交通事故で手指を骨折すると、「痛みが残る」「指が曲がりにくい」「細かい作業ができない」など、生活への影響が長く続くことがあります。
こうした症状を後遺障害として認めてもらうには、医師の専門的見解をまとめた「医師意見書」が重要な役割を果たします。
医師意見書には、関節の可動域や変形の有無、日常生活への支障など、診断書では十分に伝わらない詳細な医学的情報が記載されます。
本記事では、手指骨折の医師意見書に記載される内容、取得方法、さらに後遺障害認定での活用法まで分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/10/18
Table of Contents
- 1 手指骨折と医師意見書の基礎知識
- 2 手指骨折で医師意見書が重視される理由
- 3 手指骨折の医師意見書を活用する方法
- 4 手指骨折の医師意見書を取得する方法
- 5 手指骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
- 6 手指骨折の後遺障害認定で弊社ができること
- 7 手指骨折の医師意見書でよくある質問
- 7.1 医師意見書にはどの骨(指のどの部分)を骨折したか具体的に書く必要がありますか?
- 7.2 レントゲンやCT画像をもとに、骨癒合の状態をどの程度まで説明すべきですか?
- 7.3 可動域制限(曲げ伸ばしの制限)の記載はどの関節ごとに必要ですか?
- 7.4 後遺障害認定を意識した場合、指の変形や短縮についてどのように記載すべきですか?
- 7.5 神経障害やしびれがある場合、意見書にどのように反映すべきですか?
- 7.6 複数の指を骨折した場合、各指ごとに詳細を分けて書くべきですか?
- 7.7 仕事や日常生活への支障(巧緻動作など)をどの程度まで記載するのが望ましいですか?
- 7.8 手術(ピン固定・プレート固定など)を行った場合、術式や固定期間の記載は必要ですか?
- 8 まとめ
- 9 関連ページ
- 10 資料・サンプルを無料ダウンロード
手指骨折と医師意見書の基礎知識
手指骨折はどのような骨折か
手指骨折では、骨折が指の関節面に及ぶと、骨癒合後も可動域制限や痛みが後遺症として残りやすいです。
交通事故や労災事故などでは、手指骨折で残った後遺症の医学的評価や、後遺障害認定基準を満たすかも重要となります。
<参考>
手や指の骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
医師意見書とは何か
手指骨折の医師意見書とは、手指の骨折や後遺症について、手外科の専門医が医学的見地から意見を述べる文書です。
医師意見書では、後遺障害認定の根拠となる「医学的評価」「機能障害の有無」「骨折との因果関係」などを詳細に記載しています。
手指骨折の医師意見書に記載される内容
手指骨折の医師意見書には、以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 骨折部位
- 画像所見
- 骨癒合状況
- 可動域制限
- 術式や固定期間
- 後遺障害認定基準への適合性
- 日常生活・仕事への支障
各種の画像検査や診療録だけでなく、医学論文も資料として添付されるケースが多いです。
医師意見書と診断書の違い
診断書は、傷病名や治療見込みが中心ですが、意見書は「後遺障害認定への医学的根拠」を重視します。
医師意見書では、後遺症の程度や骨折との因果関係を医学的に解説しているため、異議申し立て、示談交渉、裁判等で用いられます。
手指骨折で医師意見書が重視される理由
手指骨折の後遺症を医学的に解説
手指骨折は、関節拘縮や痛み、変形が残りやすく、日常生活や仕事に大きな支障を生じます。しかし、意外なほど非該当になりやすいです。
手外科専門医が作成する医師意見書では、手指骨折のために後遺症が残った蓋然性を、医学的に解説します。
手指骨折の後遺障害認定基準への適合性を主張
手指骨折では、それほどズレ(転位)が無くても、MP関節やPIP関節などの痛みや可動域制限が残りやすいです。
しかし、ズレの無い事案では「骨折と後遺症の間に因果関係が無い」として非該当になりやすいです。
医師意見書は、画像検査や臨床経過から、骨折で後遺症が残る蓋然性を、医学論文も引用して詳細に解説します。
異議申し立てや訴訟での証拠としての有用性
認定結果に対する異議申し立てや損害賠償請求訴訟では、医師意見書は医学的に説得力のある証拠となります。
異議申し立てでは後遺障害認定基準を満たすことを、訴訟では争点を医学的に解説することで、当方の主張を補強できます。
手指骨折の医師意見書を活用する方法
手指骨折の異議申し立てで後遺障害認定の根拠を補強する
非該当や低い等級認定に対して異議申し立てする際には、予想された等級が認定されなかった原因を精査する必要があります。
その上で、後遺障害認定基準に足りない要素を医師意見書で補強することによって、異議申し立てを成功させる可能性を高めます。
このため、医師意見書を依頼する際には、豊富な経験数で後遺障害認定基準を分析できる、医療鑑定会社を選択するのが望ましいです。
保険会社との示談交渉を有利に進める
医学的根拠を詳細に記載した医師意見書は、後遺障害慰謝料や逸失利益などの示談交渉で有利になります。
医師意見書では、画像検査や臨床経過から後遺症が残る蓋然性を解説できるため、当方の主張を裏付ける医証になります。
裁判や調停で医学的根拠として活用する
裁判や調停において、医師意見書は、診断書では補えない詳細な医学的根拠を提示する資料として活用されます。
訴訟の争点を、画像検査や医学論文を引用して詳細に解説することで、当方の主張を裏付ける強力な証拠になります。
手指骨折の医師意見書を取得する方法
手指骨折の医師意見書を取得する手順
手指骨折の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
手指骨折の医師意見書作成に必要な書類と情報
手指骨折の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書の費用
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
手指骨折の医師意見書取得にかかる期間
手指骨折の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、手外科専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
手指骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
手指骨折が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
手指骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
手や指の骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
手指骨折の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した、手指骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
手指骨折の後遺障害認定でお悩みの患者さんへ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
手指骨折の医師意見書でよくある質問
医師意見書にはどの骨(指のどの部分)を骨折したか具体的に書く必要がありますか?
医師意見書では、骨折した部位や後遺症の程度、そして骨折と後遺症との因果関係を具体的に記載することが必須です。
レントゲンやCT画像をもとに、骨癒合の状態をどの程度まで説明すべきですか?
医師意見書では、骨癒合の有無だけでなく、ズレ(転位)や関節面の適合性などの画像所見を詳細に解説することが重要です。
可動域制限(曲げ伸ばしの制限)の記載はどの関節ごとに必要ですか?
多くの事案で、MP関節・PIP関節・DIP関節のすべての可動域を、医師意見書に記載する必要があります。
後遺障害認定を意識した場合、指の変形や短縮についてどのように記載すべきですか?
骨癒合後の関節面の不整や変形・短縮の程度を、画像検査で定量的に測定して、医師意見書に記載します。
神経障害やしびれがある場合、意見書にどのように反映すべきですか?
手指骨折後に指先のしびれが残っている場合は、意見書に指神経損傷を併発している蓋然性を反映させます。
複数の指を骨折した場合、各指ごとに詳細を分けて書くべきですか?
医師意見書には、各指ごとの骨折部位・可動域・神経症状等を、個別に記載する必要があります。
仕事や日常生活への支障(巧緻動作など)をどの程度まで記載するのが望ましいですか?
仕事や日常生活への支障は、「書字やボタン掛けで困る」などのように、具体的に記載するのが望ましいです。
手術(ピン固定・プレート固定など)を行った場合、術式や固定期間の記載は必要ですか?
手術内容(術式、固定方法)や術後の固定期間は、後遺症に対して大きな影響を与えます。このため、術式や固定期間の記載は必須です。
まとめ
手指骨折は、関節に及ぶと可動域制限や痛みが残りやすく、後遺障害の認定では因果関係の証明が難しいことがあります。
医師意見書は、手外科の専門医が画像所見や臨床経過を基に、骨折による後遺症の蓋然性や医学的根拠を詳細に示す文書です。
診断書が治療経過を中心に記載するのに対して、意見書は「後遺障害の認定に足る医学的評価」を目的とします。
異議申し立てや示談交渉、裁判では、意見書が医学的証拠として重要な役割を果たします。作成には診療録や画像検査資料が必要です。
手指骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
関連ページ
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