交通事故で骨折を負い、治療を続けても骨が癒合しないと「偽関節」と診断されます。偽関節は痛みや機能障害を伴い、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼします。
しかし、画像所見や後遺障害診断書の記載が不十分で「非該当」と判断されるケースも少なくありません。
こうした場合に検討すべきなのが「異議申し立て」です。異議申し立てでは、後遺障害認定基準を正しく理解して、必要な医証や資料を追加することが成功へのカギとなります。
本記事では、偽関節で非該当とされる理由から、異議申し立ての手順、成功のポイントや実際の事例までを解説して、納得のいく認定を得るための具体的なステップを紹介しています。
最終更新日: 2025/8/28
Table of Contents
偽関節が非該当になる理由
偽関節で非該当と判断されやすいケース
偽関節にもかかわらず「非該当」と判断される主なケースは、レントゲン等の画像検査で骨折部分がすでに癒合しているように見える事案です。
ただ、レントゲン検査だけで偽関節を診断するのは難しいケースもあるため、詳細な評価にはCT検査が必要です。
また、硬性補装具が不要であったり、日常生活に大きな影響が見られないケースも、後遺障害に認定されない傾向にあります。
偽関節の後遺障害認定基準
偽関節の後遺障害認定基準は、主に「骨癒合不全が明確に確認できること」や「著しい運動障害が存在すること」がポイントになります。
例えば、上肢や下肢の長管骨で常に硬性補装具を必要とする場合は7級、補装具を必要としない場合は8級など、運動障害や変形の程度により等級が設定されています。
また、画像所見(レントゲン検査やCT検査)で、骨折部の癒合不全が客観的に示されることが必須です。
上肢の変形障害
等級 | 認定基準 |
7級9号 | 偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級8号 | 偽関節を残すもの |
12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
7級9号:偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
- 上腕骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
- 橈骨および尺骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
著しい運動障害を残すものに該当するのは、硬性補装具を常時使用している状態です。
8級8号:偽関節を残すもの
- 上腕骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
- 橈骨および尺骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
- 橈骨または尺骨のいずれか一方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの
上記のいずれかの条件に該当すれば、8級8号になります。
12級8号:長管骨に変形を残すもの
7級9号や8級8号に該当しない事案でも、直径が2/3以下になっている等で変形が残っていると判断されれば、12級8号に認定される可能性があります。
下肢の変形障害
等級 | 認定基準 |
7級10号 | 偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級9号 | 偽関節を残すもの |
12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
7級10号:偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
- 大腿骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
- 脛骨及び腓骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
- 脛骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
著しい運動障害を残すものに該当するのは、硬性補装具を常時使用している状態です。
8級9号:偽関節を残すもの
- 大腿骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
- 脛骨及び腓骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
- 脛骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
上記のいずれかの条件に該当すれば、8級9号になります。
12級8号:長管骨に変形を残すもの
7級10号や8級9号に該当しない事案でも、直径が2/3以下になっている等で変形が残っていると判断されれば、12級8号に認定される可能性があります。
<参考>
長管骨の変形障害が後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定
神経障害
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
7級9号、8級8号、7級10号、8級9号などの変形障害に該当しないと判断された事案では、救済等級として12級13号や14級9号に認定される可能性があります。
偽関節の異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
偽関節の後遺障害で異議申し立てを行う際は、まず想定していた等級に認定されなかった原因の分析が大切です。
異議申立書に理由を明記して、新たな診断書や画像、医師意見書など、不足していた資料を添付します。客観的証拠の充実が、認定率向上の鍵です。
偽関節の異議申し立ての申請先
申請先は初回申請の方法により異なります。初回審査が事前認定の場合は加害者側の任意保険会社、被害者請求では加害者側の自賠責保険会社が窓口です。
書類は、最終的に損害保険料率算出機構が審査します。審査結果に不服があれば、自賠責・共済紛争処理機構への申立や裁判も選択肢になります。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立ての手続自体は無料ですが、追加診断書や画像など医証取得には数千円〜数万円の費用が発生するケースがあります。
審査期間は平均2~4ヶ月程度で、初回申請よりやや長めです。なお、弁護士へ依頼する際は、別途費用が発生します。
偽関節の効果的な異議申し立て準備
効果的な異議申し立てには、前回の非該当・低い等級理由を正確に把握して、新たな医証や画像検査、医師意見書を用意することが重要です。
納得できない理由の記載だけでは不十分で、症状の継続性や医学的根拠を裏付ける証拠提出が不可欠です。
偽関節の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】
偽関節が非該当になる原因を分析
偽関節が非該当と判断される主な要因は、後遺障害診断書の記載内容の不備や、画像検査で有意な異常所見が無いとみなされたケースです。
レントゲン検査だけでは、偽関節の診断が難しい事案が散見されます。偽関節が疑われる事案では、CT検査が望ましいでしょう。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
偽関節の後遺障害認定条件をクリア
偽関節の後遺障害認定には、「骨癒合不全」や「支持性の欠如」が明確に認められることが必要です。
例えば、下肢の偽関節7級10号では、常に硬性補装具を必要とするほどの著しい障害が認定条件になります。
単に硬性補装具が処方されただけではなく、硬性補装具を常用せざるを得ない必要性を、医学的に証明できることが極めて重要です。
異議申し立てでは新たな医証が必須
異議申し立ての成功には、前回申請時に不足していた新たな医証が必要不可欠です。具体的には、追加の画像検査、第三者による医師意見書、画像鑑定報告書などです。
新たな医証がない異議申し立ては、後遺障害認定に結びつきにくいです。足りない検査や診断記録を補う医学的資料を集めることが重要です。
<参考>
偽関節の後遺障害認定ポイント
偽関節の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
偽関節・遷延治癒の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
偽関節の異議申し立て成功事例【12級8号】
事案サマリー
- 被害者:50歳代 女性
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:12級8号(長管骨に変形を残すもの)
原付乗車中に衝突されて転倒して下腿を強打して腓骨骨折を受傷しました。症状固定時に骨癒合していると診断されたため、自賠責保険では非該当となりました。
弊社の取り組み
下腿外側の痛みが続くため、弊社に相談がありました。改めてレントゲン検査を精査したところ、腓骨の遷延癒合もしくは偽関節の可能性を疑いました。
CT検査を再検したところ、腓骨の偽関節を認めました。画像鑑定報告書を添付して異議申し立てしたところ、変形障害として12級8号が認定されました。
本事案のポイントは、レントゲン検査だけでは偽関節が分からなかった点です。臨床的には、腓骨骨幹部骨折は重大な後遺症を残しません。このため、整形外科医は腓骨骨幹部骨折を軽く見がちです。
しかし、自賠責保険では、腓骨骨幹部骨折の偽関節であっても12級8号に認定されます。このような実臨床と自賠責保険のギャップが大きい事案では、画像所見の精査が必要なケースを散見します。
偽関節の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した偽関節の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
偽関節の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
偽関節の異議申し立てでよくある質問
偽関節と診断されたのに、なぜ後遺障害が非該当になったのですか?
偽関節と診断されても、CTやレントゲンなどの画像検査で骨癒合不全が十分に裏付けられていなかったり、臨床的な機能障害の証明が不十分だと、後遺障害が非該当になる可能性があります。
偽関節は必ず後遺障害に認定されるのですか?
偽関節と診断されても、必ず後遺障害等級が認定されるわけではありません。骨癒合不全や日常生活・運動機能への明確な支障が、画像検査や診断書などで証明される必要があります。
偽関節の異議申し立てで有利になる証拠には何がありますか?
新たなCTなどの画像検査、医師意見書、追加の診断書が有力な証拠となります。特に、初回認定で後遺障害認定基準を満たさなかった要素を、客観的に示す医証が重視されます。
自分で異議申し立てをしても大丈夫ですか?
異議申し立ては自身でも可能ですが、必要な医証や論理的な説明が求められます。認定理由を分析して、不足した証拠を補うことが重要なため、専門知識がある弁護士に相談すると成功率が高まります。
異議申し立てをしても再び非該当になることはありますか?
新たな医証や十分な資料がなければ、異議申し立てをしても再び非該当になります。単なる陳述書だけでは、いくら異議申し立てしても後遺障害に認定されません。
まとめ
偽関節の後遺障害は、骨癒合不全や運動障害が明確に認められなければ非該当と判断されやすく、特にレントゲン検査だけでは診断が難しいためCT検査が重要です。
後遺障害認定基準では、硬性補装具を常時必要とする場合は7級、不要な場合は8級、変形が残れば12級と等級が分かれます。
非該当となった際の異議申し立てでは、原因を分析して、不足している画像検査や医師意見書を添付することが不可欠です。
異議申立書は保険会社を通じて損害保険料率算出機構に提出します。審査には数ヶ月かかります。単なる不満の表明ではなく、医学的証拠を補強することが成功の鍵です。
偽関節の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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