交通事故や医療過誤などの医療がかかわる裁判では、医師の意見書が必要なケースも多いです。しかし、有用な医師の意見書を入手するのに苦労するケースは少なくありません。
本記事は、裁判で使用する医師意見書のもらい方を理解するヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/14
Table of Contents
医師意見書とは医学的見解を述べた書類
医師意見書とは、交通事故や医療過誤などで被害を受けた患者さんの診療に携わっていない第三者の医師が作成する書面です。医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、診断書、看護記録などを精査して、医学的な見解を客観的に述べます。
医師が作成する意見書の多くは、交通事故、労災事故、医療過誤(医療訴訟)、そして相続争いの際に作成される遺言能力鑑定書です。いずれの医師意見書も、主治医とは全く関係の無い第三者の医師が作成するケースが多いです。
<参考>
交通事故裁判で使う医師意見書のもらい方
主治医に医師意見書を依頼する問題点
交通事故や労災事故で使用する医師の意見書は、比較的容易にもらうことができます。ただし、裁判で有用な医師意見書であるか否かは別問題です。
交通事故や労災事故では、後遺障害の等級が問題になるケースが多いです。この際に重要になってくるのは、後遺障害認定基準です。
後遺障害認定基準自体は厚労省のHPに公開されています。しかし、実際の運用はブラックボックスなので、一般の医師は知る由もありません。
<参考>
後遺障害等級表【厚生労働省ホームページ】
効果的な医師意見書を作成するためには、後遺障害認定基準の運用法を知っている必要があります。しかし、後遺障害認定基準は実臨床とは無関係なので、ほとんどの医師は知りません。
このため、主治医や知り合いの医師に意見書の作成を依頼しても、本当の意味で効果的な医師意見書が作成される可能性は高くないのが現実です。
裁判で効果のある医師意見書をもらう方法
主治医を含めた一般の医師は後遺障害認定基準を知らないという事実を前提にして、医師の意見書をもらい方を考える必要があります。
主治医や知り合いの医師に医師意見書の作成を依頼しても、効果の見込める内容でなければ意味がありません。この問題を解決するためには、医師意見書に記載する内容を、あらかじめ指定する必要があります。
しかし、医療的な論点を弁護士が適切に理解して、医療のプロである医師に記載内容を提示することは、通常のケースでは困難を極めます。
この問題をクリアするために、実臨床と後遺障害認定基準を熟知した弊社のような医師集団に依頼することも選択肢のひとつではないでしょうか。
医療訴訟で使う医師意見書のもらい方
医療事故のほとんどは医療過誤ではない
弊社にはこれまで多数の「医療過誤」の相談が寄せられました。しかし、実際にはその多くは医療過誤ではなく、単なる医療事故です。このため、患者さん側の主張を支持する意見書の作成は困難な事案が多いです。
たしかに、治療結果の悪い事案ばかりですが、不可抗力によるものが圧倒的多数を占めます。肌感覚で言うと、8割の事案は医療機関側に責任の無い医療事故です。
治療結果が悪いこと=医療過誤では、決してないのです。医療では不可抗力の割合がとても大きいことに注意が必要でしょう。
当然ですが、医療機関側に非が無い時には、医師意見書を作成できません。実際には約8割の事案は、医療過誤ではないのです。
<参考>
【医療過誤】医師意見書|150名の各科専門医による圧倒的実績
意見書作成に協力する医師は極めて少ない
本当に医療過誤であったときにも、医師意見書の作成に協力してくれる医師を探すことは極めて難しいです。その理由は3つあります。
一つ目は、医師の世界では専門分野が細分化されていることにあります。このため、医療過誤で争っている医師と同レベルの知識を持った専門医を探し出すのはとても難しいのです。
二つ目は、実臨床の厳しさを知っている医師は、医療過誤と言っても不可抗力の占める割合が高いことを知っているからです。このため、医療過誤で責められている医師に対して同情的になります。
三つ目は、医師の世界は狭く、科によっては多くの医師がお互い顔見知りだからです。さすがに顔見知りがかかわる事案の意見書を作成する医師は居ないでしょう。
このような理由で、医療訴訟で使用する医師意見書の作成を引き受けてくれる協力医を探すことは、困難を極めます。
医療訴訟で使う医師意見書のもらい方
意見書作成に協力してくれる医師を探し出すことが最大の難関ですが、そのためには事案の争点を簡潔に伝える必要があります。
医療訴訟では、膨大な量の資料を読み解く必要があります。ただでさえも及び腰の医師に対して、資料をまとめずに丸投げすると、意見書を作成してくれる可能性が更に低下します。
資料が膨大なことは仕方ないですが、争点を簡潔にまとめて、ある程度資料を整理してから依頼することを強く推奨します。
意見書作成を依頼する医師としては、弊社のように医療訴訟事案も日常的に取り扱っている医師集団が第一選択肢ではないでしょうか。
弊社では、顧問契約を締結いただいている法律事務所様は確実に、それ以外の一般の法律事務所様はケースバイケースで医療訴訟に対応しています。
<参考>
【弊社ホームページ】顧問サービス
交通事故裁判で使う医師意見書を作成する流れ
意見書作成可否調査の実施
医療訴訟で使用する医師意見書はもちろんのこと、交通事故や労災事故で使用する医師意見書についても、有用な内容が記載された意見書を作成するのは難しいです。
そのためにはまず、依頼者の要望を踏まえた意見書の作成が可能なのか否かを判断する必要があります。弊社では、意見書を作成する前の事前調査(意見書作成可否調査)を実施しています。
最近では電子カルテが資料となる事案が多く、玉石混合の膨大な診療録や看護記録を読み解かなければなりません。医師にかかる負担はかなり大きいのが現実です。
<参考>
意見書作成可否調査の費用
弊社では、新規法律事務所様に関しては、初回の意見書作成可否調査を無料で実施しています(医療訴訟を除く)。
- 整形外科、脳神経外科 36,000円
- 他科 45,000円
- 精神科 80,000円
- 特急対応(3営業日) 10,000円
- 難事案加算 10,000円
※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には意見書作成調査が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても意見書作成調査費用の返金は致しません
各科・各領域の専門医が争点を提示
弊社に相談のある訴訟事案では、依頼者である弁護士が医療的な問題点を完全に把握していないケースも散見されます。
このため、専門医の目から見て明らかに争点であるポイントであっても、見過ごされているケースをしばしば見かけます。
各科や各領域の専門医で無ければ分からない争点を見つけ出すことも、意見書作成可否調査を実施する目的のひとつです。
弊社では、意見書作成可否調査を通じて、意見書作成可否だけではなく、争点の提示も行っています。
裁判で使用する医師意見書の料金
弊社では、交通事故や労災事故の裁判で使用する医師意見書と、医療訴訟で使用する医師意見書の料金は別体系です。詳細は以下のリンク先をご確認ください。
【医師意見書の料金】
まとめ
交通事故の裁判で使用する有用な医師意見書をもらうためには、実臨床と後遺障害認定基準の両方を熟知した医師に依頼する必要があります。
一方、医療訴訟で使用する医師の意見書は、作成を引き受ける医師は極めて少ないのが実情です。その理由は、医師の世界では専門分野が細分化されていることや、実際には不可抗力の事案が多いことが挙げられます。
裁判で使用する医師意見書でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
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