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腱板損傷の診断テストとは?画像検査も解説|交通事故の後遺障害

腱板損傷は、肩の痛みや動かしづらさを引き起こして、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。特に、交通事故などの外傷が原因で発生した場合、適切な診断と早期治療が重要です。

 

しかし、「肩が痛むけれど腱板損傷なのか分からない」「どんな検査が行われるのか知りたい」と疑問を持つ方も多いでしょう。

 

本記事では、医師が実施する腱板損傷の診断テストについて詳しく解説するとともに、ご自宅で簡単に試せるセルフチェック法や、MRI・超音波検査などの画像診断についても紹介しています。

 

腱板損傷の可能性を早期に見極め、適切な治療につなげるための知識を身につけましょう。

 

 

最終更新日: 2025/3/20

 

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腱板損傷の診断テスト

ドロップアームテスト

患者の腕を肩の高さ(90度外転位)まで持ち上げて、その位置で保持するよう指示します。​この状態を維持できず、腕が落下すれば、腱板損傷の可能性が示唆されます。

 

 

棘上筋(SSP)テスト

棘上筋は肩の外転に関与する筋肉で、損傷が多い部位です。​テストでは、まず患者に腕を30度外転させます。

 

その状態のまま、親指を上(Full can test)または下(Empty can test)に向けた状態で挙上するよう指示して、検者が抵抗を加えます。

 

肩関節の​痛みや筋力低下が見られれば、棘上筋の損傷の存在が疑われます。 ​

 

 

棘下筋(IPS)テスト

棘下筋は肩の外旋に関与します。​患者の腕を下垂して、肘を90度に曲げた状態で外旋させて、その力を検者が抵抗します。​

 

肩関節を外旋させる時の筋力低下や痛みがあるケースでは、棘下筋の損傷が考えられます。 ​

 

 

肩甲下筋(SSC)テスト

肩甲下筋は肩の内旋を担う筋肉です。患者に手を背中に回して、その手を背中から離すよう指示します。​この動作が困難な場合、肩甲下筋の損傷が示唆されます。 ​

 

 

インピンジメントテスト

肩峰下インピンジメント症候群の評価に用いられます。​ホーキンステストでは、患者の肩を90度屈曲させて、肘を90度曲げた状態で肩を内旋させます。​この動作で痛みが生じれば、インピンジメントの可能性があります。 ​

 

 

ペインフルアークサイン

患者が腕を外転させる際、60度から120度の範囲で痛みが生じる場合は、腱板損傷や肩峰下滑液包炎の可能性が示唆されます。

 

 

shoulder pain

 

 

腱板損傷の画像検査

MRI検査

MRI(磁気共鳴画像法)検査は、磁場を利用して体内の詳細な画像を取得する非侵襲的な検査方法です。腱板損傷の有無や程度、関節内の他の組織の状態を、高解像度で評価できます。

 

​特に、骨や軟骨、筋肉、腱などの軟部組織の描出に優れており、腱板の断裂や炎症の有無を正確に診断するのに役立ちます。​

 

 

超音波(エコー)検査

超音波検査は、リアルタイムで腱板の状態を観察できる非侵襲的な方法です。​プローブを肩に当てるだけで、腱板の断裂部位や液体の貯留、腱板の厚みの変化などを即座に確認できます。​

 

また、動的な評価が可能で、肩の動きに伴う腱板の状態をその場で観察できるため、診断や治療方針の決定に有用です。​

 

これらの画像検査は、腱板損傷の正確な診断と適切な治療計画の立案に不可欠です。​患者さんの症状や状態に応じて、医師が最適な検査方法を選択します。

 

 

 

 

腱板損傷とは何かを知ろう

腱板の構造と機能

​腱板損傷を理解するためには、まず腱板の構造と機能を知ることが重要です。​腱板は、肩甲骨から上腕骨に付着する4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とそれらの腱から構成され、肩関節の安定性と多様な運動を支えています。

 

​これらの筋肉は、肩の回旋や外転などの動きを可能にして、日常生活やスポーツ活動において重要な役割を果たします。​

 

 

rotator cuff

 

 

腱板損傷の主な症状

腱板損傷の主な症状としては、肩の痛みや運動制限が挙げられます。​特に、腕を上げる際の痛みや夜間の痛みが特徴的です。​また、肩の筋力低下や可動域の制限が生じることもあります。​

 

これらの症状は、日常生活の質を低下させるだけでなく、放置すると症状が悪化する可能性があるため、早期の診断と適切な治療が重要です。

 

 

腱板損傷の後遺障害等級

機能障害(肩関節の可動域制限)

等級

認定基準

8級6号

上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

10級10号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級6号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

8級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

 

  • 関節が強直したもの。但し、肩関節にあっては、肩甲上腕関節が癒合し骨性強直していることがエックス線写真等により確認できるものを含む
  • 関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態(他動では可動するものの、自動運動では関節の可動域が健側の可動域角度の10%以下になったもの)にあるもの
  • 人工骨頭置換術が施行されており、かつ肩関節の可動域が2分の1以下に制限されるもの

 

 

8級6号に該当する可能性がある傷病は、上腕骨近位端骨折です。上腕骨近位端骨折では、高い確率で肩関節の可動域制限をきたします。

 

一方、腱板損傷で8級6号に認定されるケースは、ほとんど存在しません。

 

 

 

10級10号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

 

  • 肩関節の可動域が健側と比べて2分1以下に制限されるもの

 

 

関節の可動域が健側の可動域の1/2以下に制限されているものです。腱板断裂のために肩の動力源が無くなって可動域制限が出現するケースと、痛みで肩を動かさなかったために関節拘縮をきたすケースがあります。

 

<参考>
肩関節拘縮(拘縮肩)の原因と画像所見|交通事故の後遺障害

 

 

 

12級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

  • 肩関節の可動域が健側と比べて4分3以下に制限されるもの

 

 

腱板損傷では、肩関節の可動域制限を残す可能性があります。特に高齢者では、肩関節の可動域制限を残しやすいです。

 

<参考>
腱板損傷で12級が後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

 

神経障害(肩関節の痛み)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

受傷後早期のMRI検査で腱板損傷の存在が明らかな場合には、12級13号に認定される可能性があります。

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

自賠責認定基準12級13号を満たさない撮像時期や画像所見であっても、MRI検査で腱板断裂を認めれば14級9号に認定される可能性があります。

 

 

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腱板損傷の後遺障害認定のポイント

交通事故で腱板損傷がトラブルになりやすい理由とは?

腱板損傷は、特に50歳前後から徐々に進行して、自覚症状がないまま悪化することも少なくありません。四十肩や五十肩と誤認されることも多く、正確な診断が難しい場合があります。

 

また、30代や40代の段階では、症状が一時的に軽減して、そのまま気付かずに過ごすケースもあります。そのため、交通事故による外傷が原因なのか、加齢に伴って進行していたのかを判断することが重要となります。

 

<参考>
【日経メディカル】その腱板断裂、ホントに交通事故の後遺症?

 

 

 

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交通事故による腱板損傷を立証するために押さえるべきポイント

腱板損傷が後遺障害に認定されるには、交通事故によって腱板損傷が生じたことを明確に示す必要があります。

 

そのためには、受傷後の診断時期やMRIによる画像診断の結果、事故の衝撃の大きさやメカニズムなど、客観的な証拠を揃えることが不可欠です。

 

特に、交通事故と腱板損傷の因果関係を証明するには、後遺障害認定基準の観点から、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。詳細については、以下のコラム記事を参照いただければ幸いです。

 

<参考>
腱板損傷と交通事故の因果関係を証明する方法|後遺障害の医療鑑定

 

 

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腱板損傷の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した腱板損傷が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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腱板損傷の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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まとめ

 

腱板損傷の診断には、ドロップアームテストや棘上筋・棘下筋・肩甲下筋テストなどが用いられ、痛みや筋力低下の有無を確認します。

 

インピンジメントテストやペインフルアークサインも有効です。画像検査では、MRI検査が腱の詳細を評価して、超音波検査は動的観察が可能です。

 

腱板は肩を安定させる重要な筋肉群で、損傷すると腕を上げる際の痛みや可動域制限が生じます。放置すると悪化するため、早期診断と治療が重要です。

 

腱板損傷の後遺障害認定には、交通事故との因果関係の証明が必要となるケースが多いです。肩腱板損傷でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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