交通事故後に視力が低下したにもかかわらず、後遺障害に認定されなかったり、想定より低い等級しか認められないと、大きな不安や不満を抱える方は少なくありません。
視力は日常生活や仕事に直結する重要な機能であり、損なわれた影響は計り知れないものです。
そのため「本当に正しく評価されたのか」「異議申し立てをすれば改善できるのか」と悩むケースが多く見られます。
本記事では、視力低下が非該当とされやすい理由や後遺障害認定の基準、異議申し立ての具体的な流れや成功のポイントを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/9/23
Table of Contents
視力低下が非該当になる理由
視力低下で非該当と判断されやすいケース
視力低下が後遺障害に該当しないと判断されるのは、眼鏡やコンタクトレンズなどによる矯正で視力が十分に改善するケースです。
交通事故などによって視力が低下しても、矯正視力が0.6以上となる場合は後遺障害の認定基準を満たしません。
また、頭部や顔面の外傷が無いケースでは、視力低下と事故との因果関係が認められず非該当になる傾向にあります。
交通事故後から経時的に悪化した視力低下も、事故ではなく私病による視力低下と判断されて非該当になりやすいです。
<参考>
交通事故と視力低下の因果関係を証明するポイント|医療鑑定
視力低下の後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
1級1号 | 両眼が失明 |
2級1号 | 1眼が失明、もう1眼は視力が0.02以下 |
2級2号 | 両眼の視力が0.02以下 |
3級1号 | 1眼が失明、もう1眼は視力が0.06以下 |
4級1号 | 両眼の視力が0.06以下 |
5級1号 | 1眼が失明、もう1眼は視力が0.1以下 |
6級1号 | 両眼の視力が0.1以下 |
7級1号 | 1眼が失明、もう1眼は視力が0.6以下 |
8級1号 | 1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下 |
9級1号 | 両眼の視力が0.6以下 |
9級2号 | 1眼の視力が0.06以下 |
10級1号 | 1眼の視力が0.1以下 |
13級1号 | 1眼の視力が0.6以下 |
視力低下には、厳密な後遺障害認定基準が存在しています。片目の矯正視力が0.6未満から認定対象となります。
後遺障害認定は、矯正視力(眼鏡・コンタクト装用時)で判定され、万国式試視力表を用いた検査結果が反映されます。
視力低下の異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
異議申し立ては、まず異議申立書を準備します。これに加えて、新たな検査結果や診断書などの医証も収集します。
異議申し立ての書類は、損害保険会社を通じて損害保険料率機構に回送されて再審査されます。
視力低下の異議申し立ての申請先
視力低下に関する異議申し立ては、事前認定の場合は任意保険会社に、自賠責被害者請求の場合は自賠責保険会社に申請します。
資料は、保険会社を通じて、損害保険料率機構の自賠責損害調査事務所に送付されて再審査されます。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立て自体には費用はかかりませんが、新たな診断書発行や検査を実施すると費用が発生します。
審査期間は平均2〜4ヶ月ですが、複雑な事例では半年近くかかるケースもあります。
視力低下の効果的な異議申し立て準備
異議申し立て成功には、まず等級通知書を分析して、非該当や想定よりも低い等級に留まった理由を精査します。
その理由に反論できる医証(診断書、検査結果、医師意見書、画像鑑定報告書など)を添付することが重要です。
視力低下の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】
視力低下が非該当になる原因を分析
非該当となる原因として、他覚的所見が不足しており、事故と視力低下の因果関係が認められないケースが多いです。
例えば、頭部や顔面の外傷が無かったり、経時的に視力低下が悪化するケースでは、事故との因果関係を否定されて非該当になりやすいです。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
視力低下の後遺障害認定条件をクリア
後遺障害に認定されるには、眼球や網膜・脳の損傷により、矯正視力が基準を下回ることが条件です。
両眼0.6以下、片眼失明と他眼視力低下など厳密に定められており、検査所見や診断書で客観的に確認できる必要があります。
また、交通事故と視力低下の因果関係を証明できる医証を準備する必要があります。
異議申し立てでは新たな医証が必須
視力低下の異議申し立ての成功には、後遺障害認定基準を満たすための新たな医証が必要不可欠です。
具体的には、追加の検査や診断書、第三者による医師意見書、画像鑑定報告書などです。
新たな医証がない異議申し立ては、後遺障害認定に結びつきにくいです。足りない検査や診断記録を補う医学的資料を集めることが重要です。
<参考>
視力低下の後遺障害認定ポイント
視力低下の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
交通事故と視力低下の因果関係を証明するポイント|医療鑑定
視力低下の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した視力低下が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
視力低下の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
視力低下の異議申し立てでよくある質問
どのような場合に視力低下が後遺障害として認定されやすいのか?
事故が原因となった眼球や視神経の損傷で、視力低下を医学的に証明できるケースが後遺障害に認定されやすいです。
後遺障害等級ごとに、基準視力値(例:両眼0.6以下、片眼0.1以下)が明確に定められています。
矯正視力(眼鏡やコンタクト使用時)と裸眼視力のどちらが審査の基準になるのか?
後遺障害認定では、原則的に「矯正視力」(眼鏡・コンタクト装用時)が基準となります。
眼科での精密検査結果を提出すれば、異議申し立てで有利になるのか?
精密検査や画像検査の結果は、医学的根拠として異議申し立てに有利です。
特に、網膜・視神経などの損傷を証明できる電気生理学的検査(ERG)や視覚誘発電位検査(VEP)の結果が重視されます。
<参考>
交通事故と視力低下の因果関係を証明するポイント|医療鑑定
交通事故前からの眼疾患(白内障・緑内障など)があっても認定される可能性はあるのか?
交通事故前から眼疾患があっても、事故による新たな視力低下や症状悪化を医学的に証明できれば、認定される可能性はあります。
診断書や事故前後の検査結果で、視力低下と事故との因果関係を証明することが重要です。
視力低下以外に視野狭窄や複視もある場合、等級が変わることはあるのか?
視野障害や複視も、後遺障害の後遺障害認定基準に含まれています。これらの症状を併発していれば、より高い等級に認定される可能性があります。
医師が後遺障害診断書に十分記載していなかった場合、異議申し立てで訂正や補足はできるのか?
異議申し立てにあたり、医師による診断書の訂正・補足は可能です。記載内容は認定結果を左右するため、不足部分は追記してもらいましょう。
まとめ
交通事故後の視力低下が後遺障害として認められるかどうかは、矯正視力の数値や事故との因果関係が厳しく判断されます。
眼鏡やコンタクトで0.6以上に改善する場合や、外傷所見がない場合は非該当になりやすく、経時的な悪化も私病とみなされる可能性があります。
後遺障害認定では矯正視力が基準となり、等級は両眼や片眼の視力値によって細かく区分されています。
非該当や低い等級に不満がある場合は、異議申し立てが可能であり、新たな検査結果や診断書を提出することが成功の鍵となります。
視力低下の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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