頸部脊柱管狭窄症は、首の脊柱管が狭くなることで神経が圧迫され、痛みやしびれを引き起こす疾患です。
交通事故をきっかけに発症する可能性や、後遺障害が認定される条件について知りたい方もいるでしょう。
本記事では、頸部脊柱管狭窄症と交通事故の関係、事故がもたらす影響や後遺障害等級のポイント、さらには素因減額への対処法についても紹介しています。
最終更新日: 2025/2/16
Table of Contents
頸部脊柱管狭窄症とは?
頸部脊柱管狭窄症の概要
頸部脊柱管狭窄症は、首の脊柱管が狭くなり、脊髄や神経根が圧迫されることで、さまざまな症状を引き起こす疾患です。
主な原因として、加齢に伴う椎間板の変性や骨の変形、靭帯の肥厚などが挙げられます。これらの変化により、脊柱管内の空間が狭くなり、神経組織が圧迫されることで症状が現れます。
症状と診断方法
症状としては、手や腕のしびれや痛み、首や肩のこり、筋力低下などが見られます。進行すると、歩行時のふらつきや排尿障害など、下半身にも影響が及ぶことがあります。
診断には、問診や神経学的検査に加えて、MRI検査やCT検査などの画像検査が用いられ、脊柱管の狭窄の程度や神経の圧迫状況を詳細に評価します。
交通事故が頸部脊柱管狭窄症を悪化させるメカニズム
交通事故で頸部脊柱管狭窄症を発症する可能性はある
交通事故の強い衝撃は、頸部脊柱管狭窄症の発症や悪化の要因となる可能性があります。特に、事故による外傷が脊柱管内の組織に影響を及ぼすことで、症状が引き起こされる可能性があります。
事故による衝撃が脊柱に及ぼす影響
事故の衝撃によって、椎間板の損傷や靭帯の損傷が生じたり、脊柱管周囲の組織に炎症を引き起こすと、脊柱管がわずかに狭窄します。
その結果、脊柱管内にある脊髄や神経根が圧迫されて、痛みやしびれなどの神経症状が現れる可能性があります。
頸部脊柱管狭窄症が悪化するリスク要因
交通事故前から高度の脊柱管狭窄が存在しているケースでは、事故の衝撃によって症状が顕在化して、悪化するリスクが高まります。特に、高齢者や既往症を持つ人は、悪化するリスクが増大する傾向にあります。
頸部脊柱管狭窄症の後遺障害等級
交通事故で顕在化した頸部脊柱管狭窄症の後遺症は、後遺障害に認定される可能性があります。
最も多いのは12級13号や14級9号ですが、中には脊髄損傷をきたして上位等級に認定されるケースもあります。
脊髄損傷の後遺障害の認定基準の考え方は、こちらのコラムを参照してください。また後遺障害等級は、こちらにまとめています。
<参考>
脊髄損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
頸部脊柱管狭窄症の素因減額への対処法【弁護士必見】
交通事故の損害賠償請求において、頸部脊柱管狭窄症では損害賠償額が減額される素因減額が適用される可能性があります。弁護士が留意すべき対処法を以下にまとめます。
年齢相応の所見かを確認する
頸部脊柱管狭窄症が加齢による一般的な変化であれば、疾患とはみなされず、素因減額の対象外となる可能性があります。
そのため、被害者の症状が年齢相応の変化かどうかを医学的に確認して、疾患と認定されないよう主張することが重要です。
これらの主張を行うためには、医療記録や専門医の医師意見書などの証拠を収集・提出することが有効です。
<参考>
事故前からの通院は素因減額が認められやすい
交通事故前から頸部脊柱管狭窄症で通院していたら、既往症として素因減額が適用される可能性が高まります。
しかし、通院歴があっても症状が軽微であったり、事故によって症状が著しく悪化したことを証明できれば、素因減額を最小限に抑えることができます。
<参考>
素因減額と既往症や加齢による変性所見|交通事故の後遺障害
事故から発症までの期間が長いと私病とみなされる
交通事故後、症状の発現までに時間がかかると、事故との因果関係が疑われて、私病(事故とは無関係な病気)と判断されるリスクがあります。
そのため、事故直後から、医師に症状が増悪したことを詳細に訴えて、交通事故との因果関係をカルテに記載してもらうことが重要です。
訴訟において、交通事故後に発症した頸部脊柱管狭窄症は、私病か否かが主要な争点となります。お困りの事案があれば、こちらからお気軽にご相談下さい。
頸部脊柱管狭窄症でお困りの事案で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故後に発症した頸部脊柱管狭窄症の後遺障害認定でお困りの事案に対応するため、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
頸部脊柱管狭窄症の後遺障害認定でお悩みの被害者家族の方へ
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交通事故後に発症した頸部脊柱管狭窄症でよくある質問
脊柱管狭窄症の原因は交通事故ですか?
脊柱管狭窄症の主な原因は、加齢による脊椎の変形や椎間板の腫れ、靱帯の肥厚などです。これらの変化により、脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて症状が現れます。
交通事故などの外傷が直接の原因となることありませんが、事故による衝撃が既存の狭窄による症状を顕在化させる可能性は考えられます。
頸椎脊柱管狭窄症でやってはいけないことは?
無理に背筋を伸ばしたり、背中を反らせる運動を繰り返すと、脊柱管が狭くなって脊髄の圧迫が強くなるため症状を悪化させる恐れがあります。
まとめ
頸部脊柱管狭窄症は、首の脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで、しびれや痛みを引き起こす病気です。主な原因は加齢による変化ですが、交通事故の衝撃で症状が悪化することもあります。
事故による衝撃が椎間板や靭帯を損傷して、症状が強くなる可能性があります。特に、もともと狭窄があった場合、事故によって症状が顕在化しやすく、高齢者はリスクが高いです。
交通事故が原因で症状が悪化した場合、後遺障害認定を受けることができますが、素因減額の対象になることもあります。事故との因果関係を明確にするため、診断や医師の意見書が重要です。
頸部脊柱管狭窄症の素因減額が問題になっている事案では、医師意見書や画像鑑定報告書が解決策になる可能性があります。お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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