交通事故では、事故との因果関係、後遺障害等級、労働能力喪失率、労働能力喪失期間などについて、争いになる事案が少なくありません。
保険会社側と被害者側の主張が噛み合わない事案がほとんどなので、第三者の立場で客観的な医学的見解を述べる医師意見書が重要な役割を果たします。
本記事は、保険会社側の医師意見書も含めて年間1000例におよぶ交通事故事案に取り組んでいる専門医の立場から、医師意見書の役割と効果のポイントを理解できるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/13
Table of Contents
交通事故の意見書とは
意見書には2種類ある交通事故で作成される意見書は、医学的な観点から被害者の後遺症や治療経過を詳述します。意見書には以下の2種類があります。
- 医師意見書
- 主治医意見書
医師意見書
医師意見書は、主治医ではない第三者の医師が、各種資料を精査して医学的な見解を記載した書類です。一般的には被害者側が、後遺障害認定を目的として、異議申し立てや訴訟で使用するケースが多いです。
一方、保険会社向けの医師意見書では、事故との因果関係、後遺障害等級、労働能力喪失率、労働能力喪失期間などについて、保険会社の立場を補強する内容になります。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
主治医意見書
主治医意見書は、保険会社が主治医に対して以下の項目について質問する形式が多いです。
- これまでの治療経過
- 身体所見や画像所見
- 今後の治療見込み
- 後遺症が残る可能性
実臨床に携わる立場では、保険会社から送付されてくる主治医意見書に対する回答には相当な労力を割かれます。このため、出来る限り主治医意見書の回答を作成したくないのが本音です。
また、質問内容が的を得ないケースが多いので、何を回答してよいのか分からないことも珍しくありません。このような状況は、保険会社にとっても主治医にとっても望ましい状況とは言えないでしょう。
弊社では、このような双方にとって望ましく無い状況を改善するサービスを提供しています。専門医が事案を分析して、保険会社が主治医に確認するべき事項を適確にお伝えいたします。
医師意見書
交通事故で使用する医師意見書とは
実際に被害者の診療に携わっていない第三者の医師が、診療録(カルテ)、診断書、画像検査、交通事故資料などを精査して、それぞれの立場で主張する書面です。
被害者側の医師意見書は、被害者請求、自賠責保険への異議申し立て、訴訟などのさまざまな状況で作成されます。保険会社(加害者/被告)側の医師意見書は、主に訴訟で使用するケースが多いです。
いずれの立場であっても、医師意見書を作成する医師は、各種資料の分析結果と自賠責認定基準を精査して、医学的整合性と客観性に基づく主張を行います。
医師意見書の記載内容
被害者側/保険会社側の立場の違いはあるものの、以下のような記載内容になるケースが多いです。
- 受傷から症状固定にいたる経過の提示
- 争点となる傷病に関する一般的な解説
- 事故との因果関係(受傷機転や事故規模の分析)
- 症状の蓋然性(身体所見や画像所見の分析)
- 症状の一貫性(診療録や各種医証の分析)
- 後遺症の相当性
- 後遺症の永続性
医師意見書で主張する内容は、医学論文や教科書等を引用します。医師意見書を作成する医師の独断ではなく、医学界で広く共有されている知見であることを証明する目的です。
日本の訴訟の現状に即して、基本的には日本語論文を引用しますが、必要に応じて英語論文を和訳付きで引用するケースもあります。
訴訟事案では、相手側の主張に対する反論を行い、その理由についても言及します。医学的知見の範疇において、可能な限り依頼者に寄り添う内容になる点が、主治医意見書との大きな違いです。
<参考>
【日経メディカル】意見書で交通事故の後遺症が決まるってホント?
訴訟では意見書作成可否調査が必須
訴訟で使用する医師意見書に関しては、意見書作成可否調査を必須とさせていただきます。診療録(カルテ)、診断書、画像検査、事故や自賠責関連書類などを分析して、依頼者のニーズに沿った医師意見書を作成可能か否かをご報告します。
交通事故における弊社医師意見書の強み
交通事故における弊社医師意見書の強みは、高度の専門性を有する医師が130名以上在籍していることです。ほぼ全ての科の事案に対応することが可能です。
整形外科領域では、事案に応じて各領域の専門医(脊椎、肩関節、肘関節、手外科、股関節、膝関節、足外科)が、医師意見書を作成します。
整形外科以外でも、ほぼ全ての診療科の専門医が在籍しているので、専門的な事案への対応でも可能です。
弊社では年間1000例におよぶ事案の分析から医師意見書の作成にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
年間1000事案のうち、保険会社側は約200事案です。毎年コンスタントに保険会社側の事案分析や医師意見書作成を行っているため、どのような要望にでも対応可能です。
主治医意見書
主治医意見書とは
被害者を治療する主治医が作成する意見書です。治療中、症状固定後の異議申し立て、そして訴訟に至るまで、あらゆる状況で作成されます。
主治医は診療録(カルテ)や画像検査を参考にして、現在の症状や将来的に残る可能性がある後遺症などを記載します。
主治医意見書が作成される目的
まだ傷病の治療をしている時期に、保険会社が被害者の治療状況を調査する目的で、主治医に作成を依頼するケースが多いです。
保険会社は主治医意見書の内容を精査して、症状固定時期や後遺障害の見込みを予想します。
記載内容
保険会社が主治医に作成依頼する医師意見書は、一般的に以下のような記載内容です。
- 傷病名や既往症
- 症状
- 各種検査の所見、身体所見
- 日常生活動作の制限や就労可否
- 今後の治療方針
- 症状固定時期
- 後遺障害の見込み
主治医意見書で弊社ができること
保険会社(加害者/被告)側に対するサービスは、主治医意見書に記載されている内容と医学的知見との整合性に関する分析が中心になります。
事故との因果関係、治療方針、治療期間、症状固定見込み時期、予想される後遺障害等級などに関する情報提供が可能です。
上記サポートについては医療相談で対応いたします。詳細はリンク先をご覧下さい。
交通事故の医師意見書が納品されるまで
交通事故の医師意見書作成に必要な資料
訴訟で使用する医師意見書を作成するために必要な資料を以下に示します。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。
ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法をご説明させていただきます。
御依頼から医師意見書納品までの流れ
医師意見書をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。
- 意見書作成可否調査の見積書送付
- 承諾後に意見書作成可否調査開始
- 請求書送付
- 入金確認後に意見書作成可否調査を提出(電子データ)
意見書作成可否調査の結果を踏まえて医師意見書作成に進む場合には、以下の流れになります。
- 医師意見書の作成方針をまとめた書面と見積書を提出
- 約4週間で医師意見書初稿を提出
- 意見書に修正点があれば調整
- 最終稿が完成段階で請求書を送付
- 入金確認後に医師の署名・捺印入り原本を発送
交通事故の医師意見書作成に必要な期間
交通事故で使用する医師意見書を作成する期間は、作成方針をまとめた書面の内容をご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。
オプションとして、7営業日以内の特急対応が可能な事案もございます。特急対応が可能な事案に関しては、+2万円で7営業日以内に医師意見書の初稿を提出いたします。
交通事故の医師意見書に関する疑問
依頼者の要望に沿った医師意見書の作成が可能なのか
依頼者の要望に沿った医師意見書が作成可能なのかも気になる点でしょう。医師意見書を依頼したにもかかわらず、思っていたのと違う内容の医師意見書が納品されたら目も当てられません。
弊社では、依頼者の要望と医師意見書の内容に齟齬が生じないように、医師意見書を作成する前段階で、検討項目および医師意見書の概略を提出いたします。
この段階で依頼者と弊社の管理医師が医師意見書の内容のすり合わせを行い、依頼者の要望に沿った医師意見書を作成いたします。
医師が署名・押印した医師意見書を書面で提出
医師が署名・押印した医師意見書を、書面で提出いたします。医師意見書で参考文献を引用した際には、参考文献も同封いたします。
また、書面での医師意見書提出に先立って、希望に応じてPDFでの納品が可能です。訴訟事案で時間的余裕の無い事案ではお申し付けください。
反論意見書は対応可能なのか
訴訟では、相手側医師から反論意見書が提出されるケースが多いです。弊社の専門医が相手側医師の意見書を精査して、反論の糸口を探ります。
弊社が作成した医師意見書に対する相手側意見書の精査は無料で行いますのでご安心ください。反論可能な点を、書面にて簡潔に回答いたします。
尚、すべての事案で反論可能なわけではありませんが、反論できる事案では割引価格にて反論意見書を作成いたします。
この際には、保険会社や弁護士の訴訟戦略に沿って、同一医師による反論意見書作成、もしくは第三者医師による意見書作成を選択いただけるケースが多いです。
交通事故で使用する医師意見書の費用
医師意見書の基本料金体系
医師意見書の作成に必要な費用は、基本料金(22万円+税)をベースとして下記の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の費用負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
診療科目による加算
脳神経外科・精神科加算:+8万円
その他診療科加算:+6万円
交通事故による外傷は整形外科の日常診療であることから、基本料金での対応が可能です。
一方、整形外科以外の診療科では、交通事故による外傷は比較的稀です。このため医師意見書を作成する際に、より高い専門性や知見が必要であるため追加料金が発生します。
訴訟事案に対する加算
訴訟事案加算:+6万円
訴訟事案においては
- 依頼者の主張に対する医学的整合性の確認
- 相手側の準備書面や医師意見書に対する反論
- 主張を医学的に裏付ける医学論文(エビデンス)の渉猟
など、医師意見書の作成に緻密な準備と大きな労力を要することから、追加料金が発生します。
納品時期による加算
特急対応加算:+2万円
通常は医師意見書の初稿提出までに、約3~4週間の期間を要します。一方、特急対応の場合には、7営業日以内に納品いたします。
まとめ
交通事故では、事故との因果関係、後遺障害等級、労働能力喪失率、労働能力喪失期間などについて、争いになる事案が少なくありません。
このよう事案では、第三者の立場で客観的な医学的見解を述べる医師意見書が重要な役割を果たします。
また、保険会社が事案の治療状況を確認する際に、主治医に確認するべき点を適確に伝えることで、保険会社の業務フローの改善をサポートしています。
お困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。