・他覚所見の記載や、転帰の表現が不十分だと、非該当になりやすいです。
医師が交通事故の後遺障害に詳しくない場合、適切な内容の後遺障害診断書を書いてもらえないことがあります。
頚椎骨折が後遺障害認定されない時はどう対処する?
頚椎骨折が後遺障害認定されない原因を調べる
まず、自賠責保険から届いた「後遺障害等級認定結果のご連絡」に記載されている非該当理由を詳細に分析することが重要です。
典型的な非該当理由としては、「画像上、外傷性の異常所見がない」「自覚症状を裏付ける神経学的所見に乏しい」などがあります。
非該当になった理由を正確に把握することで、どの点を補強すべきかが明確になります。
認定基準を満たすことを証明する医証を集める
後遺障害認定に足りない要素を補うために、新たな画像検査や診断書、医師意見書、画像鑑定報告書などが有効です。
医師意見書は、カルテや診断書を基にして、事故と後遺症との因果関係を医学的に解説する文書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査や資料を精査して、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
<参考>
異議申し立てを行う
異議申し立てとは、後遺障害等級に不服がある場合に、再度の審査を求める手続きです。回数制限がなく、何度でも申し立てることが可能です。
異議申し立てには必ず「異議申立書」の提出が必要です。新規医証の提出が必須で、以前と同じ資料のみでは結果が覆る可能性はありません。
尚、頚椎骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
首骨折(頚椎骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
頚椎骨折が後遺障害認定されない時のサポート
弁護士へのサポートサービス
弊社では、交通事故で受傷した頚椎骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス【無料】
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

頚椎骨折が後遺障害認定されないでよくある質問
痛みやしびれが残っているのに、どうして後遺障害が認定されないのですか?
後遺障害に認定されるには、医学的に症状と事故との因果関係が認められ、将来も回復が困難であることを客観的に証明する必要があります。
画像検査や神経学的検査の結果、通院実績、症状の一貫性などが総合的に評価されます。単なる自覚症状のみでは認定されにくいです。
MRIで異常がないと言われましたが、本当に後遺障害として認められないのでしょうか?
14級9号であれば、MRI検査で異常所見があるかは関係ありません。ただし、12級13号はMRI検査で頚椎に異常所見が必要となります。
画像所見が認められなくても、事故の状況、治療の経過、症状の一貫性などから医学的に説明可能な場合に認定される可能性があります。
医師の診断書の書き方や内容で、認定結果は変わりますか?
はい、後遺障害診断書の記載は非常に重視されます。記載された内容によって、後遺障害認定の可能性は大きく左右されます。
「経年性の変化(年齢によるもの)」と言われました。事故のせいではないのですか?
事故とは無関係の頚椎の加齢性変化が、頚椎骨折と誤診されるケースは存在します。
一方、頚椎骨折なのに加齢性変化と判断されて非該当になる可能性もあります。そのようなケースでは脊椎外科医に相談する必要があります。
骨折なのにむち打ち(頚椎捻挫)と同じ扱いにされるのはなぜですか?
骨癒合が良好で機能障害が残っていない場合、骨折したという事実だけでは後遺障害に認定されません。
症状固定期のレントゲン検査で変形治癒が認められなければ、後遺障害は非該当になります。
また、棘突起の骨折は荷重や姿勢保持機能に直接関与していないため、脊柱変形に認定されません。
「治療が長引いたこと」は後遺障害認定に関係しますか?
はい、関係があります。後遺障害認定には、通院期間が6ヶ月以上必要です。むちうちや腰椎捻挫では、毎月10日以上の通院が必要です。
骨折や靭帯損傷は、月2日以上でも認定されやすい傾向にあります。しかし、通院日数や通院期間が少ないと後遺障害に認定されにくいです。
現在の症状が「事故によるもの」と証明するには何が必要ですか?
受傷時から最近までの経時的な画像検査が必要です。また、脊椎外科医による画像鑑定報告書が有効なケースも多いです。
異議申立てで提出すべき資料や検査は具体的に何がありますか?
異議申立書は必須です。その他として、新たに作成した後遺障害診断書、新たな画像検査、カルテ、医師意見書、画像鑑定報告書などがあります。
確かに骨折したのに、なぜ「後遺障害ではない(非該当)」と言われるのですか?
画像上で変形治癒が認められない、棘突起など荷重に直接関与していない部位の骨折などが考えられます。
骨折したことだけでは後遺障害認定されず、画像所見や骨折後の症状経過から痛みやしびれが残ったと認められる必要があります。
まとめ
頚椎骨折が後遺障害認定されない主な原因は、医学的所見の不足です。後遺障害が認定されるためには、客観的な証拠が必要です。
レントゲン、MRI、CT検査で外傷性の異常所見が確認できない場合や、自覚症状を裏付ける所見が乏しいと非該当となります。
事故との因果関係が加齢変化と区別できなかったり、事故規模が軽微だと、後遺障害に認定されにくいです。
非該当時は理由を分析して、新たな画像検査、医師意見書、画像鑑定などで不足を補って、異議申し立てで再審査を求めることが重要です。
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