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2021.9.4

骨折・脱臼

【医師が解説】手首骨折が全治3ヶ月の理由と非該当回避策|交通事故

交通事故で受傷した手首骨折(橈骨遠位端骨折)の治療期間は、おおむね3ヶ月であることが多いです。

 

しかし、治療期間が3ヶ月しかないと、手首の痛みや可動域制限が残っても、自賠責保険の後遺障害は非該当になります。

 

本記事は、手首骨折が全治3ヶ月である理由と、残った後遺症が後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/20

 

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手首骨折が全治3ヶ月になる理由

 

手首の骨折である橈骨遠位端骨折は、整形外科領域では代表的な外傷です。整形外科医にとって数が多くて非常にメジャーな骨折であるため、定型的な治療方針をとっている施設が多いでしょう。

 

受傷後3ヵ月もすると、しっかり骨癒合して関節可動域の改善も見込みにくい時期になります。このため受傷後3ヵ月をひとつの区切りとして治療を終了するケースが多いです。

 

 

X-ray of the distal radial fracture

 

 

全治3ヶ月では後遺障害は非該当

 

しかし、周知のように自賠責の後遺障害認定基準では、四肢切断や1級相当の意識障害遷延事案を除いて、症状固定までの期間が6ヵ月必要です。

 

もし橈骨遠位端骨折を受傷した方が受傷後3ヵ月で終診(≒症状固定)するとどうなるのでしょうか? この場合は、残念ながら非該当となります。

 

 

治療面では手首骨折は全治3ヶ月が正解

 

たしかに受傷後3ヵ月も経過すると、治療としてはやることが無くなります。治療を行っても、症状が改善しにくくなる時期が3ヶ月なのです。

 

このため主治医の立場では、受傷後3ヵ月で治療は終了(=症状固定)するケースが多いです。

 

 

手首骨折で全治3ヶ月とする弊害

 

一方、自賠責認定基準では3ヶ月で症状固定すると、等級が認められなくなるというジレンマが発生します。

 

50歳台よりも上では単純な橈骨遠位端骨折ではなく、関節内に骨折がおよぶ事案が多くなります。

 

関節内に骨折がおよぶ事案では、変形性手関節症が進行して頑固な手関節痛や可動域制限を併発しがちです。

 

 

wrist pain

 

 

【弁護士必見】手首骨折の後遺障害認定ポイント

主治医に診断書を作成してもらう

受傷後3ヵ月で症状固定されてしまったため、等級が認定されなかったという事案ではどのように対処すればよいのでしょうか?

 

このような事案では手関節痛が持続しているため、主治医を再診して何か治療法が無いかを相談すると良いでしょう。

 

TFCC損傷が無ければ、ロキソニン等の消炎鎮痛剤処方や手関節装具を処方して経過観察することになります。

 

そして、自賠責認定基準対策としては、手首の痛みが続いており、症状固定後も治療を続けていることを記載した主治医の診断書を作成してもらいます。

 

 

画像鑑定報告書を添付

異議申し立てで後遺障害が認定されるためには、痛みの原因となっている画像所見を証明する必要があります。

 

このようなケースでは、画像鑑定報告書などを添付して異議申し立てすると後遺障害に認定される可能性があります。

 

交通事故で手首骨折を受傷して非該当であったものの、手関節部痛が持続して困っている人は上記のような対策を考えてみましょう。

 

手首骨折(橈骨遠位端骨折)が非該当になってお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

 

 

まとめ

 

交通事故で受傷した手首骨折(橈骨遠位端骨折)の治療期間は、おおむね3ヶ月であることが多いです。

 

しかし、治療期間が3ヶ月しかないと、手首の痛みや可動域制限が残っても、自賠責保険の後遺障害は非該当になります。

 

手首骨折が全治3ヶ月である理由は、この時期になるとしっかり骨癒合して関節可動域の改善も見込みにくくなるからです。

 

受傷後3ヵ月で症状固定されてしまったために非該当になった場合には、症状固定後も治療を続けており、痛みが続いていることを記載した主治医の診断書を作成してもらいましょう。

 

そして可能であれば、画像鑑定報告書を添付して異議申し立てすることを推奨します。

 

 

<参考>
【医師が解説】手首骨折(橈骨遠位端骨折)が後遺症認定されるヒント

 

 

 

nikkei medical

 

 

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