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交通事故の関節内骨折
骨折の中でも特に関節内骨折は、関節の痛みや拘縮などの後遺障害を残しやすい外傷です。関節内骨折を見かけたら、何らかの障害が残る可能性があると考えても間違いではありません。
それでは、どうして関節内骨折を併発すると、疼痛や関節の拘縮などをきたしやすくなるのでしょうか? 主に2つの要因が考えられます。まずひとつめは、関節そのものの構造が破綻してしまうからです。
関節を構成する二つの骨の関節面の曲率半径はほぼ同じです。このおかげで関節はスムーズに動きます。ところが関節内骨折が発生すると、 二つの骨のうちの片方の形状が変化してしまうため、関節の適合性が悪くなってしまい関節のスムーズな動きができなくなります。このため関節が動くたびにガタガタ道を車が走るような状態となるため、関節の構造がさらに悪くなっていくのです。
ふたつめは、関節内骨折を併発する時に関節軟骨まで傷んでしまうことです。単純 X 線では骨の形態異常しか分かりませんが、実際に関節内を関節鏡で覗いてみると、骨の表面を覆っている関節軟骨がえぐれていることが観察できます。関節が痛みなくスムーズに動くには骨の表面が正常な関節軟骨に覆われている必要があります。
関節内骨折の際にこの関節軟骨が破壊されてしまうため、スムーズな関節の動きが阻害されて疼痛や拘縮の原因となります。このように骨の形状そのものが破綻することと骨の表面を覆っている関節軟骨が傷んでしまうことの二つの要因のために、関節内骨折を起こすと疼痛や拘縮をきたしやすくなるのです。