交通事故で頚椎捻挫を受傷したのに「画像に異常がない」とされて後遺障害に認定されなかった…。そんな悩みを抱える方は少なくありません。
頚椎捻挫では、レントゲンやMRI検査で後遺症を説明できる所見が無いとされて、非該当になるケースが多いです。
こうしたときに有効なのが「画像鑑定」です。専門医が画像検査を詳細に解析することで、後遺症の医学的根拠を補強できます。
本記事では、頚椎捻挫における画像鑑定の目的、取得手順、活用法、そして意見書との違いや使い分け方までを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/10/14
Table of Contents
頚椎捻挫の画像鑑定とは何か
頚椎捻挫が後遺障害に認定されない理由
頚椎捻挫は自覚症状が中心であり、レントゲン検査やMRI検査で明らかな異常所見が見られないことが多いです。
画像所見に乏しい事案は、後遺症の原因となる医学的所見が無いと判断されて、後遺障害が非該当になります。
画像鑑定は、この「目に見えない後遺症」を客観的に説明するための手段として注目されています。
頚椎捻挫が後遺障害に認定されるためには、20事項近くある後遺障害認定基準の多くを満たす必要があります。
そして、その中でも「後遺症を証明できる画像所見」は、最も重要な後遺障害認定基準と言ってよいでしょう。
<参考>
頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
画像鑑定の概要
画像鑑定とは、各科の専門医が画像検査(レントゲン、MRI、CTなど)を読影して、詳細な画像所見を記載した報告書です。
頚椎捻挫であれば、臨床経験豊富な脊椎外科専門医や整形外科医専門医が、画像鑑定を担当します。
画像鑑定は、後遺障害認定基準を満たすための医証として活用されており、第三者的見解として後遺障害認定で重視されます。
後遺障害認定で画像鑑定が果たす役割
頚椎捻挫の後遺障害認定では、後遺症の存在を画像所見で証明できるかが重要なポイントになります。
画像鑑定は、後遺障害診断書なども参考にして後遺症を画像所見で裏づけるため、後遺障害に認定される可能性が高まります。
頚椎捻挫の画像鑑定に記載される内容
頚椎捻挫の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 鑑定医師による総括
これら以外にも、画像所見が後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。
画像鑑定の活用法は?
異議申し立てで後遺症が残る蓋然性を主張
初回審査で非該当とされたら異議申し立てせざるを得ません。異議申し立てで画像鑑定を提出すると、後遺障害に認定される確率が上がります。
特に、MRI検査で後遺症の内容と画像所見が一致すると、「後遺症が残る蓋然性」を医学的に主張できます。
裁判における後遺症の医学的証拠
裁判では、専門医によって作成された画像鑑定を提出することで、当方の主張が補強されます。
裁判所は、専門医の見解を重視する傾向があり、画像鑑定があることで、医学的争点に対する説得力が格段に増します。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
画像鑑定の取得方法と手順
画像鑑定を依頼するステップ
画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
画像鑑定に必要な資料
頚椎捻挫の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定の費用の目安
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定の取得にかかる時間は?
頚椎捻挫の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
【弁護士必見】頚椎捻挫の画像鑑定で結果を出すには?
頚椎捻挫の後遺障害認定ポイント
頚椎捻挫で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的な医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、頚椎捻挫が後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
画像鑑定の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
頚椎捻挫が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
画像鑑定と医師意見書の使い分けは?
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
頚椎捻挫の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へのサービス一覧
弊社では、交通事故で受傷した、頚椎捻挫の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者の方に弊社ができること
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
頚椎捻挫の画像鑑定でよくある質問
頚椎捻挫ではMRIやCTに異常が写らないのはなぜですか?
頚椎捻挫は、靭帯や椎間板などの微小損傷が主なので、MRI検査では捉えにくいことが原因です。
脊椎外科専門医による読影で、MRI検査の異常所見が初めて指摘されるケースもあります。
画像鑑定はどのような医師が行うのですか?
整形外科、脊椎外科、脳神経外科などの各科の専門医が担当します。交通外傷の実臨床と画像評価の両方に精通した医師が望ましいとされます。
頚椎捻挫の画像鑑定でどんな異常が見つかることがありますか?
椎間板変性、椎間孔狭窄、神経根圧迫所見、脊柱アライメント異常、靭帯損傷などが発見されることがあります。
これらの画像所見が、後遺障害診断書に記載されている症状と一致すれば、後遺障害に認定される根拠となります。
画像鑑定の結果は後遺障害等級認定で有利になりますか?
画像所見により「身体の器質的変化」が証明されると、後遺障害認定の可能性が高まります。
特に、神経症状の存在が画像的に裏づけられるケースでは、後遺障害の等級が覆る例もあります。
画像鑑定を依頼するタイミングはいつがよいですか?
症状固定直前から異議申し立て前が最適です。早期取得により、後遺障害診断書の作成にも反映でき、医学的根拠を充実させることができます。
まとめ
頚椎捻挫はレントゲンやMRIで異常が見えにくく、自覚症状が中心となるため、後遺障害に認定されにくいのが現状です。
そこで注目されているのが「画像鑑定」です。各科の専門医がMRIやCTを詳細に解析して、後遺症の存在を客観的に示す報告書です。
画像鑑定により、事故による神経や靭帯の損傷を裏づけられれば、後遺障害認定や裁判で有利に働くこともあります。
頚椎捻挫の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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