交通事故で圧迫骨折を負ったものの、「陳旧性骨折」と判断されて、後遺障害が非該当になるケースは少なくありません。
痛みが残っているのに、骨折が圧壊せずに治癒したとされて、非該当になることもあります。こうした時に有効なのが「画像鑑定」です。
脊椎外科の専門医がMRIやCTを詳細に評価して、新鮮骨折の有無や椎体の圧壊率を医学的に評価することで、後遺障害を客観的に立証できます。
この記事では、圧迫骨折の画像鑑定の基本から、異議申し立てや裁判での活用法、取得までの流れを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/11/9
Table of Contents
- 1 圧迫骨折の画像鑑定の基本と目的
- 2 弁護士が知っておくべき画像鑑定の利用法
- 3 圧迫骨折の画像鑑定依頼から取得までの流れ
- 4 圧迫骨折の画像鑑定を活用するポイント
- 5 圧迫骨折の後遺障害認定サポートサービスの御案内
- 6 圧迫骨折の画像鑑定でよくある質問
- 6.1 骨折の新旧(事故による新しい骨折か、古い骨折か)を画像鑑定で区別できますか?
- 6.2 MRIやCT画像のどの所見が「新しい圧迫骨折」と判断される根拠になりますか?
- 6.3 画像鑑定で「加齢性変化」と「外傷性変化」はどのように見分けますか?
- 6.4 画像鑑定で圧壊率(椎体のつぶれ具合)を数値化してもらえますか?
- 6.5 事故直後に撮影された画像が少ない場合でも、鑑定は可能ですか?
- 6.6 骨粗鬆症がある場合、画像鑑定で外傷の影響を見分けられますか?
- 6.7 画像鑑定の結果は、異議申し立てでどの程度考慮されますか?
- 6.8 画像鑑定で「事故との因果関係あり」と明確に記載してもらうことはできますか?
- 6.9 画像鑑定を依頼する際、どの撮影データ(DICOM形式など)が必要ですか?
- 6.10 複数の椎体に圧迫骨折がある場合、どの部位が事故によるものか判別できますか?
- 7 まとめ
- 8 関連ページ
- 9 資料・サンプルを無料ダウンロード
圧迫骨折の画像鑑定の基本と目的
圧迫骨折が後遺障害に認定されにくい背景
交通事故による圧迫骨折は、椎体変形や新鮮骨折が分かりにくい場合があり、後遺障害認定に必要な客観的な証拠が不足しがちです。
画像検査で骨折が不明確な場合は、主観的な症状のみでは後遺障害が非該当になるため、画像鑑定による補強が重要となります
<参考>
圧迫骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定
画像鑑定に記載できる後遺障害認定基準のポイント
画像鑑定では、レントゲンやCT・MRIなどの各種画像検査から、椎体圧壊率、新鮮骨折の有無などを評価可能です。
圧迫骨折の後遺障害には、6級、8級、11級がありますが、それぞれの後遺障害認定基準にしたがって、後遺障害等級に言及できます。
後遺障害認定に画像鑑定が求められる場面
後遺障害認定の異議申し立てでは、画像検査で骨折の変形が明らかであることが判断材料となります。
画像鑑定は、画像所見をもとにして、事故との因果関係や椎体の圧壊程度を客観的に解説するため、異議申し立てや裁判で重視されます。
画像鑑定書の具体的な記載例
脊椎外科医による圧迫骨折の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 鑑定医師による総括
これら以外にも、圧迫骨折の画像所見が後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

弁護士が知っておくべき画像鑑定の利用法
異議申し立て時に画像鑑定を効果的に使うには
画像鑑定は、異議申し立て時に、既存資料では不十分な医学的根拠を追加する手段として有効です。
各種の画像検査や診断書とともに画像鑑定を添付することで、当方の主張を裏付ける客観的証拠として利用できます。
裁判での重要な医学的証拠としての立証
裁判では、画像鑑定を医学的証拠として提出することで、事故との因果関係や新鮮骨折の有無、椎体圧壊率の数値根拠をより明確に示せます。
脊椎外科の専門医による画像鑑定は、訴訟においても当方の主張を裏付ける重要な医学的根拠となります。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
圧迫骨折の画像鑑定依頼から取得までの流れ
画像鑑定依頼のステップ
圧迫骨折の画像鑑定取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
必要資料・準備書類のチェックリスト
圧迫骨折の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
費用・期間の目安とポイント
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
取得手続き時に注意すべき点
圧迫骨折の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
圧迫骨折の画像鑑定を活用するポイント
圧迫骨折の後遺障害認定での実践的な利用法
圧迫骨折で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的な医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって、圧迫骨折の後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、後遺障害に認定されるためには、圧迫骨折の画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
圧迫骨折の画像鑑定の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
圧迫骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
圧迫骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定
圧迫骨折における医師意見書と画像鑑定の適切な使い分け
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
圧迫骨折の後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
圧迫骨折の後遺障害認定サポートサービスの御案内
法律専門家向けの支援内容
弊社では、交通事故で受傷した、圧迫骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者の方への具体的サポート
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

圧迫骨折の画像鑑定でよくある質問
骨折の新旧(事故による新しい骨折か、古い骨折か)を画像鑑定で区別できますか?
早期にMRI検査を実施できれば、椎体内部の出血状態や信号変化から、新旧の骨折を判別することが可能です。
MRI検査を未実施の事案であっても、レントゲン検査の経過観察で椎体の圧壊進行を認めれば、新鮮骨折であると判断できます。
MRIやCT画像のどの所見が「新しい圧迫骨折」と判断される根拠になりますか?
新しい圧迫骨折では、MRI検査のT2強調画像で椎体内部の高信号域が認められます。また、CT検査では骨皮質の不連続や骨折線が観察されます。
画像鑑定で「加齢性変化」と「外傷性変化」はどのように見分けますか?
加齢性変化(陳旧性骨折)では椎体の形態が変化しません。また、骨皮質の連続性があります。
外傷性変化は、急激な椎体圧壊や骨折線が現れるため、時間経過や画像所見で鑑別可能です。
画像鑑定で圧壊率(椎体のつぶれ具合)を数値化してもらえますか?
画像鑑定では、後遺障害認定基準にしたがって、椎体高や圧壊率をミリ単位で計測して数値で示します。
事故直後に撮影された画像が少ない場合でも、鑑定は可能ですか?
事故直後の画像が少ない場合でも、経時的な画像変化やMRI検査の画像所見を参考にして鑑定できるケースが多いです。
骨粗鬆症がある場合、画像鑑定で外傷の影響を見分けられますか?
骨粗鬆症がある場合でも、外傷性の圧迫骨折は椎体の急激な圧壊や骨折線等で見分けられます。
また、新鮮骨折と陳旧性骨折との違いは、MRI・CT・レントゲン検査の画像所見や、レントゲン検査の経過観察で鑑別可能です。
画像鑑定の結果は、異議申し立てでどの程度考慮されますか?
画像鑑定は、後遺障害認定の異議申し立てで、有力な医学的根拠として提出でき、等級判断に大きな影響を与える資料となり得ます。
画像鑑定で「事故との因果関係あり」と明確に記載してもらうことはできますか?
画像所見や治療経過で事故との因果関係が医学的に認められる場合は、「事故との因果関係あり」と明記できます。
画像鑑定を依頼する際、どの撮影データ(DICOM形式など)が必要ですか?
画像鑑定には、MRIやCTの画像データ(DICOM形式)が必要です。JPEGでも、ある程度は対応可能ですが、正確さに欠けます。
複数の椎体に圧迫骨折がある場合、どの部位が事故によるものか判別できますか?
複数椎体が圧迫骨折している場合、画像検査の経時変化や骨折部位の特徴から、事故による部位を判断できます。
まとめ
交通事故による圧迫骨折は、画像検査で新鮮骨折や椎体変形が分かりにくいケースがあり、後遺障害に認定されにくい傾向があります。
その際に有効なのが画像鑑定です。椎体圧壊率や新鮮骨折の有無を客観的に示すことで、後遺障害認定の有力な根拠となります。
画像鑑定は、画像所見をもとに後遺障害の蓋然性を補強する医証なので、添付することで異議申し立て成功の可能性が高まります。
圧迫骨折の後遺障害認定でお困りであれば、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
関連ページ
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