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大腿骨骨折で死亡する原因は?事故との因果関係証明も解説|医療鑑定

高齢者が転倒などで大腿骨を骨折すると、見た目の外傷は軽く見えても、命に関わる深刻なリスクを抱えるケースがあります。

 

また、交通事故などで受傷して数ヶ月後に死亡したとしても、その原因が骨折にあったのか、あるいは別の持病や加齢に伴う衰弱だったのかをめぐって争いになるケースも少なくありません。

 

大腿骨骨折後には肺炎や心不全、筋力の著しい低下など、さまざまな合併症が引き金となって死亡することがあり、医学的な因果関係の判断が極めて重要になります。

 

本記事では、大腿骨骨折がどのように死亡につながるのか、その主な原因や統計データ、事故との因果関係の証明方法まで、医療鑑定の観点から詳しく解説しています。

 

 

最終更新日: 2025/8/11

 

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Table of Contents

大腿骨骨折による主な死亡原因

骨折に伴う合併症

大腿骨骨折の患者では、肺炎、心不全、肺塞栓症、尿路感染症などの合併症が頻発して、これらが主な死亡原因となります。

 

特に高齢者は免疫力や身体機能が低下しているため、術後や臥床中の感染リスクが高く、早期にこれらを予防・管理することが重要です。手術前後の血栓予防や感染管理が生存率を左右します。

 

 

骨折後の長期臥床による合併症

骨折後に長期間寝たきりになると、急速な筋力低下や誤嚥性肺炎、褥瘡(床ずれ)などの廃用症候群が生じます。

 

特に、高齢者では筋肉や嚥下機能の減退により回復が遅れ、全身状態が悪化しやすいです。

 

褥瘡や感染症によって、さらなる合併症リスクが高まるため、早期リハビリや排痰・栄養管理が極めて重要です。

 

 

高齢者特有のリスク要因

高齢者は骨粗しょう症や筋力低下(サルコペニア)に加え、認知症などのリスクが骨折やその後の重篤化を招きやすくなります。

 

認知機能障害がある場合、転倒・骨折リスクが高まり、術後もせん妄や活動低下で予後が不良となる傾向があります。

 

また、体力や自立度の低下が長期の臥床につながりやすく、社会的・経済的負担も大きいです。

 

 

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大腿骨骨折後の死亡率

大腿骨近位部骨折の1年死亡率

大腿骨近位部骨折の1年後の死亡率は、ガイドラインや各種調査によると2.6%~33%と大きな幅があります。

 

平均的には約20%程度とされ、特に高齢者や合併症を持つ方で高まります。この1年死亡率は同年代の他疾患と比べても高く、社会的な課題となっています。

 

 

手術後1ヶ月以内の死亡率

手術後1ヶ月以内の死亡率は、国内外の報告で2.9~10.8%とされています。早期手術やリハビリ介入が予後に大きく影響します。

 

多くは術後の早期合併症(肺炎や心機能不全など)が背景にあり、70歳以上・既往歴の多い患者ほどリスクが高まります。

 

 

大腿骨骨折後の予後

大腿骨骨折をきっかけに要介護や寝たきりとなるケースも多く、特に高齢者では5年以内に約50%が死亡するとの報告もあります。

 

1年後も元の生活レベルに回復できるのは約半数、特に高齢や認知症・持病がある場合は不良となります。

 

日常生活への復帰には、早期の手術・リハビリ、栄養管理、合併症予防が不可欠です。

 

 

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交通事故と骨折死亡の因果関係が問題になる理由

医学的な観点から見た「直接死因」と「誘因死因」

医学的には「直接死因」と「誘因死因(間接死因)」は明確に区別されます。直接死因とは、死亡に直結した最終的な要因(例:肺塞栓や大量出血)です。

 

一方、誘因死因は、事故や骨折による長期寝たきりや合併症(肺炎・心不全・感染症など)が死亡の引き金となるケースです。

 

交通事故由来の骨折は、死亡までの時間経過や併存疾患の影響により「死亡と事故の因果関係」の判断が複雑化します。

 

 

「事故が直接の死亡原因ではない」主張の代表例

死亡と事故の因果関係が争われる際、保険会社や加害者側は「事故自体は直接の死亡原因ではなく、高齢・基礎疾患・治療中の合併症が主要因」と主張することが多いです。

 

たとえば、骨折治療後に肺塞栓や感染症で死亡したら、事故との因果関係が否定されやすく、死亡診断書にも「心不全」や「老衰」と記載されるケースもあります。

 

このような状況では、遺族側が立証責任を負ってしまうため、訴訟が長期化する例が多発しています。

 

 

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異議申し立てで事故と死亡の因果関係を立証するポイント

死亡診断書からわかる因果関係の有無

死亡診断書では、「死亡の直接原因」からさかのぼる形で、原因となった病態や基礎疾患が順に記載されます。死亡診断書によって、事故と死亡との医学的経過を確認することが可能です。

 

事故に起因する症状や傷病名が連続して書かれていなければ、示談や裁判で事故と死亡の因果関係が否定されやすくなります。

 

特に事故から死亡まで時間が空いた場合や、死因の種類に「交通事故」と明記がない場合、争いになりやすいので注意が必要です。

 

 

医学的な文献を根拠とする主張方法

異議申し立てにおいては、骨折や外傷により生じる合併症や廃用症候群について、医学論文や専門書で裏付けることが重要です。

 

例えば「事故を契機に嚥下障害が発生し誤嚥性肺炎を起こした」など、事故から死亡へ至る経過を医学文献で客観的に示すことで、因果関係立証の信頼性が高まります。

 

 

整形外科や内科の医師意見書の重要性

交通事故と死亡との因果関係が争われる場合、整形外科や内科など複数分野の専門医による意見書が極めて有効です。

 

診療記録や臨床経過を基に「事故による負傷や合併症が死亡に与えた影響」について具体的に意見をまとめることで、死亡診断書だけでは認定できない因果関係を補強できます。

 

遺族側で医師意見書を依頼して、論理的かつ医学的な証明力を持たせることが、異議申し立ての決め手となります。

 

 

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過去の裁判例・認定事例にみるポイント

交通事故後に長期間経過して死亡したケースの判断傾向

交通事故後、一定期間を経て被害者が死亡したケースでは、事故と死亡の因果関係が問題となることが多いです。

 

特に高齢者や基礎疾患がある場合、入院や長期臥床による廃用症候群や感染症が死亡原因になることがしばしばあります。

 

裁判所は「事故による負傷やその後の長期臥床が死亡に与えた影響」を医学的証拠や診療経過から検討して、事故が死亡要因の一つとして合理的に認められる場合は賠償を肯定する傾向にあります。

 

ただし、死亡との直接的な医学的連関が希薄な場合は、因果関係が否定されやすいのが実情です。

 

 

因果関係が争われた際に認められた事案の特徴

因果関係が認められたケースの特徴は、次の通りです。

 

  • 事故の怪我により長期入院や臥床生活を余儀なくされ、その結果体力低下や感染症で死亡した経過に医学的な一貫性がある
  • 移動困難な状態が事故によるものであり、死亡診断書や医師の意見書で連続した因果関係が明記されている

 

 

因果関係が争われた際に認められなかった事案の特徴

一方、認められなかったケースには以下がみられます。

 

  • 事故の治療が一段落していたが、時間が経過したのちに他の持病・高齢化により死亡した
  • 死亡時の主因が、事故とは無関係な新たな疾患・予見困難な急病だった
  • 医学的証拠や診断書に、事故と死亡の関係が立証できるだけの記載がなかった

 

 

保険会社や加害者から因果関係が否定された場合でも、自賠責保険など一部制度では、因果関係が「明確に否定できない」場合に限り、減額支給がされる事例もみられます。

 

 

 

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大腿骨骨折に関する争いで弊社ができること

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<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害や寝たきりに至った蓋然性を主張します。

 

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<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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大腿骨骨折の死亡原因でよくある質問

大腿骨頸部骨折で死ぬことはありますか?

大腿骨頸部骨折は特に高齢者にとって命に関わる骨折です。手術を受けても、術後1年以内の死亡率は15〜25%前後とされており、高齢や基礎疾患を持つ場合、さらにリスクが高まります。

 

骨折をきっかけに長期臥床となり、肺炎や心不全などの合併症で亡くなるケースが少なくありません。特に80歳以上では死亡率が20%を超えることもあります。

 

 

事故後に数ヶ月経って亡くなった場合、因果関係は認められる?

交通事故で骨折して、その後数ヶ月経って死亡したケースでは、事故との因果関係が争点になる傾向にあります。

 

具体的には、骨折や長期臥床による体力低下・誤嚥性肺炎・感染症等が死亡の主要因と認められれば、損害賠償や自賠責等で因果関係が肯定された裁判例もあります。

 

ただし、持病や高齢化の影響が強い場合などは認められないこともあります。

 

 

自賠責の認定を覆すために有効な証拠や主張は?

自賠責保険の認定に不服がある場合、異議申立てで医学的証拠、新たな診断書、医師意見書などを提出することが有効です。

 

ただし、診療経過や画像所見との整合性が求められるため、弁護士や協力医による専門的なサポートが不可欠です。

 

事故直後からの経過を詳細に記載した医療記録や画像資料を集める、複数の専門医の意見をまとめるなどして、事故と症状や死亡との医学的な因果関係を論理的に立証する主張が重要です。

 

 

 

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まとめ

 

大腿骨骨折は、高齢者にとって命に関わる重大なけがであり、肺炎や心不全などの合併症が主な死亡原因となります。

 

特に高齢者では、免疫力や身体機能が低下しているため、長期の寝たきりが廃用症候群や感染症を招き、死亡リスクが高まります。

 

1年以内の死亡率は約15〜25%とされ、事故との因果関係が争点になることもあります。

 

異議申立てでは、医学的証拠や専門医による医師意見書によって、事故との因果関係を立証することが重要です。

 

死亡との因果関係を明らかにするには、専門的な医学的知見や証拠が重要です。大腿骨骨折でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。

 

 

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