半月板損傷の中でも、水平断裂は比較的多いです。半月板は膝関節のクッションの役割を果たしており、生活や活動に大きな影響を及ぼします。
一方、交通事故で受傷した場合、半月板水平断裂が後遺障害として認定されるかどうかは、多くの方が関心を持つポイントでしょう。
本記事では、半月板水平断裂について詳しく解説しています。さらに、自賠責保険の後遺障害に認定される可能性についても触れています。
最終更新日: 2026/2/19
Table of Contents
半月板水平断裂の基礎知識
半月板の役割と構造
半月板は、膝関節の内側と外側に位置しており、内側半月板と外側半月板と呼ばれています。
半月板は”C”のような形をしており、膝の安定性を保ち、衝撃を吸収する役割を果たします。
半月板は約70%が水分で構成され、残りは主にⅠ型コラーゲンです。血流が豊富な外周部は「red zone」と呼ばれ、損傷しても治癒しやすい部分です。

水平断裂とは何か
半月板の水平断裂は、半月板の組織が水平に断裂する状態を指します。特に中高年に多く見られ、加齢による変性が主な原因です。
水平断裂は膝への繰り返しの負荷や老化によって引き起こされ、内側半月板の後節でよく発生します。
水平断裂の症状と診断方法
半月板水平断裂の主な症状は、膝の痛み、腫れ、可動域の制限です。診断にはMRI検査が有効で、断裂部分が白く映ることが特徴です。

他の半月板損傷との比較
半月板損傷には、水平断裂の他に縦断裂やバケツ柄断裂などがあります。水平断裂は、加齢による変性が主な原因です。
これに対して、縦断裂やバケツ柄断裂は、スポーツなどの外傷によるものが多いです。
半月板の水平断裂の主な原因
スポーツ活動による影響
スポーツ活動は、半月板水平断裂の主な原因の一つです。特に多いのは、サッカー、バスケットボール、ラグビーなどの激しいスポーツです。
膝に強い負荷がかかりやすく、急な方向転換やジャンプの着地時に半月板が損傷するリスクが高まります。
また、繰り返しの動作や過度なトレーニングも半月板に負担をかけ、水平断裂を引き起こす可能性があります。
加齢と半月板の変性
加齢に伴い、半月板の組織は徐々に変性し、弾力性が失われていきます。この変性により、日常的な動作でも半月板が損傷しやすくなります。
特に中高年層では、軽微な外力でも水平断裂が発生することが多く、膝の痛みや可動域の制限が見られます。
過去の怪我や手術歴
過去に膝の怪我や手術を経験したことがある場合、半月板水平断裂のリスクが増加します。
以前の損傷や手術によって膝の安定性が低下して、再度の損傷が起こりやすくなるためです。特に前十字靭帯損傷と併発することが多いです。
日常生活におけるリスク要因
日常生活におけるリスク要因としては、長時間の座位や不適切な姿勢、肥満などの過度の体重負荷が挙げられます。
これらの要因が膝に負担をかけ、半月板損傷を引き起こす可能性があります。特に、階段の昇降や重い物を持ち上げる動作は、注意が必要です。
半月板損傷で考えられる後遺障害
半月板損傷で残った後遺症のうち、後遺障害に認定される可能性があるのは、痛み(神経障害)と可動域制限(機能障害)です。
機能障害(膝関節の可動域制限)
等級 | 認定基準 |
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの |
12級7号:1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの
半月板損傷は、膝関節の可動域制限の原因となるため、12級7号に認定される可能性があります。
しかし、一般的には、半月板損傷に伴う膝関節の可動域制限は軽微な症例が多いです。
機能障害で後遺障害が認定されるケースは、半月板損傷がバケツ柄断裂かつロッキングの状態なのに手術されていない特殊な事案に限られます。

神経障害(膝関節の痛み)
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
半月板損傷の後遺症で、後遺障害に認定される可能性があるのは以下のようなケースです。
- MRI検査や関節鏡検査で、痛みの原因となるタイプの半月板損傷(弁状断裂やバケツ柄断裂)やロッキングを認める
- 半月板切除術が施行され、MRI検査で半月板の形が大きく変化するとともに半月板の体積が著しく減少している
14級9号:局部に神経症状を残すもの
半月板損傷の後遺症で、後遺障害に認定される可能性があるのは以下のようなケースです。
- MRI検査や関節鏡検査で、外傷発症と考えられる新鮮な半月板損傷を認めた
- 半月板縫合術が施行され、MRI検査で半月板の形状変化や信号変化などの異常所見を確認できる
半月板水平断裂は後遺障害認定されるのか【弁護士必見】
半月板水平断裂の12級13号認定は難しい
半月板水平断裂は、加齢による無症候性の変性断裂が多いです。このため、自賠責保険では、半月板損傷は後遺障害に認定されにくいです。
交通事故で膝の痛みを訴える被害者では、MRI検査で内側半月後節の水平断裂が認めるケースが多いです。
しかし、そのほとんどの事案は、加齢による変性断裂とみなされて、後遺障害が非該当になります。
<参考>
【日経メディカル】半月板損傷と交通事故の不都合な真実
14級9号なら認定可能性あり
半月板水平断裂が12級13号に認定される可能性は極めて低いですが、14級9号であれば後遺障害に認定される可能性があります。
ただし、14級9号に認定されるためには、むちうちに準じた後遺障害認定基準となります。このため、認定されるハードルは高いと言えます。
<参考>
むちうちが後遺障害認定されない理由と対処法|交通事故の医療鑑定
半月板水平断裂でも12級13号認定事案は存在する
半月板後節の水平断裂は、加齢に伴う半月板の変性所見です。このため、半月板の水平断裂で後遺障害等級が認定される可能性は低いです。
しかし、弊社事例の中には、中高年の半月板後節の水平断裂で異議申し立てしたところ、12級13号が認定された事案もあります。
このため、内側半月板後節の水平断裂であっても、一概に全例が非該当になるわけではないようです。
少なくとも、神経障害で14級9号の後遺障害認定基準を満たす事案であれば、異議申し立てする価値はあると考えます。
<参考>
半月板水平断裂の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で残った半月板水平断裂の後遺症が後遺障害認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的データ量をベースにしています。整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくため、初回事務所様は無料で承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した専門医が作成します。作成前に検討項目を共有して、クライアントと意見書の内容を擦り合わせます。
必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックで、意見書の質を担保しています。
弊社は、数千におよぶ医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例があります。是非、弊社の医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査や資料を精査して、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では、事案の分析から画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
半月板水平断裂の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
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弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解のほどお願いいたします。

半月板水平断裂で後遺障害に認定されると損害賠償金を請求できる
半月板水平断裂で後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料とは
交通事故で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
半月板水平断裂の後遺障害慰謝料の相場は?
半月板損傷の後遺障害慰謝料の相場は、損傷の程度や後遺症の種類によって異なります。
可動域制限による機能障害では12級7号に、神経症状では12級13号や14級9号に認定される可能性があります。
慰謝料の相場は、可動域制限では290万円、神経症状では110万円〜290万円です。
後遺障害逸失利益とは
後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、被害者の年収や年齢をベースにして、等級に応じた労働能力喪失率と喪失期間で決まります。以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
半月板水平断裂の後遺障害逸失利益の相場は?
半月板水平断裂による後遺障害の逸失利益の相場は、損傷の程度や影響、職種、年齢などによって異なるため、詳細な金額提示は難しいです。
非常にざっくりした数字で言うと、軽度の損傷であれば数十万円から、重度の損傷であれば数百万円に達する可能性もあります。
半月板の水平断裂でよくある質問
水平断裂とはどのような状態ですか?
半月板の線維が水平方向に裂け、上層と下層に分かれる損傷です。加齢変性を背景に生じることが多いです。
若年者のスポーツ外傷とは異なり、明確な受傷機転がない場合もあります。MRI検査で確認されることが一般的です。
原因は加齢ですか、それとも外傷ですか?
中高年では加齢による変性が主因とされますが、転倒やひねり動作などの外力が契機となり症状が顕在化することもあります。
半月板の水平断裂が外傷性か変性かは、受傷状況や画像所見、既往歴などを総合して判断します。
症状はどのようなものですか?
膝の内側や外側の痛み、正座やしゃがみ動作での違和感、膝の引っかかり感が典型的です。
ロッキングのような強い可動域制限は縦断裂より少ない傾向がありますが、炎症が強いと腫脹や水腫を伴います。
手術は必ず必要ですか?
必ずしも必要ではありません。保存療法(安静、消炎鎮痛薬、ヒアルロン酸注射、リハビリ)を行い、症状が改善しなければ手術を検討します。
保存療法で治りますか?
水平断裂自体が完全に癒合することは多くありませんが、炎症が落ち着き筋力が回復すれば症状は軽減します。
大腿四頭筋の強化や体重管理が重要で、症状コントロールが可能なケースも少なくありません。
手術方法には何がありますか?
関節鏡視下で断裂部を部分切除する方法が一般的です。若年者や断裂形態によっては縫合術を選択することもあります。
しかし、半月板の水平断裂は変性を伴うことが多く、切除術が選ばれる傾向があります。
放置すると悪化しますか?
症状が軽ければ経過観察も可能ですが、断裂部が不安定な場合は軟骨損傷や変形性膝関節症の進行に影響する可能性があります。
仕事や運動は続けられますか?
痛みの程度によります。デスクワークは可能なことが多いですが、しゃがみ動作や重量物運搬を伴う作業は負担となります。
スポーツ復帰は、症状が軽快したことと筋力回復を確認したうえで段階的に行います。
MRIで必ず診断できますか?
MRI検査は非常に有用ですが、画像上の断裂所見と、症状や関節鏡での所見が一致しない場合もあります。
無症候性の変性断裂が偶然見つかることもあるため、診断は画像だけでなく理学所見や臨床経過を踏まえて行います。
後遺障害認定の対象になりますか?
交通事故など外傷との因果関係が明確で、症状固定後も疼痛や可動域制限が残存する場合は検討対象となります。
ただし、変性要素が強いと事故との因果関係が争点になるため、医証の充実が重要です。
半月板水平断裂の治療法
半月板水平断裂の治療法には、保存療法と手術療法の2つがあります。保存療法では、薬物療法や物理療法、装具療法、運動療法が行われます。
手術療法には半月板切除術があり、損傷の程度で選択されます。これらの方法は、痛みを軽減し、膝の機能を回復させることを目的としています。
半月板損傷は全治何ヶ月ですか?
半月板損傷の全治期間は、損傷の程度や治療方法によって異なります。軽度の損傷は、保存療法を行うことで3ヶ月程度で回復することが多いです。
しかし、手術が必要な場合や重度の損傷では、全治までに6ヶ月以上かかることもあります。
半月板水平断裂のリスクが高い職業と動作は?
半月板水平断裂のリスクが高い職業や動作には、膝に強い負荷がかかるものが含まれます。
例えば、スポーツ選手や建設作業員など、膝を頻繁に使う職業です。また、長時間の立ち仕事や重い物を持ち上げる動作もリスクを高めます。
半月板断裂は手術した方がいいですか?
半月板断裂の手術が必要かどうかは、損傷の程度や症状によります。軽度の損傷であれば、保存療法で十分回復することがあります。
しかし、重度の損傷や症状が改善しない場合は、手術が推奨されることがあります。手術には、半月板縫合術や半月板切除術があります。
まとめ
半月板の水平断裂は、膝の半月板が水平方向に断裂する状態で、特に中高年に多く見られます。
症状としては、膝の痛みや腫れ、膝関節の可動域制限があり、MRI検査で診断されます。
水平断裂は、膝への繰り返しの負荷や老化による変性が主な原因であり、スポーツ活動や過去の怪我、日常生活のリスク要因も影響します。
加齢による変性が多いため、12級13号の後遺障害認定は難しいですが、14級9号なら認定の可能性があります。
半月板の水平断裂でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニング®を承ります。
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