交通事故で鎖骨を骨折すると、治療が終わっても「肩の動かしにくさ」や「痛み」などが残る可能性があります。
しかし、これらの症状が後遺障害に認定されるかは、提出する医証によって大きく変わります。その中で注目されているのが「画像鑑定」です。
画像鑑定とは、専門医がレントゲンやCTなどの画像検査を専門的に分析して、骨癒合の状態(癒合・変形・偽関節など)を評価する手法です。
主治医の診断書や画像検査だけでは捉えきれない「医学的根拠」を示せる点が特徴です。
特に、非該当や予想よりも低い等級とされた際の異議申し立て時には、画像鑑定の説得力が大きな武器になります。
本記事では、鎖骨骨折における画像鑑定の必要性や活用法、取得手順、そして医師意見書との違いまで、実務的ポイントを詳しく解説しています。
最終更新日: 2025/11/10
Table of Contents
- 1 鎖骨骨折で画像鑑定が必要な理由
- 2 画像鑑定を活用する具体的方法
- 3 鎖骨骨折の画像鑑定の取得手順と実務
- 4 鎖骨骨折における弁護士と被害者のための画像鑑定活用術
- 5 弁護士・被害者向けサポート一覧
- 6 鎖骨骨折の画像鑑定でよくある質問
- 6.1 骨癒合の状態(癒合・変形・偽関節など)をどこまで判断できるか
- 6.2 「変形癒合」や「偽関節」が認められるのはどんな場合か
- 6.3 鑑定医はどのような画像(X線・CTなど)を使用して評価するか
- 6.4 左右差(健側との比較)は行われるか
- 6.5 「機能障害(肩の可動域制限)」まで評価できるか
- 6.6 鑑定結果は後遺障害等級(例:12級5号など)の判断にどの程度影響するか
- 6.7 事故から時間が経っていても画像鑑定は可能か
- 6.8 鑑定医は保険会社側の医師とどのように意見が異なることがあるか
- 6.9 画像鑑定で使用する画像データはCD-ROM提出でよいか
- 6.10 画像鑑定に「骨変形の角度(○度)」など具体的数値を記載してもらえるか
- 7 まとめ
- 8 関連ページ
- 9 資料・サンプルを無料ダウンロード
鎖骨骨折で画像鑑定が必要な理由
鎖骨骨折の後遺障害認定で問題となる点
鎖骨骨折後に後遺障害認定を受けるためには、外見上明白な変形、痛みやしびれ、肩関節の可動域制限など多様な症状の証明が必要です。
レントゲンやCTなどの画像検査で、明らかな異常所見がないと後遺障害に認定されにくいため、何らかの対策を講じる必要があります。
<参考>
鎖骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
画像鑑定で証明できるポイント
画像鑑定では、骨癒合の状態、左右差、偽関節、骨折部の変形など、具体的な所見の証明が可能です。
また、プレート固定した際の痛みやしびれ残存の原因にも言及可能であるため、後遺障害に認定されるための医学的根拠となります。
後遺障害認定における画像鑑定の役割
画像鑑定は、レントゲンやCTなどの画像検査をもとに、整形外科専門医が詳細な報告書を作成するため、後遺障害認定時の重要な証拠となります。
後遺症残存の根拠として、保険会社との示談交渉や裁判でも利用されるほか、異議申し立て時の決定的な資料となる場合も多いです。
画像鑑定に記載される内容は?
鎖骨骨折の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 鑑定医師による総括
これら以外にも、鎖骨骨折の画像所見が後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

画像鑑定を活用する具体的方法
異議申し立て時の有効な使い方
鎖骨骨折の後遺障害認定に不服があって異議申し立てする際に、画像鑑定を添付することで、客観的な証拠が加わります。
鎖骨骨折の癒合状況や変形が画像所見で明示されていれば、異議申し立てでの説得力が増して、等級変更の可能性が高まります。
裁判や示談交渉での証拠力
画像鑑定は、裁判や保険会社との示談交渉の場面で、医学的根拠として重視されます。
特に、整形外科専門医による画像鑑定は、骨の癒合状況や変形の根拠を論理的に示せるため、当方の主張の裏付けとして有効です。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
鎖骨骨折の画像鑑定の取得手順と実務
画像鑑定の依頼方法
鎖骨骨折の画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
必要書類や準備物
鎖骨骨折の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定の費用
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定の取得にかかる時間は?
鎖骨骨折の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、肩関節外科の専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
鎖骨骨折における弁護士と被害者のための画像鑑定活用術
鎖骨骨折の後遺障害認定に向けたポイント
鎖骨骨折で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的な医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって、鎖骨骨折の後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、鎖骨骨折が後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 鎖骨骨折と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
鎖骨骨折において、すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
鎖骨骨折の画像鑑定の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、鎖骨骨折の後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
鎖骨骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
鎖骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
医師意見書との違いと選び方
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
鎖骨骨折の後遺障害が非該当になった原因が、鎖骨骨折の画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、鎖骨骨折後の肩関節可動域制限などの、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
弁護士・被害者向けサポート一覧
法律専門家向けサービス
弊社では、交通事故で受傷した鎖骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で負った鎖骨骨折の後遺症が、非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故被害者支援サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

鎖骨骨折の画像鑑定でよくある質問
骨癒合の状態(癒合・変形・偽関節など)をどこまで判断できるか
画像鑑定では、レントゲンやCTなどの画像所見を精査して、骨癒合の有無や変形、偽関節の存在を評価します。
癒合不全や著しい変形は、レントゲン検査で明確に判断できます。ただし、偽関節の微細な状態に関しては、CT検査がより有用です。
「変形癒合」や「偽関節」が認められるのはどんな場合か
鎖骨骨折後、骨が完全に癒合せず、長期間経過したら偽関節と判定されます。変形癒合は、裸体写真や画像所見から判定できます。
鑑定医はどのような画像(X線・CTなど)を使用して評価するか
鎖骨骨折の画像鑑定は、主にX線とCT検査の画像所見が用いられます。骨折部の状態に応じて、適切な画像検査を選択して鑑定します。
X線検査は、骨折部の癒合や転位、変形の評価に有効です。一方、三次元的な骨の状態を把握するにはCT検査が重要です。
左右差(健側との比較)は行われるか
患側と健側を比較することで、鎖骨骨折後の変形等がより明確に評価できます。健側の画像所見を添付すると、審査側への説得力が高まります。
「機能障害(肩の可動域制限)」まで評価できるか
画像鑑定によって変形や偽関節の有無は判定できます。しかし、肩の可動域制限そのものは、画像所見だけでは評価できないケースが多いです。
画像所見のみで肩の可動域制限の原因を証明することは困難なので、医師意見書の方が望ましいケースが多いです。
鑑定結果は後遺障害等級(例:12級5号など)の判断にどの程度影響するか
画像鑑定結果は、後遺障害の等級認定に大きく影響します。特に「著しい変形」「偽関節」が画像で確認できれば、12級5号が認定されます。
事故から時間が経っていても画像鑑定は可能か
事故から時間が経過していても、画像検査で骨癒合不全や変形所見が残っていれば画像鑑定は可能です。
遷延癒合や偽関節は時間経過で判明することが多いため、適切な時期で画像検査を実施すれば、有効な証拠となります。
鑑定医は保険会社側の医師とどのように意見が異なることがあるか
保険会社側の医師は、中立的な立場の鑑定医と意見が異なる場合が多いです。裁判では、双方の医師の意見を総合して判断される傾向にあります。
画像鑑定で使用する画像データはCD-ROM提出でよいか
これまで、画像鑑定で使用する画像データは、CD-ROMで受け渡ししていました。
しかし、最近では、セキュリティ・低コスト・迅速性に優れることから、オンラインストレージを利用する医療鑑定会社が多いです。
画像鑑定に「骨変形の角度(○度)」など具体的数値を記載してもらえるか
画像鑑定では、鎖骨骨折後の変形の具体的な角度や数値を明示できるケースが多いです。
レントゲンやCT検査の画像データから変形角度を算出して記載されるため、異議申し立てや裁判での客観的証拠となります。
まとめ
鎖骨骨折の後遺障害認定では、画像検査での明確な変形や偽関節などの客観的証拠が重視されます。
レントゲンやCT検査で異常所見が不明確な場合でも、画像鑑定によって後遺障害認定に必要な医学的根拠を補強できる可能性があります。
特に、非該当からの異議申し立てや裁判では、画像鑑定報告書が強力な証拠となり、等級変更の可能性を高めます。
鎖骨骨折の後遺障害認定でお困りであれば、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。







