交通事故や加齢、ヘルニアなどをきっかけに発症する坐骨神経痛。強い痛みやしびれが長く続くことで、日常生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。
なかには、治療後も症状が残ってしまい「これって後遺症なの?」「このまま治らなかったらどうなるの?」と不安を抱える方も多いでしょう。
本記事では、坐骨神経痛による後遺症の具体的な症状や、後遺障害として認定されるためのポイント、さらに症状の改善につながる治療法やリハビリ方法について解説します。
長引く痛みや不調に悩む方が、今後の見通しを立てる手助けとなる情報をお届けします。
最終更新日: 2025/4/22
Table of Contents
坐骨神経痛の後遺症とは
坐骨神経痛とは?原因となる傷病は?
坐骨神経痛は、腰から足にかけて伸びる坐骨神経が圧迫や刺激を受けることで生じる痛みやしびれの総称です。
主な原因には、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎捻挫、腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などが挙げられます。
これらの傷病によって坐骨神経が圧迫されると、腰やお尻、太もも、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれが現れます。
症状は片側の足に出ることが多く、歩行や前かがみの動作で悪化することがあります。重症化すると、筋力低下や排尿障害などの神経障害を伴うこともあります。
後遺症として残る可能性のある症状
坐骨神経痛が慢性化すると、治療後も痛みやしびれが持続することがあります。特に、神経の圧迫が長期間続いた場合や、適切な治療が行われなかった場合に後遺症として残る可能性が高まります。
具体的な後遺症には、足のしびれや感覚鈍麻、筋力低下、歩行障害、排尿・排便障害などがあります。これらの症状は日常生活に大きな支障をきたすため、早期の診断と適切な治療が重要です。
坐骨神経痛の後遺障害等級
交通事故で発症した坐骨神経痛が、慢性化して後遺症として残ると、自賠責保険から後遺障害に認定される可能性があります。
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
局部とは、腰部を指します。神経症状とは、坐骨神経痛を指します。お尻の痛み、下肢のしびれや痛みに加えて、腰痛なども含まれます。
14級9号との大きな違いは、「障害の存在が医学的に証明できるもの」というフレーズです。12級13号認定のためには、まずレントゲン検査やMRI検査で客観的(他覚的)な異常所見があることが必須条件になります。
異常所見には骨折や脱臼はもちろんですが、その他にも椎間板ヘルニアや骨棘(頚椎加齢の変化)、椎間板高の減少(加齢による変性で椎間板の厚みが減少する)も含まれます。
神経や椎間板は、レントゲン検査では写らないため、MRI検査を撮らないと評価できません。このため、レントゲン検査しか撮影されていないと、障害の存在を医学的に証明できないです。
下肢の痛みやしびれなどの症状が続いているのであれば、主治医と相談して、腰椎のMRI検査を検討してもらいましょう。
神経症状に関しても、14級9号では自覚症状(患者さんの訴え)としての痛みで良いのですが、12級13号では、より条件が厳しくなります。
自覚症状だけでは不十分で、筋力低下、筋肉の萎縮(やせて細くなる)、深部腱反射の異常などの客観的な症状が必要とされます。しびれ(知覚障害)の範囲も、損傷された神経の分布に一致している必要があります。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
局部とは、腰部を指します。神経症状とは、坐骨神経痛です。お尻の痛み、下肢のしびれや痛みに加えて、腰痛なども含まれます。
将来においても、回復は見込めないと医師が判断した状態であること(症状固定)が前提になります。後遺障害診断書には、症状の常時性が必要で、天気が悪いときに痛いなどの症状では認定されません。
また、交通事故と本人の感じる後遺症状に因果関係が認められることが条件となるため、車体の損傷が少ない交通事故は非該当とされることが多いです。
また、情報は公開されていないものの、毎月の通院頻度が少なかったり、症状固定までの通院期間が短いケースも非該当となります。詳細な基準が公表されていない背景には、不正受給を排除する目的があるとされています。
坐骨神経痛の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
交通事故で坐骨神経痛が後遺症として残った事案では、そのほとんどが腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアが原因です。
これらの傷病の後遺障害認定ポイントを知りたい方は、以下のコラム記事を参照してください。
<参考>
坐骨神経痛の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
坐骨神経痛の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故後の坐骨神経痛が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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交通事故後の坐骨神経痛で請求できる損害賠償金
交通事故後の坐骨神経痛が後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料とは
坐骨神経痛などの後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害慰謝料の相場は?
坐骨神経痛による後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級によって異なります。例えば、12級13号の場合、慰謝料の相場は約290万円、14級9号の場合は約110万円です。
等級が高いほど慰謝料の金額も高くなります。また、弁護士基準を用いることで、より高額な慰謝料を受け取ることができる場合もあります。
後遺障害逸失利益とは
坐骨神経痛などの後遺症が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
後遺障害逸失利益の相場は?
坐骨神経痛による後遺障害逸失利益の相場は、後遺障害等級や被害者の年収によって異なります。一般的には、年収または平均賃金の5%から14%を数年から最大10年分として計算されます。
例えば、12級13号の場合、労働能力喪失率は14%、14級9号の場合は5%とされています。
坐骨神経痛の後遺症でよくある質問
坐骨神経痛は完治しますか?
坐骨神経痛は、原因に応じた適切な治療を行うことで、多くの場合改善が期待できます。保存療法(薬物療法や理学療法)が効果的とされています。
重度の場合や保存療法で効果が見られない場合は、手術が検討されることもあります。
坐骨神経痛が治らない場合はどうなりますか?
坐骨神経痛が長期間改善しない場合、慢性的な痛みやしびれ、筋力低下、歩行障害などの後遺症が残る可能性があります。
また、排尿・排便障害などの深刻な症状を引き起こすこともあります。症状が改善しない場合は、再度医療機関を受診して、原因の再評価や治療法の見直しを行うことが重要です。
坐骨神経痛を根本的に治す方法はあるか?
坐骨神経痛の根本的な治療は、原因となる疾患(例:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など)を特定して、それに対する適切な治療を行うことです。
保存療法(薬物療法、理学療法)が有効とされています。重度の場合や保存療法で効果が見られない場合は、手術が検討されることもあります。
坐骨神経痛はブロック注射で治りますか?
ブロック注射は、坐骨神経痛の痛みを一時的に緩和するために用いられる治療法です。硬膜外ブロックや神経根ブロックなどがあり、痛みの原因となる神経周辺に局所麻酔薬やステロイド薬を注射します。
効果の持続期間には個人差があり、根本的な治療法ではありませんが、痛みの軽減やリハビリの補助として有効です。
まとめ
坐骨神経痛は、腰から足にかけて伸びる神経が圧迫されることで、足のしびれや痛みが起こる傷病です。
主な原因は、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎捻挫などで、悪化すると歩くのがつらくなったり、おしっこがうまくできなくなることもあります。
長く続くと、治療しても痛みやしびれが残る可能性があります。交通事故で発症した坐骨神経痛が、後遺障害に認定されると、補償を受けられます。
交通事故後の坐骨神経痛の後遺障害認定で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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