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半月板損傷で12級に後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定

交通事故による半月板損傷は、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼす可能性があります。後遺症が残ることも珍しくありません。

 

半月板損傷の後遺症が残ったら、後遺障害で12級が認定されるために、具体的な基準を理解しておくことが重要です。

 

本記事では、半月板損傷の概要、具体的な事例、そして後遺障害12級に認定されるポイントを詳しく説明しています。

 

 

最終更新日: 2024/11/17

 

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半月板損傷とは?

半月板損傷の概要

半月板損傷は、膝関節内の半月板が裂けたり、断裂したりする状態です。半月板は内側と外側に1つずつ存在し、膝関節の安定性を保つ役割を果たしています。

 

半月板損傷を受傷すると、膝の痛みや腫れ、可動域の制限が生じることがあります。

 

 

半月板損傷の原因

半月板損傷の主な原因は、外傷や加齢による変性です。外傷では、膝を捻る動作や急激な方向転換が原因となり、特にサッカーやラグビーなどの激しいスポーツで発生しやすいです。

 

加齢による変性では、半月板が硬くなり、弾力性を失うことで損傷しやすくなります。

 

 

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半月板損傷の症状

半月板損傷の主な症状には、膝の痛み、腫れ、可動域の制限、膝の引っかかり感(キャッチング)などがあります。

 

特に、膝を曲げたり伸ばしたりする際に痛みが生じることが多く、歩行困難になるケースもあります。また、膝に水がたまることもあります。

 

 

半月板損傷の画像検査

レントゲン検査

半月板自体はX線には映りませんが、他の損傷を除外するために使用されます。基本的には正面、側面、軸位の3方向で撮影します。立位が取れる場合は、Rosenberg法や下肢全長正面の撮影も有用です。

 

 

MRI検査

半月板損傷の確定診断にはMRIが必須です。MRIは半月板の損傷部位や損傷形態を詳細に把握することができます。

 

 

半月板損傷の徒手検査

マクマレーテスト(McMurray test)

患者を仰向けにさせます。そのままの体勢で膝を最大限に曲げ、足の底と関節を手で持ちます。そのままゆっくりと下腿を外旋、内旋させながら、そのときに生じる痛みなどで診察を行います。

 

内旋時に痛みが生じた場合は外側半月板の損傷、外旋時に痛みが生じれば内側半月板の損傷が疑わしいとされます。

 

 

アプレーテスト(Apley’s Test)

患者を腹臥位にし、膝を90度に屈曲させた状態で行います。検者は患者の踵を両手で押さえ、下方に圧迫しながら下腿を内外に捻転します。痛みが誘発される場合、半月板損傷が疑われます。

 

 

 

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半月板損傷で12級に後遺障害認定される基準とは?

半月板損傷の後遺障害等級(可動域制限などの機能障害)

12級7号:1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの

 

半月板損傷は、膝関節の可動域制限の原因となるため、12級7号に認定される可能性があります。しかし、一般的には、半月板損傷に伴う膝関節の可動域制限は軽微な症例が多いです。

 

機能障害で後遺障害が認定されるケースは、半月板損傷がバケツ柄断裂かつロッキングの状態であり、外科的手術によって整復されていないなどの特殊な事案に限られます。

 

通常、このような状況では外科的手術を施行することから、現実的には機能障害が認定される可能性は極めて低いと言えます。

 

 

半月板損傷の後遺障害等級(膝関節の痛み)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

半月板損傷の後遺症で、後遺障害に認定される可能性があるのは以下のようなケースです。

 

  • MRI検査や関節鏡検査で、痛みの原因となるタイプの半月板損傷(弁状断裂やバケツ柄断裂)やロッキングを認める
  • 半月板切除術が施行され、MRI検査で半月板の形が大きく変化するとともに半月板の体積が著しく減少している

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

半月板損傷の後遺症で、後遺障害に認定される可能性があるのは以下のようなケースです。

 

  • MRI検査や関節鏡検査で、外傷発症と考えられる新鮮な半月板損傷を認めた
  • 半月板縫合術が施行され、MRI検査で半月板の形状変化や信号変化などの異常所見を確認できる

 

 

 

半月板損傷12級の基準と症状

半月板損傷で12級に認定される基準は、膝関節の可動域制限や神経症状の有無に基づきます。具体的な症状としては、膝の曲げ伸ばしが困難であったり、持続的な痛みや違和感が残ることが挙げられます。

 

 

半月板損傷で12級認定は難しい?

半月板損傷で12級の認定を受けることは難しいケースが多いです。その理由は、事故とは無関係の加齢による変性断裂とみなされやすいからです。

 

半月板損傷が後遺障害12級に認定されるためには、事故と半月板損傷との因果関係を証明する必要があります。

 

 

半月板損傷12級の具体的な事例

事案サマリー

 

  • 50代女性
  • 受傷機序:バイク走行中に対向車との接触し、転倒をこらえるため足を踏ん張った際に受傷
  • 自覚症状:右膝内側の疼痛(立ちしゃがみ動作にて増強)
  • 身体所見:マックマレーテスト(McMurray test)陽性、関節水腫あり、可動域制限なし

 

初回審査は非該当でしたが、医師意見書を添付して異議申し立てしたところ、12級13号が認定された半月板損傷の事案をご紹介します。

 

 

画像所見および関節鏡所見

 

  • 受傷直後のMRI検査で、内側半月板中~後節に損傷を疑う信号変化
  • 関節鏡所見で同部の損傷を認め、半月板切除術+半月板縫合術を施行
  • 術後MRI検査では内側半月板の形態変化(サイズの縮小)と信号変化

 

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医師意見書の効果

 

上記の事案において、非該当通知書には「画像所見上本件事故による骨折や脱臼等の明らかな外傷性の異常所見は認められず、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられない」と記載されていました。

 

医師意見書で、以下を主張したところ、12級13号の後遺障害が認定されました。

  • 交通事故後より症状が出現したという診療録記載の引用
  • 受傷直後および手術後の画像所見の提示
  • 関節鏡手術所見を提示して事故との因果関係や症状を医学的に説明

 

主張内容および各種所見の医学的整合性が評価された結果であると考えられます。

 

 

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半月板損傷12級の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

半月板損傷の原因は加齢性変化が多い

半月板損傷は、膝関節のクッション役を果たす半月板が損傷する状態です。主な原因は加齢による変性で、年齢とともに半月板の弾力性が低下し、わずかな外力でも損傷しやすくなります。

 

特に、40代以降の人々に半月板の加齢性変化は多く見られるため、自賠責保険は半月板の変性所見を厳しく審査します。

 

<参考>
【日経メディカル】半月板損傷と交通事故の不都合な真実

 

 

 

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半月板損傷と事故の因果関係を証明する方法

半月板損傷と交通事故の因果関係を証明するためには、事故直後から一貫して膝の痛みが診断書や診療録に記載されていることが重要です。

 

また、半月板損傷と事故との因果関係では、事故の状況や受傷機序もポイントになります。このため、事故の状況の詳細に記録しておくことも有効です。

 

また、半月板損傷が新鮮外傷であることの証明には、半月板損傷12級の具体的な事例のように、MRI検査の詳細な分析も重要です。

 

<参考>
半月板損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

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医師意見書で半月板損傷と事故の因果関係を証明

半月板損傷が交通事故によるものであることを証明するためには、医師意見書も重要です。

 

医師意見書では、画像所見の解説に加えて、受傷機転や診療経過から、半月板損傷と事故の因果関係を主張します。

 

交通事故で受傷した半月板損傷が非該当になってお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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半月板損傷12級の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した半月板損傷が後遺障害12級に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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半月板損傷12級の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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半月板損傷12級の慰謝料相場

 

半月板損傷12級の慰謝料相場は、裁判所基準で約290万円とされています。一方、自賠責基準では94万円、任意保険基準は公表されていませんが、自賠責基準よりも少し高いとされています。

 

 

半月板損傷でよくある質問

半月板損傷の治療法は?

半月板損傷の治療法には、保存療法と手術療法があります。保存療法では、薬物療法、電気治療、運動療法、温熱療法、装具療法、ヒアルロン酸注射などが行われます。ロッキングが見られない場合には、まずは保存療法で改善を図ることが一般的です。

 

手術療法には、半月板縫合術と半月板切除術の2つがあります。半月板切除術は症状を早期に改善することが期待できますが、将来の変形性膝関節症のリスクを増加させる恐れもあります。

 

 

半月板損傷の治療期間は?

半月板損傷の治療期間は、損傷の程度や治療法によって異なります。保存療法の場合、改善が見られるまでに約3ヶ月を要することが一般的です。

 

手術療法を選択した場合、リハビリを含めた完全な回復には約5〜6ヶ月かかることがあります。特にスポーツ復帰を目指す場合は、慎重なリハビリプランが必要です。

 

 

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まとめ

 

半月板損傷とは、膝関節内にあるクッションの役割を果たす半月板が損傷することです。主な原因はスポーツや交通事故、加齢による変性などです。

 

症状としては、膝の痛みや腫れ、可動域の制限、引っかかる感覚(キャッチング)などがあります。診断にはMRIが必要です。

 

後遺障害12級に認定されるためには、膝関節の可動域制限や神経症状が持続することが条件です。特に事故との因果関係を証明することが重要です。

 

12級認定には、半月板損傷と事故の因果関係証明が必要です。交通事故で受傷した半月板損傷に関してお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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