交通事故コラム詳細

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【医師が解説】運転中に意識を失った?健康起因事故の証明

自動車を運転中時に、急に体調が悪くなって意識を失ったりして、ブレーキを踏めずに交通事故が起きることがあります。このような場合、運転手は事故を避ける行動ができないので、大きな被害が生じるケースもあります。

 

意識を失って事故が発生したことが疑われる場合、どうやって交通事故との因果関係を証明するのでしょうか? 加害者・被害者の双方の立場で考えてみたいと思います。

 

 

最終更新日: 2024/5/13

 

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運転中に意識を失う健康起因事故の原因疾患

 

運転中に意識を失う原因として、以下のよう疾患が考えられます。これらの疾患によって発生した交通事故を健康起因事故と呼びます。

 

  • 不整脈
  • 心筋梗塞
  • 脳出血(くも膜下出血を含む)
  • 脳梗塞
  • 大動脈解離
  • てんかん
  • 神経調節性失神(迷走神経反射を含む)

 

 

 

 

運転中に意識を失った健康起因事故の責任

 

運転中に意識を失った健康起因事故では、民法713条が関係してきます。この法律は、「精神的な問題で自分の行動の責任を理解できない状態で他人に害を与えた場合、賠償責任を負わない」と述べています。したがって、運転中に意識を失った場合、基本的には運転手は被害の賠償責任を負わないです。

 

ただし、この法律には例外もあります。もしも運転手が意図的か過失によって自分がその状態になるような行動をとった場合、賠償責任は免れません。また、運転手が持病を知りながら、治療を怠ったり薬を飲まなかったりして意識を失った場合も、責任を問われる可能性があります。

 

意識を失って起きた健康起因事故の状況は様々です。突然の脳出血や心臓疾患など、予測できない病気による場合は運転手に責任はありません。一方、意図的な大量飲酒や薬物摂取で意識を失ったり、治療を怠ったケースでは責任を問われる可能性もあります。

 

 

運転中に意識を失った健康起因事故の証明法

不整脈や神経調節性失神が発症した証明は難しい

前述のように、運転中に意識を失った交通事故では民法713条が適用されるため、運転手は被害の賠償責任を負いません。しかし、弊社の経験では、運転中に意識を失ったか否かが争われる事案が少なくありません。

 

最近では、ドライブレコーダーが普及しているため、運転中に意識を失った可能性を可視化しやすくなりました。しかし、全例で客観的に意識消失を証明できるわけではありません。

 

健康起因事故は、不整脈や神経調節性失神(迷走神経反射)の事案が多いです。しかし、これらの疾患では、意識を失った事実を客観的に証明できません。

 

したがって、これまでの治療歴から事故時に意識消失発作を発症したであろうことを推論するしか方法がありません。

 

 

脳疾患、心筋梗塞、大動脈解離の証明は比較的容易

一方、脳疾患、心筋梗塞、大動脈解離が発症したことの証明は比較的容易です。その理由は、客観的な画像所見として描出されるやすいからです。

 

ただし脳梗塞に関しては、頭部CTで有意所見が現れるまで6時間以上かかるので、運転者が即死したケースでは証明が難しいです。

 

 

 

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【弁護士必見】健康起因事故のポイント

 

交通事故後であっても、CT検査や血液生化学検査などで客観的に疾患が発症した証明できるケースは大きな問題になりません。しかし、交通事故後では客観的な証明が難しい疾患では、以下のようなさまざまな資料が必要になります。

 

  • 交通事故前の健康診断結果
  • 交通事故前の治療歴
  • 既往症
  • 交通事故後の各種画像検査
  • 交通事故後の血液生化学検査
  • 交通事故後の各種検査
  • 交通事故後の診療録(カルテ)
  • 交通事故時の状況
  • ドライブレコーダー

 

 

上記の資料の必要度は、健康起因事故の原因疾患によって異なります。そして、原因疾患によって、循環器内科、脳神経外科、脳神経内科、糖尿病内科などの各科専門医の精査が必要です。

 

弊社では、すべての科の専門医が150名以上在籍しています。健康起因事故でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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Traffic accident patient

 

 

健康起因事故のまとめ

 

自動車運転中に意識を失って発生した健康起因事故では、心疾患、脳疾患、神経調節性失神(迷走神経反射)が原因となるケースが多いです。

 

運転中に意識を失った健康起因事故では民法713条が適応されるため、運転手は被害の賠償責任を負いません。しかし、運転中に意識を失ったか否かが争点になるケースは稀ではありません。

 

健康起因事故であることを客観的に証明するには、各種資料を各科の専門医が精査する必要があります。

 

 

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