交通事故にあって、自賠責保険の審査が厳しいと感じた経験はありませんか？自賠責保険は、事故によるケガや後遺障害に対する補償を目的とした制度です。
しかし、自賠責保険の審査は非常に厳しく、多くの方が「なぜ認定されなかったのか」と悩みを抱えています。
本記事では、自賠責保険の審査が厳しいとされる実例や具体的な対処法を分かりやすく解説します。
「自分のケースでも補償が認められるのだろうか」と不安を抱える方や、審査を有利に進めたいと考えている方に役立つ内容です。
最終更新日：2025/1/15
Table of Contents
自賠責保険の審査が厳しい事例
治療費支払い拒否（事故との因果関係を否定）
自賠責保険が事故と傷害の因果関係を認めない場合、支払いを拒否されることがあります。
特に、事故の規模が小さい場合や、自己判断で整骨院に通うなど医師の指示に基づかない治療が行われた場合に、このような問題が発生しやすいです。
後遺障害に認定されにくい
交通事故後に後遺症が残っても、後遺障害の認定を受けられないケースが多いです。
認定が難しい主な理由として、症状の一貫性や常時性の欠如、治療頻度の低さ、画像所見の不足、後遺障害診断書の不備などが挙げられます。
特に、むちうちなどの後遺症は他覚的所見が得られにくく、後遺障害認定が困難とされています。
自賠責保険の厳しい審査への対処法
事故との因果関係を否定された時の対処法
自賠責保険から、傷害と事故の因果関係を否定された場合は、事故直後からの診断書や診療録（カルテ）、画像検査を取得します。
その上で、自賠責保険に異議申し立てして、症状と事故との因果関係を主張するする必要があります。
ただし、弁護士だけでは自賠責保険に説得力のある異議申し立てが難しいのが実情です。このようなケースでは、医師意見書が有効なケースがあります。
自賠責保険から、症状と事故との因果関係を否定されてお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
＜参考＞
ミラー接触の長期通院は厳しい
車両のミラー同士の接触など、軽微な事故で長期通院を続けると、因果関係を疑われて補償が認められないケースが多いです。
このようなケースでは、自身の人身傷害保険を利用することが現実的な解決策となることがあります。
＜参考＞
ミラー接触でむちうち？因果関係の判断は？｜交通事故の医療鑑定
自賠責保険で後遺障害に認定される基準とは
むちうちなどの後遺症で後遺障害等級14級9号が認定されるためには、半年以上の治療期間が必要とされています。治療期間が短いと後遺障害に認定されません。
さらに、治療期間以外にも、通院頻度や画像検査、そして後遺障害診断書の記載内容などが重要です。
傷病毎にたくさん存在する後遺障害認定基準を、ほぼすべてクリアしなければ、後遺障害に認定されるのは難しいのが実情です。
むちうちが後遺障害に認定されるポイント【弁護士必見】
初回認定率は約5％しかない現実を理解する
交通事故全体における後遺障害の認定率は約5％と低く、むちうちによる後遺症の場合はさらに低い約2.8％とされています。 この現実を踏まえ、認定を得るためには綿密な準備と対応が必要です。
＜参考＞
【日経メディカル】初回認定率は約5％！自賠責保険の厳しい現実
14級9号をクリアする6条件とは？
むちうちの後遺症で、後遺障害等級14級9号の認定を受けるためには、以下の条件をすべて満たすことが重要です。
1. 事故態様
衝突や衝撃の大きさが後遺障害の症状を発生させる程度である。
2. 治療期間
受傷から症状固定まで6ヶ月以上通院している。
3. 通院頻度
整形外科への通院日数が週2～3回程度である。
4. 常に症状がある（常時性）
常に首や腰などに痛みがある。関節に関しては、動かした時は常に痛みがある。
5. 画像所見がある
MRI検査やレントゲン検査などの画像検査で異常が確認されている。
6. 後遺障害診断書の記載内容に不備がない
後遺障害診断書に、後遺障害認定上の禁忌ワードが記載されていない。
＜参考＞
むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される？｜交通事故の医療鑑定
異議申し立ては非該当通知書の精査がポイント
後遺障害等級の申請が非該当となった場合、異議申し立てを検討する必要があります。この際、非該当通知書の内容を詳細に精査てし、後遺障害が認定されなかった理由を明確に把握することが重要です。
その上で、追加の診断書、画像検査、場合によっては専門医による医師意見書や画像鑑定報告書を取得するなど、具体的な対策を講じる必要があります。
自賠責保険の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
＜参考＞
【12級13号】むちうちの後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者：46歳
- 初回申請：非該当
- 異議申立て：12級13号（局部に頑固な神経症状を残すもの）
交通事故後に頚部痛と右頚部から母指にかけて放散する痛みが持続していました。痛みのため、1年以上通院、治療を余儀なくされましたが、症状は改善しませんでした。初回申請時には非該当と判定されました。
弊社の取り組み
診療録を詳細に確認すると、受傷直後から頚椎椎間板ヘルニアに特徴的な「スパーリング徴候陽性」と複数箇所に記載されていました。
MRIで、C5/6レベルに椎間板ヘルニア（矢印）を認め、患者さんの上肢痛（右母指にかけての放散痛）は椎間板ヘルニアが圧迫しているC6神経根の知覚領域と完全に一致していました。
脊椎脊髄外科指導医が診療録を確認して、初回申請時に見落とされていた身体所見を記載した医師意見書を作成しました。異議申立てを行ったところ、後遺障害12級13号が認定されました。
【14級9号】むちうちの後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者：60歳
- 初回申請：非該当
- 異議申立て：14級9号（局部に神経症状を残すもの）
交通事故後に頚部痛と両手のしびれを自覚されていました。受傷から半年間通院されましたが、頚部痛と両手のしびれは改善しませんでした。後遺障害診断書が作成されましたが、非該当と判定されたため弊社に相談がきました。
弊社の取り組み
MRIを脊椎脊髄外科専門医が読影したところ、頚椎後縦靭帯骨化症が存在していることが明らかになりました。
診療録を確認すると、受傷当日から頚部痛と両手がしびれると記載されていました。
身体所見、画像所見および診療経過について、医師意見書を作成して異議申立てを行ったところ、後遺障害14級9号が認定されました。
自賠責保険の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で残った後遺症が、自賠責保険で後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
＜参考＞
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査｜医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
＜参考＞
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由｜異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
＜参考＞
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由｜異議申し立て
自賠責保険の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
後遺障害に認定されると請求できる損害賠償金
自賠責保険で後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料とは
交通事故で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害逸失利益とは
後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
自賠責保険の審査でよくある質問
自賠責の異議申し立ての確率は？
後遺障害等級の認定結果に不服がある場合、異議申し立てを行うことが可能です。しかし、成功率は約15%と低く、新たな医学的証拠や資料の提出が求められます。
自賠責の調査内容は？
自賠責保険の請求があった際、損害保険料率算出機構が事故状況や被害者の損害額について詳細な調査を行います。この調査には、事故の状況、治療内容、後遺障害の有無などが含まれます。
自賠責保険の等級審査期間は？
後遺障害等級の審査期間は、初回請求の場合は1～2ヶ月程度、異議申し立てでは3～4ヶ月程度が一般的です。ただし、事案の内容や調査の進行状況により、さらに時間がかかることもあります。
まとめ
自賠責保険の審査は厳しいです。軽微な事故のため症状との因果関係を認められなかったり、整骨院しか行っていないと、治療費支払いを拒否される可能性があります。
また、後遺障害認定も難しく、認定基準を満たさなければ等級が得られません。14級9号が認定されるには、事故態様、治療期間、通院頻度、画像所見、診断書の内容などが重要です。
異議申し立てを成功させるためには、非該当理由の精査と新規資料が必要です。自賠責保険の後遺障害認定で、お困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
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