交通事故で手首を痛めてTFCC損傷と診断されたのに、後遺障害認定は非該当…。その結果に納得できず、理由を知りたい方は少なくありません。
TFCC損傷は、MRI検査で損傷所見を確認できても、事故との因果関係の証明が難しいなど、後遺障害認定に至らないポイントが存在します。
しかし、非該当になっても、原因を正しく理解して必要な医証を集めて、適切な手続きを踏めば、異議申し立てで認定される可能性があります。
本記事では、なぜTFCC損傷が後遺障害認定されないのか、非該当に対する対処方法などを、分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/12/11
Table of Contents
TFCC損傷が後遺障害認定されない3つの原因
医学的根拠が不足している
TFCC損傷が後遺障害認定されない最も多い原因は、医学的根拠の不足です。TFCCは軟部組織のためレントゲン検査ではなくMRI検査が必要です。
特に、受傷直後にMRI検査を受けていないと、急性期の画像所見が得られず、事故による損傷かどうかの判断が難しくなります。
また、関節血腫、軟部組織の皮下出血、骨挫傷などの急性期所見が不十分だと、非該当と判定されやすくなります。
後遺障害診断書の記載内容が不十分であったり、圧痛点や可動域制限などの身体所見が明確に記録されていない場合も、認定が難しくなります。

TFCC損傷と事故の因果関係を証明できない
交通事故とTFCC損傷の因果関係を証明できないことも、後遺障害が非該当になる大きな原因です。
事故直後のカルテに手関節痛の記載がなかったり、事故から数週間後に初めて手首の傷病名がつけられると、因果関係を否定されやすいです。
受傷機序が、TFCC損傷の典型的パターン(転倒して手をつく、ハンドルを握った状態で衝撃を受ける)ではない時も事故との関連性が疑われます。
また、診断書において症状の連続性や一貫性がないと、後遺障害に認定されにくくなります。
加齢性変化か外傷性かの判別が困難
TFCC損傷は加齢によっても発症するため、交通事故による外傷性の損傷か、加齢性の変化かを区別することが難しいケースがあります。
特に、尺骨が橈骨よりも長い人は、慢性的な機械的ストレスのため、年齢を重ねるにつれてTFCCの構造が弱くなって損傷しやすくなります。
外傷性かどうかの鑑別には、MRI検査での急性期の画像所見、診療記録、受傷機序などを総合的に分析する必要があります。
特に、受傷後1ヵ月以内のMRI検査で急性期所見が確認できれば、外傷性であることの証明に有効です。
TFCC損傷が後遺障害認定されない時の対処法
TFCC損傷が後遺障害認定されない原因を調べる
まず、なぜ非該当になったのか、後遺障害等級認定票を確認して原因を特定することが重要です。
非該当の理由として多いのは、「画像上、外傷性の異常所見を認め難い」「MRI画像上損傷がはっきりしない」といった指摘です。
これらの理由を正確に把握することで、異議申し立てで何を証明すべきかが明確になります。
専門家(弁護士や医療鑑定会社)に相談して、TFCC損傷が非該当になった原因を、医学的観点から分析してもらうことも有効です。
TFCC損傷の認定基準を満たすことを証明する医証を集める
非該当の原因が判明したら、後遺障害認定基準を満たしていることを証明する医証を収集します。
具体的には、MRIや関節造影検査などの画像検査、カルテ(診療録)、後遺障害診断書の訂正版、新たな診断書などが必要です。
また、手外科専門医による医師意見書や画像鑑定報告書は、審査側への説得力が高くなります。
画像所見と身体所見が一致していること、事故態様と受傷機転の整合性があることを、医学的根拠とともに示すことが重要です。
また、症状の連続性を示すために、事故直後からの治療経過を整理することも必要です。
<参考>
自賠責保険に異議申し立てを行う
医証を揃えたら、異議申し立てを行います。異議申し立ては費用がかからず、何度でも申請できる手続きです。
異議申立書には、非該当になった理由に対する反論と、認定を求める後遺障害等級の要件を満たしていることを、理論的・医学的に記載します。
必要に応じて、カルテ、医療照会に対する回答書、新たな診断書、医師意見書、画像鑑定報告書などを添付します。
異議申し立てで結果が覆らない場合は、自賠責保険・共済紛争処理機構への申請や、訴訟を提起することも検討できます。
実際に、異議申し立てや訴訟で12級13号や14級9号が認定された事例も多数あります。
尚、TFCC損傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
TFCC損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
TFCC損傷が後遺障害認定されない時のサポート
弁護士向け専門サポート
弊社では、交通事故で受傷したTFCC損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

TFCC損傷が後遺障害認定されないでよくある質問
なぜTFCC損傷なのに後遺障害が非該当になったのですか?
TFCC損傷の後遺障害が非該当になる主な理由は、医学的根拠の不足、事故との因果関係の証明不足、加齢性変化との区別が困難などです。
特に、受傷直後にMRI検査を実施されていない、急性期の画像所見が乏しい、事故直後の診断書に手関節の傷病名がない、と非該当になります。
MRIでTFCC損傷が確認されているのに認定されないことはありますか?
はい、あります。MRI検査でTFCC損傷が確認されていても、「画像上の異常所見が認められない」として後遺障害が認定されないことがあります。
これは、MRI撮影のタイミングが遅く急性期所見が消失している、画像所見と身体所見の一致が示されていないなどの理由によります。
症状固定時の診断書に問題があったのでしょうか?
後遺障害診断書の記載内容は認定の可否に大きく影響します。TFCC損傷では、身体所見が具体的に記載されていないと、認定が難しくなります。
また、TFCC損傷と明記されていても、それを裏付ける検査所見や画像所見との整合性が示されていなければ、非該当になることがあります。
診断書の不備がある場合は、医師に面談して訂正版を作成してもらうことが有効です。
TFCC損傷の後遺障害は何級に該当する可能性がありますか?
TFCC損傷で認定される可能性のある後遺障害等級は、症状によって異なります。
手関節の可動域制限がある場合、機能障害として8級6号、10級10号、12級6号が認定される可能性があります。
手関節の痛みが残る場合、神経障害として12級13号または14級9号が認定される可能性があります。
MRI検査などで明確にTFCC損傷が確認できている場合は12級13号、症状の医学的説明ができる場合は14級9号が認定される傾向があります。
認定のために追加の検査(MRI・徒手検査)を受けたほうがいいですか?
はい、追加の検査を受けることを強くお勧めします。TFCC損傷はレントゲン検査では分からないため、MRI検査が必須です。
特に、受傷後1ヵ月以内のMRI検査で、TFCC損傷の急性期所見を確認することが重要です。
また、手関節にストレスをかけて疼痛の有無を確認する徒手検査(ストレステスト)も診断に有効です。
手外科専門医のいる病院で精密検査を受けることで、より正確な診断とTFCC損傷を裏付ける医学的根拠を得ることができます。
手術をすれば後遺障害認定されやすくなりますか?
手術を受けたからといって、必ずしも後遺障害認定されやすくなるわけではありません。
TFCC損傷の再建手術後でも、可動域制限や疼痛などの症状が医学的に明確に証明できなければ、後遺障害が非該当になる場合があります。
逆に、再建手術後に手関節の可動域制限や疼痛が残っていない場合は、「治癒扱い」となるため後遺障害に認定されません。
重要なのは、症状固定時に残存している症状を、客観的に証明できるかどうかです。
関節造影検査を受けると、認定されやすくなりますか?
MRI検査だけでは損傷の抽出が困難な場合、関節造影検査を追加することで、より明確にTFCC損傷を証明できる可能性があります。
造影剤検査と組み合わせたレントゲン検査やMRI検査により確定診断が得られれば、後遺障害認定の可能性が高まります。
ただし、関節造影検査は頻繁に行われる検査ではなく、医師に依頼しても断られることもあるため、手外科専門医への相談をお勧めします。
医師が診断書に「TFCC損傷」と書いてくれても、なぜ非該当になるのですか?
医師が診断書に「TFCC損傷」と記載しても、それだけでは後遺障害に認定されません。
自賠責保険の後遺障害認定では、診断名だけでなく、それを裏付ける客観的な医学的根拠が必要です。
MRI検査でTFCC損傷が確認できること、画像所見と身体所見が一致していること、事故との因果関係が医学的に説明できることが求められます。
また、症状の一貫性や連続性、治療経過の妥当性なども審査されます。これらの要件を満たしていないと、診断名があっても非該当になります。
まとめ
TFCC損傷が後遺障害認定されない主な原因は、医学的根拠の不足、事故との因果関係の証明不足、加齢性変化との区別が難しい点です。
急性期のMRI検査の画像所見が重要で、事故直後の診断書で手関節の傷病名がない場合も、事故との因果関係が否定されます。
加齢による損傷と外傷性損傷の判別には、画像所見や受傷機序の分析が必要です。
非該当時は後遺障害等級結果連絡書を確認して、MRI画像や医師意見書などの医証を集めて、異議申し立てで医学的根拠を示すことが有効です。
TFCC損傷の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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