交通事故で中足骨を骨折して、治療後も痛みや歩行時の違和感が残る…。そんな場合、後遺障害に認定されるかが大きな分かれ道になります。
しかし、中足骨骨折は画像上の変化が小さいことも多く、症状の訴えだけでは「非該当」と判断されるケースも少なくありません。
そこで注目されているのが、整形外科専門医がCTなどの画像検査を精密に解析して、医学的根拠を明示する「画像鑑定」です。
画像鑑定は、通常の診断書とは異なり、骨癒合の状態や変形の有無を客観的に示すことで、後遺障害の存在を裏づける重要な資料となります。
本記事では、中足骨骨折における画像鑑定の意義から、依頼の流れ、費用の目安、異議申し立てや裁判での活用法を分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/11/17
Table of Contents
中足骨骨折における画像鑑定の意義と基礎知識
なぜ中足骨骨折は後遺障害に認定されにくいのか
中足骨骨折では、痛みやしびれが残っても、後遺障害に認定されないことが珍しくありません。
主な理由は、レントゲン検査だけでは後遺症の原因を証明しにくいためです。後遺症の原因を証明するには、CT検査が有用なケースが多いです。
画像検査上で、関節面の不整像や変形を明確に提示できずに、主観的症状のみの場合は、後遺障害に認定されません。
また、後遺障害診断書の記載内容や症状固定時期が適切でないために非該当となるケースも珍しくありません。
<参考>
足骨折やリスフラン靭帯損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
画像鑑定とは何なのか
画像鑑定は、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査を専門医が詳細に分析して、骨折部の状態や後遺症との関連性を医学的に示す資料です。
専門医が画像検査を精査して、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
後遺障害診断書だけでは伝わりにくい、後遺症が残存している蓋然性を補う資料として、異議申し立てや裁判でも重視されています。
後遺障害認定における画像鑑定の役割
後遺障害に認定されるには、レントゲン、CT、MRI検査などで異常所見を指摘できることが重要です。
画像鑑定は、画像所見と症状や神経学的所見との整合性を示すことで、異議申し立て成功につながる補強資料としての大きな価値を持ちます。
特に、中足骨骨折ではCT検査による評価が必須であり、リスフラン関節の異常所見が確認されると、後遺障害に認定される可能性が高まります。
画像鑑定書に盛り込まれる主な医学的内
中足骨骨折の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像検査
- レントゲン、CT、MRIなどの画像所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 整形外科専門医による総括
これら以外にも、画像所見が中足骨骨折の後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

後遺障害認定で有利に使う!画像鑑定の実践的活用法
異議申し立てで画像鑑定が有効となるケース
前回審査で、中足骨骨折の後遺障害が非該当とされた場合、異議申し立てで画像鑑定を提出すると、後遺障害認定の確率が上がります。
特にCT検査で後遺症と画像所見が一致すると、「後遺症が残る蓋然性」を医学的に主張できます。
中足骨骨折では、CT検査によるリスフラン関節の変形を示せれば、痛みの医学的説明が可能になり、後遺障害認定の可能性が高まります。
裁判で後遺障害の存在を裏づける医学的根拠としての活用
裁判では、画像鑑定が後遺症の客観的証拠として活用されます。画像所見により身体の器質的変化が証明されると、等級が覆る例もあります。
整形外科専門医が、中足骨骨折による異常所見を明確に示すことで後遺障害診断書では伝わりにくい医学的な説得力を補強します。
画像鑑定は、特に画像所見が争点になっている事案では、当方の主張を裏付ける重要な医学的証拠になります。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
中足骨骨折の画像鑑定を依頼する流れと注意点
画像鑑定を依頼するための手順とポイント
中足骨骨折の画像鑑定を取得するには、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
中足骨骨折の画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
提出すべき検査画像や診療資料とは
中足骨骨折の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定にかかる費用
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定の取得にかかる期間の目安
中足骨骨折の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、整形外科専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
弁護士・被害者のための画像鑑定活用ガイド
中足骨骨折で後遺障害を立証する際のチェックポイント
中足骨骨折で残った後遺症の後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的な医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって、中足骨骨折による後遺症の客観的証拠が、画像所見として補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 中足骨骨折と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
中足骨骨折において、すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
画像鑑定の価値は、中足骨骨折の後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、中足骨骨折の後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
中足骨骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
足骨折やリスフラン靭帯損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
医師意見書と画像鑑定の違いと効果的な使い分け
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
中足骨骨折の後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
中足骨骨折の後遺障害認定で弊社が提供できる支援内容
弁護士の方へのサービス一覧
弊社では、交通事故で受傷した、中足骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者の方に弊社ができること
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、中足骨骨折の後遺障害認定で、弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

中足骨骨折の画像鑑定でよくある質問
中足骨骨折の画像鑑定ではどのような点を確認するのですか?
中足骨骨折の画像鑑定では、リスフラン関節の変形や不整像、偽関節、変形癒合の有無を確認します。
特に、CT検査による詳細な評価で、リスフラン関節を中心にした変形や骨折部の癒合状態を精査します。
第1・2中足骨関節面と楔状骨間関節面の位置関係、リスフラン関節の開大の程度、骨挫傷の有無なども重要なポイントになります。
レントゲンだけでなくCTやMRIも必要ですか?
中足骨骨折では、CT検査による精密な評価が不可欠です。CT検査は、骨の詳細な評価に優れています。
レントゲン検査だけでは、微細な骨折や関節面の変形を見逃しやすく、特にリスフラン関節損傷の診断が難しいことが多いです。
一方、MRI検査は、靱帯や軟部組織の損傷や骨挫傷を確認できますが、中足骨骨折ではCT検査の方が重要度が高いです。
主治医の診断と異なる結果が出ることはありますか?
画像鑑定は、主治医とは異なり、後遺障害認定基準の視点で評価するため、主治医の診断と異なる結果が出ることがあります。
特に、整形外科専門医が画像検査を詳細に分析することで、後遺障害認定基準において重要な画像所見が発見されることもあります。
中足骨骨折の画像鑑定で後遺障害等級に影響するポイントはどこですか?
後遺障害等級に影響するポイントは、リスフラン関節の変形や偽関節、変形癒合の有無です。
CT検査で関節面の変形を確認して、疼痛や足趾の可動域制限の原因であることを示せれば、後遺障害認定に結びつく可能性が高くなります。
骨折の状態が激しいほど、また骨折部の癒合が不十分であったり変形癒合があるほど、後遺障害に認定されやすくなります。
骨癒合していても後遺障害が認められることはありますか?
骨癒合していても、変形癒合や関節面の不整があれば後遺障害が認められる可能性があります。
骨が変形した状態で癒合すると、関節の可動域制限や痛みの原因になることがあります。
中足骨骨折では、骨癒合していても骨萎縮やリスフラン関節症が残ることがあり、これらが後遺障害として認定される場合があります。
古い画像でも鑑定してもらえますか?
古い画像検査でも、画像鑑定は可能です。画像鑑定では、事故後に撮影されたレントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査を精査します。
中足骨骨折の経時的な変化を確認するために、複数時期の画像検査を比較することも重要です。
ただし、画像データの保存状態や画質によっては、詳細な評価が難しい場合もあります。
一般的に、医療機関では画像データを一定期間保存しているため、事故後の画像であれば、画像鑑定に使用できる可能性が高いです。
画像鑑定の結果はどのような書面で提出されますか?
画像鑑定の結果は、医師の署名捺印入りの画像鑑定報告書として原本が郵送で納品されます。
報告書には、重要な画像の提示、レントゲン・CT・MRIなどの所見、画像所見と後遺症の関連性、鑑定医師による総括が記載されます。
自賠責保険の後遺障害認定基準に準拠した内容で作成されるため、異議申し立てや訴訟での訴求力が高いです。作成期間は約3週間です。
複数の中足骨を骨折している場合、個別に評価されますか?
複数の中足骨を骨折している場合、それぞれの骨折部位を個別に評価します。第2、3、4中足骨基部の骨折が同時に認められることが多いです。
画像鑑定では、中足骨の各骨折の状態や関節面の変形、癒合状態を詳細に確認します。
一方、複数部位の中足骨骨折でも、後遺障害認定では「多部位加算」というものは存在せず、中足骨骨折全体で1つの骨折として審査されます。
画像鑑定で”偽関節”や”変形治癒”が確認されたらどうなりますか?
画像鑑定で偽関節や変形治癒が確認されると、痛みや可動域制限の医学的根拠が明確になるため、後遺障害認定の可能性が高まります。
偽関節は骨折部が癒合せず偽りの関節のようになった状態で、変形治癒は骨が正常の形態とは異なった形でくっついた状態です。
特に、整形外科専門医が画像検査を詳細に評価して、偽関節や変形治癒の存在を証明することで、異議申し立てや裁判で有力な証拠となります。
どんな専門医が画像鑑定を行うのですか?
画像鑑定は、整形外科、脊椎外科、脳神経外科などの臨床経験豊富な専門医が行います。中足骨骨折は整形外科専門医による鑑定が適切です。
放射線科専門医が画像鑑定を行うこともありますが、実際に患者を診察する整形外科専門医による鑑定の方が、実臨床に即した評価が可能です。
複数の専門医によるダブルチェック体制を取っている医療鑑定会社もあり、後遺障害認定基準を熟知した医師チームが画像鑑定を行います。
まとめ
中足骨骨折では、痛みやしびれが残っても、画像検査で明確な異常が示されないと後遺障害と認定されにくい傾向があります。
こうした場合に有効となるのが「画像鑑定」です。画像鑑定は、専門医が関節面の不整像や変形の有無などを医学的に証明する文書です。
画像鑑定により、自覚症状だけでは伝わりにくい後遺症の客観的裏づけが得られ、異議申し立てや裁判での説得力が高まります。
特に、リスフラン関節損傷など、見落とされやすい部位の評価には、CT検査が有効です。
画像鑑定の適切な活用によって、12級13号や14級9号といった後遺障害等級に認定される可能性を高められます。
中足骨骨折の後遺障害認定でお困りであれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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