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過成長は短縮障害の類型
下肢の短縮障害の類型として過成長があります。小児では骨折をきっかけにして骨の成長が促されてしまい、骨折した方の下肢の方が長くなりすぎることがあり、この状態を過成長と呼びます。
過成長は下肢の短縮障害に準じて、健側と比較した脚長差の程度によって、5㎝以上は8級、3㎝以上は10級、1㎝以上は13級となります。脚長が存在すると歩容が悪くなり、また脊椎、股関節、膝関節などに悪影響を及ぼします。
下肢の短縮や延長をひとくくりとして、脚長の存在が障害の原因であるとした公正な障害評価基準だと考えています。しかし先日、小児においてはみとめられている過延長による脚長差の障害が、成人では認められないという事案を経験しました。
後遺障害等級認定票には、過成長障害は後遺障害の評価対象となりうるものの、脚延長による脚長差については後遺障害としての評価は困難であると記載されていました。
成人で脚延長する可能性があるのは、骨切り術や人工関節置換術などごく少数のケースに限られます。このため本事案はレアケースと考えられますが、それでも脚長差が残存しています。
実臨床で困るのは、下肢短縮や延長ではなく結果として発生する脚長差です。小児においては正当に評価されている脚延長の障害が、成人においては評価されずに非該当となるのは論理的ではありません。
しかし、残念ながら自賠責認定基準では成人の脚延長は非該当になるようです。実際の障害が重視される訴訟に移行すれば、小児の過成長と同様に等級が認定される可能性もありますので、結果を注視したいと思います。
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