交通事故で頚椎捻挫(むちうち)を負い、後遺障害等級の申請をしたにもかかわらず「非該当」と判断された…。
そんなときは、泣き寝入りせずに「異議申し立て」という手段を検討してみてください。
適切な手続きと証拠の補強を行うことで、非該当から12級13号や14級9号に認定される可能性もあります。しかし、成功率は決して高くはなく、慎重な準備が必要です。
本コラムでは、頚椎捻挫における後遺障害等級の判断基準、異議申し立ての方法、そして実際に成功した事例などを詳しく解説しています。
後遺障害が認められず困っている方、弁護士として依頼者をサポートしたい方のどちらにとっても、有益な情報をまとめています。
まずは、なぜ非該当となってしまうのかを知ることから始めましょう。
最終更新日: 2025/7/22
Table of Contents
頚椎捻挫で「非該当」になってしまう理由
頚椎捻挫の後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
頚椎捻挫の後遺障害等級は、12級13号と14級9号です。画像所見と身体所見が完全一致していれば12級13号、通院頻度が多く事故規模が大きければ14級9号に認定される可能性があります。
自賠責保険における後遺障害の認定基準は、事故による障害が医学的に証明可能かつ、日常生活や労働に明確な支障が出ているかが重視されます。
特に頚椎捻挫(むちうち)の場合、画像診断(MRI検査やレントゲン検査など)で異常が確認できることや、神経学的所見などの他覚的な証拠の有無が認定の大きなポイントとなります。
自覚症状のみの場合は非該当となることが多いため、証拠の提出が非常に重要です。
「非該当」と判断されやすいケースとは?
「非該当」と判断されやすいケースは、主に医療記録に客観的な異常所見が見られない場合や、治療期間が短期間である場合、通院回数が少ない場合が挙げられます。
また、症状が一貫していない、通院間隔が空いている、事故との因果関係が不明確なども非該当理由となります。
頚椎捻挫は特に画像で異常が出にくいため、日々の症状記録や医師への具体的な伝え方も重要です。
異議申し立てとは?手続きの流れと必要書類
異議申し立てとは何か?
異議申し立てとは、自賠責保険で「非該当」や希望した後遺障害等級が認定されなかった結果に対して、納得できない場合に再審査を求める手続きです。
主に追加の医学的証拠や新たな資料を揃えて、審査機関に再度申請します。症状の重さや被害の実情を改めて説明して、認定内容の変更・等級獲得を目指します。
異議申し立てに必要な書類と提出先
異議申し立てには、非該当通知書や後遺障害診断書、症状経過を記載した資料、医療記録や画像診断書、新たな医師の意見書など、客観的な証拠類が不可欠です。
書類は、保険会社または損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所へ提出します。資料の充実が認定獲得のカギとなります。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立て自体に費用はかかりませんが、追加の医療資料や診断書発行には実費が必要です。
審査期間は通常2~3ヶ月程度ですが、提出書類の内容や追加調査の有無で変動します。判定まで長期化する場合もあるため、早めの準備と根拠ある資料の提出が重要です。
頚椎捻挫の異議申し立てが認められるポイント【弁護士必見】
非該当の原因を分析
頚椎捻挫(むちうち)で非該当となる主な原因は、医療記録に他覚的所見(画像や神経学的異常)が無い、治療・通院歴が不十分、症状経過に一貫性が無いなどです。
また、初診まで時間が空いている場合や事故との因果関係が説明不足な場合も不利となります。これらの抜けや曖昧さをまず徹底的に洗い出しましょう。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
後遺障害の認定条件をクリアする
後遺障害認定のためには、画像診断で明確な異常所見が確認できること、通院や治療歴に整合性があること、日常生活や労働に具体的な支障が生じていることを客観的資料で証明する必要があります。
異議申し立てでは新たな医証が必須
異議申し立てで成功するには、初回申請では出せなかった新たな医療証拠(医師意見書、画像鑑定、客観的所見が記載された診断書、定期的な通院記録等)の提出が不可欠です。
治療内容の見直しや他院受診による追加検査も有効です。症状の具体性や継続性を裏付ける書類を揃えることが認定への近道となります。
尚、新たな医証の添付が無ければ、異議申し立てで認定される可能性は無いことに注意が必要です。
<参考>
後遺障害12級13号と14級9号に認定されるポイント
12級13号では、MRI等による神経根症状や身体所見(知覚鈍麻・反射異常など)の完全一致が、後遺障害認定の判断材料です。
14級9号は他覚的所見が乏しくても、自覚症状と通院状況、整合性のある症状経過が認められる場合に限って認定される可能性があります。
両号とも、医師の具体的な後遺障害診断書と通院継続がポイントです。頚椎捻挫で後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
頚椎捻挫の異議申し立て成功事例(12級13号)
事案サマリー
- 被害者:46歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
交通事故後に頚部痛と右頚部から母指にかけて放散する痛みが持続していました。痛みのため、1年以上通院、治療を余儀なくされましたが、症状は改善しませんでした。初回申請時には非該当と判定されました。
弊社の取り組み
診療録を詳細に確認すると、受傷直後から頚椎椎間板ヘルニアに特徴的な「スパーリング徴候陽性」と複数箇所に記載されていました。
MRIで、C5/6レベルに椎間板ヘルニア(矢印)を認め、患者さんの上肢痛(右母指にかけての放散痛)は椎間板ヘルニアが圧迫しているC6神経根の知覚領域と完全に一致していました。
脊椎脊髄外科指導医が診療録を確認して、初回申請時に見落とされていた身体所見を記載した医師意見書を作成しました。異議申立てを行ったところ12級13号が認定されました。
頚椎捻挫の異議申し立て成功事例(14級9号)
事案サマリー
- 被害者:60歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:14級9号(局部に神経症状等の症状を残すもの)
交通事故後に頚部痛と両手のしびれを自覚されていました。受傷から半年間通院されましたが、頚部痛と両手のしびれは改善せず、後遺障害診断書が作成されましたが、非該当と判定されたため、弊社に相談がきました。
弊社の取り組み
MRIを脊椎脊髄外科専門医が読影したところ、頚椎後縦靭帯骨化症が存在していることが明らかになりました。診療録を確認すると、受傷当日から頚部痛と両手がしびれると記載されていました。
身体所見、画像所見および診療経過について、医師意見書を作成して異議申立てを行ったところ14級9号が認定されました。
頚椎捻挫の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した、頚椎捻挫の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
頚椎捻挫の後遺障害認定でお悩みの患者さんへ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
頚椎捻挫の異議申し立てでよくある質問
異議申し立ての成功率は?
異議申し立ての成功率は、おおむね1~2割程度といわれています。2023年度(2022年度統計)の成功率は、約10.7%でした。
初回申請よりもハードルは高いですが、明確な新証拠や医師の意見書を揃えることで成功の可能性を高められます。特に症状の一貫性や日常生活への支障を示す具体的な資料が重要です。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
異議申し立ては誰でもできるのか?
異議申し立ては被害者本人はもちろん、家族や代理人、弁護士など誰でも申立て可能です。
特別な資格は不要ですが、書類の準備や医学的根拠の提示が必要なため、専門家である弁護士などの助言を受けて進めると安心です。
異議申し立てができる期間は?
異議申し立てには自賠責法上の明確な期限は設けられていませんが、損害賠償請求権の消滅時効(原則3年)や診断書等の有効性を考慮すると、できるだけ早期に対応すべきです。
異議申し立ての結果が出るまでどのくらいかかる?
異議申し立ての審査期間は平均して2~3ヶ月程度です。必要な書類が全て揃っていれば比較的早く判定されます。
しかし、追加資料の提出や新たな調査が必要な場合は、さらに期間が延びることもあります。進捗状況は申請先への問い合わせで確認できます。
異議申し立ての結果に不服がある場合は?
異議申し立ての結果に不服がある場合、再度の申立てが認められることもありますが、内容や提出先によっては再審査されない可能性もあります。
それでも認定されない場合は、自賠責保険を相手に民事訴訟を起こす道もあります。ただし、訴訟はさらに専門的な知識や証拠が必要となるため、弁護士への相談が推奨されます。
まとめ
頚椎捻挫(むちうち)で後遺障害の認定が「非該当」とされる主な理由は、画像検査で異常が見つからず、神経学的所見などの客観的証拠に乏しい場合です。
治療期間が短く、通院頻度が少ない、症状の一貫性がないなども不利に働きます。
異議申し立てでは、新たな医師の意見書や通院記録、画像鑑定など客観的資料を追加提出することが重要です。成功率は1~2割程度と低いため、十分な準備が必要です。
頚椎捻挫の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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