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上腕骨近位端骨折で腕が上がらない原因と対策は?全治何ヶ月?|交通事故

上腕骨近位端骨折は、転倒などによる肩への強い衝撃によって受傷することが多い怪我です。腕が上がらない、痛みが続くといった後遺症が残りやすいです。

 

本記事では、腕が上がらない原因、治療の流れ、全治までの期間、そして後遺障害について詳しく解説しています。

 

特に、完治までの目安やリハビリの重要性、後遺障害に認定されるポイントを知りたい方に役立つ情報をお届けします。

 

 

最終更新日: 2025/1/13
 

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上腕骨近位端骨折で腕が上がらない原因

上腕骨近位端骨折は関節内骨折だから

上腕骨近位端骨折は、肩関節の関節内骨折です。関節内で骨折するため、関節包や周囲の軟部組織が癒着しやすいです。

 

肩関節を構成する骨と軟部組織が癒着すると、関節の動き(可動域)が制限されて、腕を上げる動作が困難になるケースが多いです。

 

<参考>
関節内骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

保存治療では固定が必要だから

保存治療を選択した場合、三角巾やバストバンドなどで肩関節を固定します。固定期間中は、肩関節の動きが制限されます。

 

その結果、上腕骨近位端骨折で保存療法を選択すると、筋力低下や肩関節拘縮が生じやすくなります。

 

 

上腕骨近位端骨折は高齢者に多いから

上腕骨近位端骨折は高齢者に多く見られます。高齢者では、骨密度の低下や筋力の衰えが進行しているため、骨折後の回復が遅れる傾向があります。

 

また、リハビリテーションの効果も若年者と比べて得られにくく、腕が上がらない状態が長引くケースが多いです。

 

 

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上腕骨近位端骨折は全治何ヶ月?

受傷後6ヶ月が目安

上腕骨近位端骨折が骨癒合するまでの期間は、一般的に約8〜12週間とされています。

 

しかし、肩関節可動域などの機能回復には、約6ヶ月程度のリハビリテーションが必要となるケースが多いです。

 

 

上腕骨近位端骨折の痛みはいつまで続く?

上腕骨近位端骨折の痛みは約2〜3週間続くケースが多いです。骨癒合が完了するま約8〜12週間かかりますが、その間ずっと痛みが続くわけではありません。

 

2〜3週間すると仮骨ができ始めるため、安静時の痛みはましになりますが、肩を動かした時の痛みは4~6週間続くケースが多いです。

 

 

手術が必要なケースとその内容

骨折部のずれ(転位)が大きい場合や複雑な骨折では、手術療法が検討されます。手術の目的は、骨折部の安定性を確保して、早期の痛み軽減と機能回復を促進することです。

 

手術方法としては、プレートやネジを用いた内固定術、髄内釘固定法、場合によっては人工骨頭置換術などがあります。

 

 

保存療法とリハビリ

ずれ(転位)が軽度の骨折では、保存的治療が選択されます。三角巾やバストバンドで上肢を固定して、痛みや腫れの軽減に応じて可動域訓練を開始します。

 

リハビリテーションでは、関節可動域訓練や筋力強化訓練を行い、機能回復を目指します。肩関節は拘縮しやすいため、早期からの適切なリハビリが重要です。

 

 

上腕骨近位端骨折で考えられる後遺障害

機能障害(肩関節の可動域制限)

等級

認定基準

8級6号

上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

10級10号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級6号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

8級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

 

  • 人工骨頭置換術が施行されており、かつ肩関節の可動域が2分の1以下に制限されるもの

 

 

8級6号に該当する可能性がある傷病は、上腕骨近位端骨折です。上腕骨近位端骨折では、高い確率で肩関節の可動域制限をきたします。

 

その理由は、上腕骨近位端骨折は関節内もしくは関節近傍の骨折だからです。一般的に関節内骨折や関節近傍の骨折は、可動域制限を残しやすいと言われています。

 

臨床的には、人工骨頭置換術後に肩関節の可動域制限を残す症例が多いです。外転90度に満たない症例も珍しくありません。

 

<参考>
関節可動域制限の評価と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

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10級10号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

 

  • 肩関節の可動域が健側と比べて2分1以下に制限されるもの
  • 人工骨頭置換術により人工骨頭を挿入したもの

 

 

臨床的には、高齢者や上腕骨近端骨折で骨折部の粉砕が強い人は、肩関節の可動域制限を残しやすいです。

 

一方、人工骨頭置換術が施行された場合には、肩関節の可動域制限の有無にかかわらず、最低でも10級10号に該当します。

 

 

12級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

  • 肩関節の可動域が健側と比べて4分3以下に制限されるもの

 

 

比較的軽度の骨のずれ(転位)であっても、肩関節の可動域制限を残す可能性があります。10級10号と同様に、高齢者や骨折の粉砕が強い症例は、肩関節の可動域制限を残しやすいです。

 

 

<参考>
肩関節拘縮(拘縮肩)の原因と画像所見|交通事故の後遺障害

 

 

神経障害(肩関節の痛み)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級13号: 局部に頑固な神経症状を残すもの

 

骨折部が骨癒合しても、関節の可動域制限と一緒に肩関節の痛みが残存しやすいです。また上腕骨頭の骨折で関節面の不整を残して骨癒合したなど、明らかな痛みの原因を認める症例も散見します。

 

 

14級9号: 局部に神経症状を残すもの

 

12級13号には至らない程度の骨折の変形では、14級9号に認定される症例が多いです。

 

 

変形障害(偽関節や変形治癒)

等級

認定基準

7級9号

偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

8級8号

偽関節を残すもの

12級8号

長管骨に変形を残すもの

 

8級8号: 1上肢に偽関節を残すもの

 

高齢者の上腕骨近位端骨折で保存療法が選択された場合、最終的に骨折部が偽関節になる場合があります。上腕骨近位端骨折は骨幹端部の骨折が多いです。

 

自賠責保険では、骨幹端部は骨幹部等に分類されます。このため、上腕骨近位端骨折が偽関節になると8級8号に認定される可能性があります。

 

尚、上腕骨近位端骨折では偽関節になったとしても常に硬性補装具が必要になる症例はほとんどありません。このため、7級9号に認定されることはほとんど無いといえます。

 

 

12級8号: 長管骨に変形を残すもの

 

上腕骨大結節が中枢側に大きく転位した症例は比較的良くみられます。一方、上腕骨骨幹部骨折でときどき見かける上腕骨の直径が2/3以下に減少したものは、上腕骨近位端骨折ではほとんど存在しません。

 

また、上腕骨が50度以上外旋または内旋変形癒合したものもほとんど存在しません。

 

 

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上腕骨近位端骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

 

上腕骨近位端骨折の後遺障害で争いになりやすいのは、腕が上がらないなどの可動域制限が残存するケースです。

 

レントゲン検査で、ずれ(転位)を残さずに骨癒合していても、上腕骨近位端骨折では大きな可動域制限が残るケースが多いです。

 

しかし、骨折部が骨癒合していると、自賠責保険は非該当と判断する傾向にあります。このような事案では、いくら画像所見を示しても後遺障害に認定されません。

 

異議申立てで後遺障害認定されるためには、治療経過や骨折型から可動域制限が残存した蓋然性を説明した、医師意見書が必要なケースが多いです。

 

上腕骨近位端骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

<参考>
【日経メディカル】意見書で交通事故の後遺症が決まるってホント?

 

 

 

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後遺障害10級10号の認定事例

 

  • 被害者:42歳
  • 初回申請:14級9号
  • 異議申立て:10級10号(1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの)

 

コメント
著明な可動域制限を残しているものの、神経障害の14級9号しか認定されませんでした。CTで上腕骨大結節部が約10㎜の転位を残して骨癒合していました。

 

可動域制限の原因となることを主張した意見書を添付して異議申立てしたところ10級10号が認定されました。

 

 

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上腕骨近位端骨折の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で残った上腕骨近位端骨折の後遺症が、後遺障害に等級認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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上腕骨近位端骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

Traffic accident patient

 

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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上腕骨近位端骨折で請求できる損害賠償金

 

上腕骨近位端骨折で後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。

 

 

後遺障害慰謝料とは

交通事故で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。

 

 

後遺障害等級

後遺障害慰謝料

1級

2800万円

2級

2370万円

3級

1990万円

4級

1670万円

5級

1400万円

6級

1180万円

7級

1000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

 

 

後遺障害逸失利益とは

後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。

 

後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。

 

 

後遺障害逸失利益の計算式

後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。

 

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

 

 

上腕骨近位端骨折で腕が上がらない時によくある質問

上腕骨近位端骨折後のリハビリは?

骨折後のリハビリは、肩関節の可動域を回復して、筋力を取り戻すために重要です。固定期間中も手指の運動を積極的に行い、痛みや腫れの軽減に応じて可動域訓練を開始します。肩関節は拘縮しやすいため、早期からの適切なリハビリが推奨されます。

 

 

上腕骨近位端骨折の振り子運動の方法は?

振り子運動は、肩の可動域を広げるための基本的なリハビリ方法です。具体的には、上半身を前傾させ、患側の腕を下垂させた状態で、体を前後左右に揺らし、腕を振り子のように動かします。

 

 

上腕骨近位部骨折の合併症は?

上腕骨近位端骨折の合併症として、以下が挙げられます。

 

  • 骨癒合遷延・偽関節
  • 変形治癒
  • 肩関節可動域制限
  • 上腕骨頭無腐性壊死

 

 

上腕骨近位端骨折でバストバンドをするのはいつまでですか?

一般的には、2~3週間の固定期間が推奨されており、その後、医師の指示に従い、徐々に肩の動きを開始します。固定期間は骨折の程度や個人の回復状況によって異なります。

 

 

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まとめ

 

上腕骨近位端骨折は肩関節内で発生する骨折で、関節包や周囲組織が癒着しやすいため、関節の動きが制限され、腕を上げるのが難しくなります。

 

上腕骨近位端骨折の骨癒合には約8~12週間かかります。しかし、肩関節の可動域や筋力を回復させるためには、全治6ヶ月となるケースが多いです。

 

骨折のずれ(転位)が少ない場合には、肩関節の可動域制限があっても後遺障害に認定されず非該当となるケースが多いです。

 

このような事案では、可動域制限が残存した蓋然性を説明した医師意見書が必要なケースが多いです。上腕骨近位端骨折でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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