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stener lesion(ステナー損傷)は母指MP関節靭帯損傷|交通事故の後遺障害

転倒や親指に物が引っ掛かったりして母指を強制的に外転されると、母指のMP関節靭帯損傷を受傷するケースがあります。

 

通常の母指MP関節靭帯損傷は保存治療で治癒しますが、stener lesion(ステナー損傷)と呼ばれる病態では不安定性が残るため手術治療を行います。

 

本記事は、stener lesion(ステナー損傷)の病態を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/5/11

 

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stener lesion(ステナー損傷)とは

 

stener lesion(ステナー損傷)とは、母指MP関節の尺側側副靭帯が断裂した際に、断裂した中枢側の靭帯が母指内転筋の表層に乗り上げてしまったため、靭帯の断端が修復されなくなった状態です。

 

 

stener lesion

 

https://emedicine.medscape.com/から転載

 

 

stener lesion(ステナー損傷)の受傷機序

 

ボール競技や、スキーのストック、野球のバット、テニスラケットなどを握った状態で受傷することが一般的です。交通事故では、転倒やハンドルを握っていて衝突した際に受傷しやすいです。

 

 

stener lesion(ステナー損傷)の症状

 

母指MP関節の尺側側副靭帯の断端が接触していないため、保存治療では靭帯が修復されません。このため、以下のような症状が残ってしまい、早期に変形性関節症をきたします。

 

  • 痛み
  • 不安定感
  • 亜脱臼

 

 

 

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stener lesion(ステナー損傷)の診断

身体所見

母指MP関節の著明な不安定性や、外側(橈側)に偏位した母指などが特徴的です。

 

 

画像検査

ストレス撮影(レントゲン検査)

 

母指MP関節伸展位のストレス撮影で、健側比15度以上の傾斜角度を認める症例では、Stener lesionに至っている可能性が高いです。

 

 

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MRI検査

 

T2強調STIR画像の冠状断で、母指MP関節の尺側側副靭帯の断裂を観察できます。

 

 

MRI

 

 

 

超音波検査

 

超音波検査はコストや簡便性の点で優れていますが、感度や特異度ではMRI検査の方が優位です。

 

また自賠責保険の現場では、超音波検査の所見は認められにくいという問題点もあります。

 

このため、後遺障害認定の観点からは、stener lesion(ステナー損傷)では超音波検査は補足的な検査に留まります。

 

 

stener lesion(ステナー損傷)に対する治療

新鮮例の治療

保存治療では、母指MP関節の尺側側副靭帯の断裂が自然修復されません。このため、新鮮例であれば母指MP関節尺側側副靭帯を縫合します。

 

裂離骨片を伴うstener lesionでは、pull-out wireを用いて固定します。

 

 

陳旧例の治療

陳旧例では瘢痕化している母指MP関節尺側側副靭帯を新鮮化して縫縮することが多いです。

 

短母指伸筋腱による靭帯再建や示指伸筋腱による腱移行が選択されることもあります。

 

 

 

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stener lesion(ステナー損傷)で考えられる後遺症

手指の機能障害

10級7号:1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

親指のDIP関節(第1関節)もしくはMP関節、その他の指ならPIP関節(第2関節)もしくはMP関節に著しい運動障害を残すものです。著しい運動障害とは、関節の可動範囲が健側の1/2以下になることです。

 

 

手指の神経障害

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

画像所見から、骨折部の痛みを証明できるものです。著明な変形や偽関節の所見があれば、認定される可能性があります。

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

手の甲の痛みの原因を明確に証明できないものの、治療経過や画像所見から痛みの存在が疑わしい事案が認定される可能性があります

 

 

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【弁護士必見】stener lesionの後遺障害認定ポイント

 

stener lesion(ステナー損傷)では、当初は不安定性が主な症状です。しかし、自賠責保険で後遺障害に認定される障害は、痛み(神経障害)が多いです。

 

その理由は、stener lesionが気付かれずに保存治療が選択された事案では、変形性MP関節症になってしまい、不安定性よりも痛みが残りやすいからです。

 

 

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まとめ

 

stener lesion(ステナー損傷)とは、母指MP関節の尺側側副靭帯が断裂した際に、断裂した中枢側の靭帯が母指内転筋の表層に乗り上げてしまったため、靭帯の断端が修復されなくなった状態です。

 

母指MP関節の尺側側副靭帯の断端が接触していないため、保存治療では靭帯が修復されません。このため、stener lesion(ステナー損傷)では手術治療が必要です。

 

stener lesion(ステナー損傷)の診断では、ストレス撮影(レントゲン検査)とMRI検査が有用です。自賠責保険で後遺障害に認定される障害は、痛み(神経障害)が多いです。

 

stener lesion(ステナー損傷、母指MP関節靭帯損傷)でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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