暴力や傷害事件の当事者にとって、後遺障害の等級や認定基準を理解することは非常に重要です。後遺症の後遺障害等級をベースにして、訴訟や示談交渉が進むからです。
本記事では、後遺障害の認定基準や等級について詳しく解説して、暴力や傷害事件の当事者が自分の権利を守るための方法を紹介します。
最終更新日: 2024/11/11
Table of Contents
暴力・傷害事件で医療鑑定が有用な理由
示談金と後遺障害等級の関係
暴力・傷害事件において、示談金の額は被害者の後遺障害等級によって大きく変わります。後遺障害等級は、被害者の傷害の程度や後遺症の重さを評価するための基準です。
例えば、重度の後遺症を抱える被害者は、高い等級に該当することが多く、その結果として示談金も高額になります。逆に、軽度の後遺症では低い等級となり、示談金も少なくなります。
医療鑑定で適正な後遺障害等級を主張する
医療鑑定では、専門医による詳細な診断と評価に基づき、被害者の症状や後遺症の程度が詳細に評価されます。
医療鑑定を通じて、暴力や傷害事件の当事者は適正な後遺障害等級を主張することができます。
医師意見書、画像鑑定報告書などの医療鑑定は、相手側や裁判所に対して適切な示談金を主張するための強力な証拠となります。
<参考>
暴力・傷害事件に関する医療鑑定の実例
【12級13号】頬骨骨折による眼窩下神経損傷(被害者側)
20歳代男性が、右頬部から上唇部の知覚障害と痛みで、後遺障害12級13号相当の示談金で和解した事例
繁華街でトラブルになり、右頬部を殴られて受傷しました。頬骨骨折に対して手術を施行されましたが、眼窩下神経損傷で右頬部から上唇部の知覚障害と痛みが残存しました。
加害者側は、骨折は治癒しているため、後遺障害には該当しないと主張しました。頬骨骨折に眼窩下神経損傷が併発する蓋然性を説明した医師意見書を提示したところ、後遺障害12級13号相当の示談金で和解が成立しました。
<参考>
頬骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
【14級9号】多発肋骨骨折(被害者側)
30歳代男性が、左胸部の痛みで、後遺障害14級9号相当の示談金で和解した事例
繁華街でトラブルになり、胸部を激しく殴られて左多発性肋骨骨折を受傷しました。保存治療を施行されましたが、一部の肋骨が変形治癒しました。
加害者側は、骨折は治癒しているため、後遺障害には該当しないと主張しました。多発肋骨骨折で痛みが残存する症例があることを説明した医師意見書を提示したところ、後遺障害14級9号相当の示談金で和解が成立しました。
<参考>
肋骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
【14級9号】外傷性頚部症候群(加害者側)
胸ぐらを掴まれた30歳代女性が頚部痛残存したが事件と因果関係無しで和解した事例
加害者と口論になり胸ぐらを掴まれた被害者が、事件後1週経過してから頚部痛を発症しました。自験から半年経過しても頚部痛が残っており、後遺障害に該当すると主張しました。
医師意見書で、
- 受傷機転から頚部痛を発症する可能性が低い
- 事件後1間経過してから頚部痛を発症することはない
を説明して、事件との因果関係は無いことを主張したところ、症状と事件との因果関係無しで和解が成立しました。
<参考>
外傷性頚部症候群の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
被害者のPTSDを否定(加害者側)
飲食店で暴行を受けた40歳代男性がPTSDを主張したが認めず和解した事例
飲食店で暴行を受けた40歳代男性が、8ヵ月後にPTSDを発症したと主張しました。PTSDでは事件から数ヵ月しても発症する可能性があります。
弊社の精神科専門医が診療録を精査したところ、PTSDとは言えないと判断して医師意見書を作成しました。医師意見書が決めてになって、PTSD発症を認めない示談内容で和解が成立しました。
<参考>
PTSDの後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
暴力・傷害事件の医療鑑定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、暴力・傷害事件で残った後遺症が後遺障害に等級認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の後遺症の状況を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、交通事故事案で培った年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
暴力・傷害事件では有料になりますが(交通事故と労災事故では初回事務所様は無料)、こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
暴力・傷害事件の後遺症でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、暴力・傷害事件の後遺症で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
暴力・傷害事件の示談金
暴力・傷害事件の示談金の内訳
示談金の内訳として、主に以下の項目が含まれます。
- 入通院慰謝料:治療のための入院や通院に対する慰謝料
- 後遺障害慰謝料:後遺症が残った場合の慰謝料
- 逸失利益:事故によって失われた収入や将来の収入の減少に対する補償
暴力・傷害事件の示談金の相場は?
示談金の相場は、事件の内容や被害の程度によって大きく異なります。具体的な金額はケースバイケースですが、一般的には数十万円から数百万円程度が多いです。
入通院慰謝料の相場
入通院慰謝料の相場は、治療期間や治療内容によって異なります。一般的には、1日あたり数千円から数万円程度が相場とされています。
後遺障害慰謝料の相場
以下の表は、交通事故(自賠責保険)における後遺障害等級毎の後遺障害慰謝料の目安です。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
暴力・傷害事件では、同じ後遺障害等級であっても、これよりもやや高くなる傾向にありますが、基準となる金額と言えます。
表を見ると分かるように、後遺障害慰謝料の相場は後遺症の程度や影響によって大きく異なります。
軽度の後遺症の場合は数十万円から、重度の後遺症の場合は数百万円以上になることもあります。
逸失利益の相場
逸失利益の相場は、被害者の職業や収入、年齢などによって異なります。具体的な金額は個別のケースによりますが、将来の収入の減少分を考慮して算出されます。
暴力・傷害事件の後遺障害を念頭においた示談交渉の進め方
弁護士による示談交渉サポートの重要性
弁護士による示談交渉サポートは、当事者の権利を守るために非常に重要です。示談交渉は法的知識が必要であり、被害者が適切な賠償を受けるためには専門家のサポートが欠かせません。
弁護士は、被害者の代理として交渉を行い、適正な賠償金額を算出し、相手方との交渉を代行します。これにより、被害者は心理的・経済的な負担を軽減することができます。
弁護士選びと費用の考え方
弁護士選びは、示談交渉の成功に直結します。信頼できる弁護士を選ぶためには、得意分野や費用、対応の仕方などを確認することが重要です。
弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金、日当、実費などがあり、依頼内容によって異なります。費用を抑えるためには、無料相談を活用したり、分割払いを検討することが有効です。
訴訟における証拠収集と提出方法
訴訟においては、証拠収集が勝敗を左右します。証拠がなければ裁判に勝つことは難しいため、弁護士のサポートを受けて証拠を収集することが重要です。
証拠収集の方法には、弁護士会照会、証拠保全、求釈明、調査嘱託、文書提出命令などがあります。これらの手続きを通じて、必要な証拠を確保し、裁判に備えることが求められます。
交渉時に注意すべき法的なポイント
示談交渉においては、冷静な態度で話し合いを行うことが大切です。弁護士のサポートを受けて法的なリスクを最小限に抑え、適切な解決策を見つけましょう。
まとめ
暴力・傷害事件では、被害者の後遺障害等級が示談金の額に大きく影響します。示談金には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益が含まれ、重度の後遺障害ほど高額な示談金を受け取れます。
医療鑑定を受けて専門医が後遺症の程度を正確に評価することで、適正な後遺障害等級に基づいた示談金を主張できます。
暴力・傷害事件で受傷した後遺症に関してお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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