交通事故で手関節を痛めてTFCC損傷と診断されたものの、画像検査で異常が見つからず、後遺障害が非該当になるケースは少なくありません。
TFCC損傷は、MRI検査でも診断が難しいケースが珍しくなく、TFCC損傷や後遺症の存在を立証できないことがあります。
そこで注目されているのが「画像鑑定」です。画像鑑定とは専門医がTFCC損傷の有無を鑑定した文書で、異議申し立てなどで活用されています。
本記事では、TFCC損傷における画像鑑定の仕組みや有効性、取得法、医師意見書との違いと使い分け方を、分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/11/6
Table of Contents
TFCC損傷の画像鑑定で後遺障害認定を目指す方法
TFCC損傷が認定されにくい背景
TFCC損傷は、レントゲン検査では診断できず、MRI検査も手外科専門医でなければ診断が難しいとされています。
そのため、TFCC損傷と事故との因果関係や、症状の一貫性は証明しにくく、後遺障害認定が困難になるケースが少なくありません。
<参考>
TFCC損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
画像鑑定の概要
画像鑑定とは、第三者の医療鑑定会社が画像検査を医学的観点から評価した文書です。TFCC損傷では手外科専門医が担当するケースが多いです。
異議申し立てにおける画像鑑定の有効性
異議申し立てにおいて、実質的な審査の俎上に乗るためには、新たな診断書な画像検査などの「医証」が必要です。
画像鑑定は、新たな医証とみなされるため、異議申し立てで当方の主張を補強する証拠となります。
画像鑑定で記載される内容
TFCC損傷の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 手外科の鑑定医師による総括
これら以外にも、TFCC損傷の画像所見が後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

画像鑑定と医師意見書の違いと使い分け
画像鑑定が有利な場面
後遺障害が非該当になった事案で、TFCC損傷の画像所見を否定されたケースでは、手外科専門医による画像鑑定が有効です。
医師意見書が必要なケース
医師意見書は、画像検査だけではなく、受傷機序、身体所見、治療経過、事故との因果関係などを、医学文献を引用して総合的に解説します。
後遺障害が非該当になった原因として、TFCC損傷と事故との因果関係を否定されたケースでは、画像鑑定ではなく医師意見書が必要となります。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定と医師意見書を使い分けるポイント
画像鑑定は、MRI検査やCT検査などの画像検査をもとにして、後遺症の有無を判断する文書です。
一方、医師意見書は、画像検査や診療記録、患者の身体所見などを総合的に考慮して、後遺症の評価を行います。
もし後遺障害審査で、画像検査の所見が不足していて認定されなかった場合には、画像鑑定を追加することで後遺障害認定の可能性が高まります。
また、事故と後遺症のつながりの説明や、医学論文を使った専門的な理由付けが必要なケースでは、医師意見書の方が適しています。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
画像鑑定をスムーズに取得する方法
画像鑑定依頼までの流れ
画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
必要な資料一覧
TFCC損傷の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定の費用の目安
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定の取得にかかる所要期間
TFCC損傷の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
医師が教えるTFCC損傷で後遺障害認定されるポイント
TFCC損傷による後遺障害認定では、自分の症状を伝えるだけでは足りません。医学的に証明できる客観的な資料が必須となります。
画像鑑定によって、MRIなどの画像検査をもとに後遺症の根拠を示すことで、後遺障害認定が有利になりやすくなります。
ただし、後遺障害認定には画像所見だけでなく、事故との因果関係、検査結果の一致、症状持続などの認定基準をクリアする必要があります。
画像鑑定は、後遺障害認定基準に足りない要素を補い、後遺障害認定の可能性を高める役割があります。
そのため、医療鑑定会社には、自賠責保険の後遺障害認定基準の知識と経験が不可欠です。
TFCC損傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
TFCC損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
後遺障害認定の支援サービス紹介
弁護士へのサポートメニュー
弊社では、交通事故で受傷したTFCC損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故被害者への支援内容
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

TFCC損傷の画像鑑定でよくある質問
TFCC損傷の画像鑑定ではどのような点を専門医が確認するのですか?
手外科専門医は、画像上の損傷所見の有無、損傷部位の特定、事故による損傷か加齢性変化かの区別、および症状の医学的整合性を評価します。
初回のMRIで損傷が見つからなかった場合でも、画像鑑定で新たに異常が見つかることはありますか?
手外科専門医の鑑定を受けることで、主治医や放射線科医師だけでは読影できなかった微細な損傷や変化を、新たに指摘できるケースもあります。
画像鑑定を依頼するタイミングは、異議申し立て前と後のどちらがよいですか?
異議申し立ての際、画像鑑定を新たな医証として添付すると有効です。このため、画像鑑定を依頼するタイミングは、異議申し立て前がよいです。
画像鑑定を依頼できるのはどのような専門家ですか?
画像鑑定の依頼先は、弊社のような医療鑑定会社です。実際に画像鑑定を行うのは、手外科医や整形外科医などの関節疾患の専門医です。
TFCC損傷と加齢性変化(変性)を区別できますか?
MRI検査の画像所見や治療経過、受傷状況の分析により、交通事故が原因か、加齢性かの鑑別が可能です。手外科専門医が総合的に判断します。
画像鑑定結果は後遺障害等級の認定にどの程度影響しますか?
画像鑑定が、事故との因果関係やTFCC損傷の存在を明確に証明できれば、後遺障害認定に大きな影響を与える可能性があります。
保険会社や自賠責調査事務所は画像鑑定の結果をどのように扱いますか?
画像鑑定は、新たな診断書や画像検査、そして医師意見書などと並んで、後遺障害認定における重要資料の1つです。
後遺障害認定の審査では、他の証拠との整合性や医学的信用性も含めて、総合的に評価されます。
まとめ
TFCC損傷は、レントゲンでは異常が分かりにくく、MRIでも手外科専門医でなければ見落とされやすい難しい損傷です。
そのため、交通事故による受傷であっても、因果関係や症状の一貫性を証明できず、後遺障害が非該当となるケースが多くあります。
そこで有効なのが「画像鑑定」です。画像鑑定は専門医が医学的観点から画像を評価して、損傷の有無や事故との因果関係を示す医証となります。
画像所見の乏しさが原因の非該当では画像鑑定が有効ですが、因果関係の立証には医師意見書が適しています。
画像鑑定の取得には診断書や画像データなどの資料が必要で、費用は一般的に7〜8万円、約3週間で初稿が届きます。
TFCC損傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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